著者 吉田修一
出版社 毎日新聞社
噂の横道世之介です。噂・・・聞いてない方もいらっしゃるでしょうが、あちこちの書評で目にしました。
田舎から進学で東京に出てきた世之介、新宿アルタ界隈の特設ステージで本物のアイドルがインタビューを受けている、でも誰も大して気にもしないで通り過ぎるのに驚愕・・・というところから始まる。時代はバブリーな90年ごろ。
ごく普通の平凡な男の子、なんですが、例えば身内にゲイのおじさんがいて、子供のころその恋人ともども遊んでもらったりしたから、友人がホモセクシュアルであることを知っても特に珍しいことと思わない、という具合になにかしら普通ではないところがあり。何事にもNOと言わないから勧誘されるままいつの間にかサンバ部にはいってるし。
クスクス、くっくっくっ、と笑ってしまうシーンがあちこちに。またなんで親御さんは“好色一代男”から名前を付けたりしたんでしょうかいなあ?
時間が急に飛んで誰だかよくわからない大人のエピソードが挟まる、のだが、それは学生時代に世之介とかかわった人たちの現在なのです。 横道世之介 というタイトルですが、どちらかといえば、世之介という男の子とある時期交流があった人間たちが、その後をどう生きているか、というお話、かな。結構苦いものも。
ネタばれになるので書きませんが、えーっ、そんなあ!…と思ってしまうのだけど、あの事件から発想したお話だったのでしょうか?そんなあ・・・ ・・・。
祥子さんその後のエピソード、本物のお嬢様育ちの人にたまにいるなあこんな生き方、と思われますが、世之介と一緒に体験した事件が後々にこんな仕事に携わることになるとは!
まあ、読んだ人それぞれにある時代、そこにいた人たちのことを思い出すことでしょう、私の学生時代には、アルタはまだ二幸だったんだけどね。あ、なんのこっちゃって、ごめんなさい。