MOVIE+BOOK              

Log

さらば復讐の狼たちよ

ファイル 227-1.jpghttp://saraba-ookami.jp/top.html
監督 姜文
出演 姜文 周潤發 葛優 カリーナ・ラウ 陳坤

誰だよこんな日本語タイトル付けたやつ・・・!香港アクション映画みたいなもんだと思って見に行った人もいるだろね、
原題“譲弾子飛”は、はじめの方で馬列車を襲ったシーンで姜文が答えるシーンでは、確か「まあ見てろ」と字幕が出ていたが、もう少し文字通りにかつ意訳すると、好きにタマに飛ばせてみろ ぐらいかな。

大陸の二大名優、姜文・葛優、そして香港スターにしてハリウッド俳優の周潤發。このメンツにして、なんと中国でもこんなマカロニウエスタンみたいな作品を作(れ)るようになったもんだ。
詐欺師やらせりゃ天下一品の葛優が、県知事として(金で買った地位である)妻カリーナ・ラウと書記とともに鵝城に向かう馬列車の中で食事中である。姜文率いる盗賊達が襲う。
で、詐欺師葛優は、亡くなったのは県知事だと言い、姜文に、県知事になれば金儲けできるとそそのかす。鵝城では周潤發が街を牛耳っている。

丁々発止。悪役だが周潤發もいい。ハリウッドではこの人を生かしてくれない。が、そりゃ監督だもの、姜文ダンナが一番カッコいい役柄となっていて。

実は鵝城の県知事じゃなくて康城の県知事の発令だったとわかるシーンがある。カンヌのことを大陸では康城と書きますな。カンヌ映画祭で姜文はグランプリを取っていますな、『鬼が来た』で。そういう遊びでしょうか?
『鬼が来た』は、確か今でも大陸では上映禁止作品のはずですが、今回の作品ではスレスレの遊びを試みていらっしゃる姜文監督。住民たちの描き方とか。馬列車と書いてマーリエチャーに近い発音をするのだが、馬列主義と書くとマーリエチューイと読み、つまりマルクスレーニン主義だそうで。

なんぼ中国で大ヒットしたといってもまあ日本ではそうそう人は入らないのは、まあ当然ですが、それにしたって、平日の昼間だったからって、天文館シネパラ、一人で見ました。こんな時、昔だったらPノニカのNカヤマさんが前の席にいたりしたなあ、などと思い出しつつ。
そして一人、面白かった、と呟きました。

MOVIE
comment(0) 2012.09.12 21:02

ピナ・バウシュ 夢の教室

ファイル 223-1.jpghttp://www.pina-yume.com/
監督 アン・リンセル
出演 ピナ・バウシュ ベネディクト・ビリエ ジョセフィン・アン・エンディコット

まずスーツ姿の男たち、ドレスの女たちがこちら向きに並んで踊るシーン。ん?ダンサーにしてはだいぶ太めの人も?

実は全く素人のティーンエイジャーを集めて、ピナ(ドイツ生まれの振付家です、知らない方に、念のため)の代表作のひとつである“コンタクトホーフ”を、10ヶ月かけて教えこみ、公演する、その過程を記録した映画なのでしたよ。
ヒップホップなら踊ってる子、演劇が好きな子、ロマ(ジプシー)の子、父を亡くした少女…。はじめはそれぞれ戸惑い、恥ずかしがる。ダンスと言っても、男女の肉体的触れ合いの多い、演劇的でエモーショナルな、動き、どうして?これは何?と。

戸惑っていた普通の少年少女たちが、表現と深く向き合うことを経験しながら自分と向き合い、或いは他者と係わることを発見していく、その有り様がいいですよ。
日本の学校でダンスが必修科目となったらしい。私の中学高校時代にも体育の時間に創作ダンスをやったけど(私はとんと苦手だった)、それは教育舞踊という系列のもの、今度からのはヒップホップだったり社交ダンスだったりいろいろだと噂に聞いている。この映画のような、素敵な経験が出来る・・・と、いいね。でもそのためには、優れた表現者であり指導者である人が、必要なんだよね。上手に背中を押してくれる人が。
ピナは09年に68歳で亡くなっています。映画の中でもずっと煙草を吸い続けだったもんなあ。

ガーデンズシネマで、珍しい人の入りでした。ダンス関係者?それとも私と同じくコンテンポラリーダンスを見るのが好きな人が実はたくさんいるのでしょうか?

MOVIE
comment(2) 2012.07.31 13:28

台北カフェ・ストーリー

ファイル 222-1.jpghttp://www.taipeicafe.net/story
監督・脚本:シアオ・ヤーチュアン (蕭雅全)
製作総指揮: ホウ・シャオシェン(侯 孝賢)
出演 グイ・ルンメイ リン・チェンシー 中孝介

OLが念願のカフェ開店にこぎつけ、手作りの日替わりケーキなども作っている。その開店を前に、カラーをいっぱいに積んだ花屋のトラックと山道でぶつかってしまい、修理代代わりにその山ほどのカラーをもらってくる。
物々交換でカラー進呈!という訳で元の会社の同僚たちが持ち込んでくる開店祝いの品々がまた、なんの役にも立たないが図体だけはでかい、とか、妙なモノたち。

店は開いたが、なかなか客は入らない。妙なモノは溢れている。妹が、物々交換のアイデアを思いつく。
ある日、一人の男性が、世界各都市で集めたという35個の石鹸をもってやってくる。

『物の価値は、人の心が決める』という言葉が出てくる。だからまあ、そういう映画です。

後になって思い出すと、誰かに説明するのが難しい映画なのだけれど、私は見始めから“これDVD欲しい”と思いました。桂綸鎂(グイ・ルンメイ)は好きな女優だし、BGMが心地好いし、聞き取りやすい中国語だし、ということもありますが。

最後、世界旅行に出かけようと家を出た彼女は、あれは戻ってきてる?別の選択をした、そういうことだよね?やっぱりDVD欲しい。

MOVIE
comment(0) 2012.07.11 15:50

父の初七日

ファイル 220-1.jpghttp://www.shonanoka.com/
プロデューサー・監督:ワン・ユーリン(王育麟)
原作・脚本・監督:エッセイ・リウ(劉梓潔)
 
出演 ワン・リーウェン(王莉雯) ウー・ポンフォン(呉朋奉) タイ・バオ(太保)

2009年台湾映画。
初七日 となっているが、台湾の(田舎の?)しきたりに従った結果、死後七日目に葬式をする、と言う話。
アジアのお葬式というのはそれぞれ趣が違って見るだけでも面白いものだ。この台湾のお葬式、道教の道士である叔父がしきっていくのだが、映画が始まってすぐ ハーバーナギラハーバーナギラ〜♫というBGMとともにその道士(いや、本人が歌っているわけではないが)が派手な衣装で登場、泣き女(韓国映画で見たことのあるそれとは随分な違い)、あの世にもたせる紙のお金を焼くシーンも、中華圏の映画ではよく見るものだが、紙でできた応接セット・自動車・家財道具・電化製品をも焼くのだ。灰を川に流して故人に贈る。
儒教のしきたりと道教のそれが絡んで誠に派手な賑やかな送りとなる。その金管バンドは何ですやろ?など。

突然の父の死に、台北から帰ってきた娘。女優らしくない、普通の娘、と思ったら、大学で脚本の勉強中、普段は裏方なのだそうだ。初めての映画出演という。
遺影がカラオケマイクを持った普段着姿なのを咎められた。スーツで花束を持った大きな写真を背中に背負ってバイクで走る娘。数年前、大学受験前の18歳の誕生日の父とのエピソードと重なる。

日本だって、家族の死に際しては、悲しみに浸る間もなく次々に手続きを踏み、目の前の用事をこなしていかなければならない。

あまりの派手さ、物珍しさについ吹き出しながら見ているけれど、どこの国でも同じ、ふとした隙間に染み込む亡き人への思い、悲しみ。

いい映画でしたよ。台湾で口コミで広がり、ロングランヒットとなったそうです。午前のガーデンズシネマで観客3人、もったいないな。

MOVIE
comment(0) 2012.06.26 13:28

無言歌

ファイル 217-1.jpghttp://mugonka.com/
監督 王兵
出演 ルウ・イエ シュー・シェンツー ヤン・ハオユー

百花斉放・百家争鳴 という言葉は知っていた。中国語学習者だったから。でも、これが毛沢東が「共産党への批判を歓迎する」として始めた運動のスローガンだったことは知らなかった。まもなくその毛沢東が、右派分子が社会主義を攻撃している として弾圧を始めたというのが反右派闘争というものだった。

目を覆う、という言葉がある。atconさんは先日の『捜査官X』の8割がた目にしなかったらしいが、ああいうアクション物の血腥さなど笑ってみていられる私が、実際に目を覆って目をそむけた部分があった。
右派として辺境に送られ、開拓を命じられる。その場所が、ゴビ砂漠の収容所であり、砂、石、風の他に何もない。死者が続出する。生きている者も、ほとんど水のような粥しか与えられず、壕の中でただ眠リ、また労働する日々。鼠を捉えて食べる。

ある日、上海から女が夫に会いにやってくる。が、夫は7日前に亡くなっている。女の嘆き、泣く声。日本の女とは違う、と思うのは、周りの疲れきった男たちにどう迷惑をかけようが、夫の墓を探すところだ。

1960年の話なのだ。

事実を下にしていて、出演者の一人、乾いた植物の種を集めている老人は、そこで生き残った人だという。

こんな酷い映画見たくない、と思う気持ちを抱えながら見続けた。酷い事実を描き、中国では上映できない作品。酷い、凄い映画である。

MOVIE
comment(1) 2012.05.30 20:21

ポエトリー アグネスの詩

ファイル 216-1.jpg監督 イ・チャンドン
出演 ユン・ジョンヒ

中学生の孫と暮らすミジャ、生活は楽ではなく、ヘルパーをしているが、お洒落な60代、思い立って詩の講座に通い始める。その矢先、アルツハイマーの初期であると告げられる。
少女の溺死体が発見され、孫がその少女の死に関わっていることがわかる。6人の仲間とレイプ。

韓国の映画にありがちなことだが、途中まで男性論理で話が進む。誠に席を立ちたくなってしまう。我慢して見続ける。

暴行の仲間の男親たちは、我が子や学校を守る?保身で結託して、少女の母親と示談をまとめようとしている。ミジャは、詩の講座で教えられる、よく見ること、耳を傾けること、を、その事件にも適用していくかのように、女の子の足跡をたどる。

よく見ること、を言われて、りんごや、木や、周りのものをじーっと見ても、詩は生まれてこない。詩の朗読の会にも出かける。そこで、朗読したあと卑猥な説明を加える男に出会う。実は彼は誠実な警察官であると聞く。

ふわふわと浮き世離れして見えるミジャが、最後に選ぶこと。

身近にアルツハイマー老人を見ている身には、いくら初期でもそりゃあ無理だろ、と思うところもたくさんあり、違和感を禁じ得ないのではあるけれど。
思いの外、後味のいい作品です。16年ぶりの映画出演だという女優ユン・ジョンヒが、とてもいい。
イ・チャンドンは『オアシス』の監督と知ると、なるほどそうかと思える。

MOVIE
comment(0) 2012.05.22 14:34

捜査官X

ファイル 215-1.jpghttp://sousakan-x.com/
監督 ピーター・チャン(陳可辛)
出演 ドニー・イェン甄 子丹() 金城武 タン・ウェイ ジミー・ウォング      姜武

山村の美しい風景から始まる。例えば『山の郵便配達』のような叙情的文芸作品になってもおかしくない。
二人の余所者がやってくる。あ、と声を上げてしまったのは、小柄な方は谷垣健治(香港をはじめ中華圏及び日本で活動しているスタントマン・アクション監督)だと気づいて。
強盗を働こうとする凶悪犯二人、その場に居合わせた紙職人リウ・ジンシーが巻き込まれ、一人にしがみついたまま必死に抵抗し、何かの弾みでならず者二人とも死んでしまう。
捜査官がやってくる。検死を行なった捜査官シュー(中国語のフリガナのようなものではXUと表記してシューと発音する、それが日本語タイトル捜査官Xの由来)、シューは、死んだ一人の目が充血していることに注目する。もしやリウ・ジンシーは武術の達人なのではないか?こめかみのツボを心臓停止に至るまで的確に攻撃したのでは?
シュー捜査官の脳内妄想のシーンがえげつない。私は映画情報を細切れに収集していたから見知っていて、ああこのシーン、と思うのだが、初めて見た人には…どんなもんでしょう。

しつこい脳内妄想にも理由がある。かつて情けをかけた結果、まだ子供だった犯人養い親を死なせ、自分も鍼によって生き延びる身になったのだ。

素晴らしい、面白い、どのキャスティングも良い、この映画のアクション監督でもある甄 子丹が普通の人を演じるのを初めて見たかも。シュー役の金城武は、この映画の中で四川訛りてしゃべることを提案し、明らかに訛った中国語をしゃべっている。『武侠』という原題にふさわしいアクション映画でもあり、ドラマもあり、親子の葛藤あり。そしてあー無理に時間作ってジミー・ウォング『片腕ドラゴン』見といてよかった!という、オマージュシーン有り。

ピーター・チャン監督、あなたはすごい。

MOVIE
comment(2) 2012.05.06 13:46

片腕ドラゴン

ファイル 209-1.jpg監督 主演 ジミー・ウォング

1973年作品。
香港映画という括りになっているはず、実際、ガーデンズシネマの香港映画特集の中に入っていた、が、台湾の、香港第一影業という制作会社で北京語で作られている。
さてさて、知る人ぞ知る、カンフー映画なのだが、カンフーできない人が作ったカンフー映画は、すごいよ。映画館で笑いをこらえきれないがギャグとして作られてはいない、と、申しましても全編これギャグのような・・・。
話は良い師匠のいる道場と師匠からして悪い奴の道場の争い。悪い道場が助っ人として呼んでくる面々、沖縄唐手の頭と手刀で瓦割りをする「坂田」と「長谷川」 柔道家「高橋」 韓国からは、ビール瓶を口でヘシ折った後そのビールをゴクゴクと呑むテコンドーの名手「キム」 タイからムエタイの師弟「ナイ」と「ミー」 、インドからヨガの達人「モナシン」 坂田達の師匠でキバの生えた「二谷」、どこからこんな妙な役者を集めてきたか?と思ったら、実はジミー・ウォングさん、本物のヤクザ屋さん業界とつながり深く、みなさん本物の黒社会人との噂あり。

でも、当時のジミーさんは70年代の慶応とか成蹊とかの学生さんみたいな爽やか系お醤油顔(古い表現で失礼)、片腕を失ったのに、腕の神経を焼いて秘伝の薬に一箇月漬けて鉄腕になったのさ、人差し指で倒立しちゃうのさ。

今年日本でも公開されるはずの『武侠』ドニー・イェン、金城武の映画に、このジミー・ウォング王羽が、出演していると言うので、伝説のこの映画を見てみましたが、いや、すごかった。

追記
『武侠』は『捜査官X』というタイトルで4月日本公開決定だそうです。タイトルが・・・どっかのパクリだろー!金城武演じる丸めがね探偵の名前が徐百九(中国語ピンインで徐という字をXUと書いてシューと読みます)であるところからだって。

MOVIE
comment(3) 2012.01.26 14:44

move