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探偵物語

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制作 1983年
監督 根岸吉太郎
出演 松田優作 薬師丸ひろ子 岸田今日子 北詰友樹

 今更ですが、久しぶりにTVで見たので。
 ストーリーはなんてことないですね、赤川次郎原作。お金持ちのお嬢さん、そのお守り役を依頼された探偵、良くある展開でお嬢ちゃんが活躍するもの。
 今見ると小学生か?と思えるような大学生役の薬師丸ひろ子サンです。まーアイドルに生まれついたとしか思えないその姿。そうそう、そんな服私も着てた、その服も今の大学生に比べるとずいぶん大人っぽい・・・というか今の時代、ガキっぽい服装が好まれるようになったのだなあ。彼女にはスカートを着せたいらしい。スカートで跳んだり跳ねたり乗り越えたり、させたくなる雰囲気があるらしい。
 優作は亡くなったときが39歳(もしくは40歳)だから、このころはもっと若いんだなあ、と思って見ていたのだけど、調べてみるとこの時33歳・。今のキムタクよりも若いのだ。たとえばキムタクや吾朗ちゃんがオジサンと呼ばれる役柄を演じることなど考えられない、けれどこの映画でははっきりとオジサンとオジョウサンの関係である。この25年でヒト自体がガキっぽくなったらしい。

 プレイボーイの大学生役の北詰友樹、その恋人役の坂上味和、ついこの間まで見ていたような気がするけどそういえば、とこれも調べてみるともう俳優を辞めている。その時代それなりに人気のあった俳優さんでも、中年以降まで続けていける人は少ないことを、あらためて感じさせられる。また、もちろん優作も岸田今日子さんもすでにこの世の人ではないが、出演者の中には2007年に自死した人もいる。

 最後、空港で主役二人のキスシーン、その直前の薬師丸ひろ子サンの指の動き、たまらず指が動く、あれは誰かの演出ではないんじゃないかな?彼女の、その役にすっかりと入り込んだ姿では?いい家庭でしっかりと育って、本来女優としての資質を持っていた女の子が、おそらく仕事の場でも大切に育てられ、いい人間に出会ってきた、のだろう。そして、その役にすっぽりとはまって・・・いや、いい女優サンだ。そうじゃなきゃあんなお子チャマ顔で大人の女優になれないかも。

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comment(0) 2008.06.15 13:55

少林少女

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監督 本広克行
出演 柴咲コウ 中村トオル キティ・チャン

 えー、ある種駄作好き(よく言ってB級好き)とも言えるああるですが、北京語と広東語両方の学習者以外の方には特にお勧めしない本作です。あ、ヨガ、太極拳、その他武道系の人にもまあちょっと面白いと思われます。
 少林寺で修行して日本に帰ってきて、祖父の道場を再建しようという、まあそういうお話です。見る影もなく荒らされた道場、なにやら悪の影が。
 で、成り行きで大学のラクロス部に入って少林拳法を広めようとする少女であります。でなんだか悪の権化な大学学長中村トオルが・・・。

 いや、別に荒唐無稽はかまわないんです。だけどせっかくの柴咲コウちゃんの少林修行が全然映えないカメラワークだし、気のコントロールを身につけないと悪の道に入るだろうと言う少女の恐ろしい気の力が・・・どこに見える?
 チャウ・シンチーをエグゼクティブプロデューサーに迎えて香港風味にしたけど香港映画の持つ破天荒なエネルギーまでは取り込めなかったので中途半端チュートハンパ。うっかり本広監督だと確かめずに見たのさ、私。あ、お好きだったらゴメンね。VFXはなかなかすごい。

 ラクロスを少林少女凛ちゃんに勧める中国人少女役のキティ・チャン【張雨綺】が、いい!チャウ・シンチー監督の『ミラクル7号』のヒロインだって。この子いいよ。

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comment(2) 2008.06.01 10:17

王妃の紋章

http://wwws.warnerbros.co.jp/ouhi/

監督 張芸謀
出演 周潤發(チョウ・ユンファ) コン・リー ジェイ・チョウ
リウ・イエ
 日本でのタイトル「王妃の紋章」よりも原題「満城尽帯黄金甲」のほうがやはりピッタリ、中国語なんてわからなくてもそこら中が金色で埋め尽くされているイメージが湧くでしょう?見事に黄金色の宮中(五代十国、後唐の時代だそうだけど、架空のどこかの国でしょう)、黄金色の甲冑に身を固めた兵士たち、その数たるやものすごい・・・お城のどこにいたんでしょう?
 重陽の節句と日本で言うと、菊をめでる以外のことは浮かばないけれど、9月9日、中国では九の字は久と読みが同じでめでたい数とされ、それがまた重なる、繁栄とか長寿とか、めでたい日なのだ。そのお祝いの日に・・・。

 愛と憎しみと殺戮の物語。それぞれの策謀が絡み、うわあもう数を頼んで派手なこと!諸悪の根源は王なのだけど(悪役は珍しい周潤發、もう少し憎たらしくても良かったかも、なんかそれなりに同情の余地が無いでもないつくりでしたが)、その王によって少しずつ毒を飲まされているコン・リー王妃はそりゃもう貫禄。日本でも2月に武道館コンサートをしたジェイ・チョウ(周杰倫)は元々作曲家から歌手になった人ですよ、台湾での映画『頭文字D』で俳優デビュー。第二王子ね。

 ストーリーは、まあお家騒動ですが、いやいや、張芸謀もうこれ以上時代劇でやること無いでしょう、と思われる絢爛豪華・物量甚大さ加減で、よく似た設定にも思える『女帝エンペラー』より面白かったです、私には。なんと言っても初代謀女郎(そう呼ばれているんです、イーモウ・ガール)コン・リーの貫禄たるや、2代目謀女郎チャン・ツィイーの及ぶところではなく。

 えーと、初め『王家の紋章』だと思っていた私のような人、他にもいる、はず、そう、あのどこまで続くかどうなってるんだかという少女漫画のタイトル、ね?

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comment(2) 2008.04.16 19:02

モンゴル

http://www.mongol-movie.jp/
ファイル 85-1.jpg
監督 セルゲイ・ボドロフ
出演 浅野忠信 スン・ホンレイ(孫紅雷) クーラン・チュラン

 モンゴルの部族の首領の息子として生まれたテムジンが、父に連れられ妻を決めるたびに出る(9歳で!)。父はかつて自らが妻を略奪した部族から息子の妻を迎えることで和解を図るつもりだった。が、途中で立ち寄った村で出合った少女ボルテに「私を妻にしなさい」と言われる。
 と言うところから始まる若き日のチンギスハンの物語。元の歴史書によると、チンギスハンの生涯には空白の時期があるという。その時期は敵方にとらえられていたのではないか、と言う説にのっとり、自由に創作した作品なのだろう。

 静かな、ほとんど無表情に近い浅野忠信、派手な大きな芝居を見せる中国人俳優孫紅雷、私個人はどちらも大好きな俳優なのだが、ちょっと違和感を感じた。が、しかし。なんと言ってもボルテ役の女優の顔立ち、これをモンゴルで美女と言うか?はともかく、ロシア人監督に強いインパクトを与えたまま脳裏から去らなかったんだろう、という印象的な顔立ち、その、ボルテの物語ですよ、これは実は。
 自ら敵方に身を投じ、夫テムジンが迎えに来た時傍らの男の寝首を掻いて待っており、その男の子を身ごもっている。そして、夫テムジンは即座に「俺の子だ」と言う。見ていて異空間に放り投げられた瞬間でしたね。

 それにしても、浅野忠信、まことに実に、いかに過酷な撮影だったことかお察し申し上げます。その広大な草原、砂漠(その昔モンゴル語科の学生だった弟から聞いた話では、ゴビはゴビであって砂漠ではないのだそうだ。あえて言うなら土漠?)、雪と言う自然環境、モンゴル語のセリフ、合間に中国語のセリフが混じるから中国人俳優は結構いただろう、その中に日本人1人、しかも、公式サイトによると覚えていったモンゴル語のセリフを全部変えられちゃったんだって~~~!。
 アカデミー賞外国語映画賞ノミネートが無ければ上映されなかったかもしれないこの作品、良かったねー、ノミネートだけでも。

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comment(0) 2008.04.14 12:41

マイブルーベリーナイツ

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http://www.blueberry-movie.com/
監督 王家衛
出演 ノラ・ジョーンズ ジュード・ロウ ナタリー・ポートマン
音楽 ライ・クーダー

 ウォン・カーウァイの映像、音楽の選び方、本当に大好きなのだ。スクリーンで出会うたびにそこに体を任せて漂う私。

 歌姫ノラ・ジョーンズはこれが初映画出演作なのだそうだ。男に捨てられた女。カフェのオーナーにおいしいブルーベリーパイを勧められ、慰められる。オーナーもまた、忘れられない思いを心にかかえている。未練に絡め取られたまま旅に出る彼女。
 メンフィスで、別れた妻への思いを断ち切れない男とその元
妻に出会い、ラスベガスで人を信じない若い女性ギャンブラーに出会う。
 まあニューヨークもラスベガスも行ったことがないのではあるが、香港と変わらなく見える。いや失礼、私は香港もいまだ知らないのだけれど、ウォン・カーウァイ色に染まると、えーと、カフェのオーナーがトニー・レオンだったら・・・とか、ふと思ってしまう。

 ウォン・カーウァイの作品ではいつも、一方通行の思いが描かれる。
 
 で・・・彼の作品ですら、ハリウッドで撮るとこうなるか・・・。見てない人のために説明はしませんよ。そうか・・・こんなの見たことなかったよなー・・・。
 そういうわけで、ちょっと軽い仕上がりです。どういうわけだか?
 ナタリー・ポートマンいいですよ。彼の映画に出たかったんだって。まあウォン・カーウァイ作品が脚本通りに行かないことはよその国の俳優さんたちの中でも有名らしく、どんどん予定が変わっても面白がられたようだけど、さすがにいつもと違ってちゃんと予定時間内に出来たようで。

MOVIE
comment(0) 2008.03.27 22:27

SweetRain死神の精度

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http://www.shinigaminoseido.jp/
監督 筧昌也
出演 金城武 小西真奈美 富司純子

 たとえば香港映画『ラベンダー』では落っこちてきた天使の役で、中で長めの髪を左右でスズメの尻尾に括ったりなんかしてチャーミングな姿を見せた。金城武には非現実ファンタジーが似合う。本人のちょっと天然な(ゴメン)資質と共鳴する?いや、啓吾やユーリのファンのごめんなさい。

 3つの時代があり、それぞれのエピソードのなかにキャラクターも年齢もそれぞれ違う、金城武演じる死神が現れ、死か生かの判断を下す。すでに本の紹介はこの欄でしてありますよ。時代を超えて存在しているから、新しい言葉の使い方に戸惑って妙なリアクションをする、のは原作と同じだけれど、もっとコミカルに軽い死神。
 小西真奈美さんは全身見ると明らかにモデル体型だけれど顔立ちだけなら、地味にもなりうる、ので、私醜いから、と言う台詞も受け入れられないものでもない。それに対して死神は、いや、見にくいことはない、見やすい、なんてね。

 犬・・・が上司でもまあいいけど、台詞が字幕になって、なんというか、どうも説明的な感じ。全体に、脚本なのか演出の問題か、テレビ的。3つ目のエピソードの富司純子さんは、大好きな女優さんだけれど、この場合、うーん・・・。

 ちょっと中途半端かなあ。金城武ファンには、いろいろな姿が見られてお買い得だけれどね。テレビドラマだったら、何も文句ない。小西さんはなんか不思議な女優さんだよね。薩摩川内市を歩いていたころを知ってる人いませんかあ?

筧監督の金城評に、“いつも俯瞰で作品を見ていて、決して自分だけ目立とうとしない”というのがあったけれど、それは集団劇のような作品では必ずしも美点ではないらしい。『ウィンター・ソング』に続き『投名状』で金城武を起用した陳可辛監督は、ジェット・リー、アンディ・ラウと並んで三人主役のような作品の中で、前に出ようとしない武に困ったようだ。
 ところでその『投名状』もまだ日本では公開されていない、が、死神の精度の撮影は、中国でジョン・ウー監督『赤壁レッドクリフ』の撮影の最中に日本に帰国して行われた。諸葛孔明の役ですぜ。しんどい時代劇が続いた中、ちょっとコミカルな演技でガス抜きしたかな。

後日追記 2度目見ました。ちょっとしたアラがわかっているせいか(富司さんのセリフが伝法だとか、しかも関西なまりの江戸っ子オバサン風)今度のほうが最後でしみじみしてしまったかも。

MOVIE
comment(2) 2008.03.27 13:42

人のセックスを笑うな 〔映画〕

http://hitoseku.com/
監督 井口奈己
出演 永作博美 松山ケンイチ 蒼井優 忍成修吾 あがた森魚
音楽 HAKASE-SUN

 前にこの欄で山崎ナオコーラの原作を紹介してます。

 映画導入部こんなシーン無かったよな、ね、無かったよね、と思いつつ見ましたが、うん、小説の骨格と言うか精神はそのままに、違う肉付けをした作品。なかなか良かったよ。
 なんと言ってもキャスティングがすばらしい。永作ちゃんは原作のイメージとは外見上ずいぶん違う気がする(手許に小説が無いので確かめられない、すんごく物忘れがいいのではっきり憶えていない)けれど、まーチャーミングなおみ足にょっきり!1970年生まれ?39歳の役柄だから、そう遠くない。
 で、美大もしくは美術専門学校の学生である松山ケンイチ、この若くしてカメレオン俳優と呼ばれる人は、この撮影期間絶対に永作演じるユリちゃんにマジ恋していたに違いない、ように思われる。美校の先生ユリちゃんは(実は夫ある身でありながら)、学生のミルメくんを絵のモデルにスカウトし、脱がせ、その先に進んじゃうとってもいけない人だ。男でこういう人はそう珍しくない、が、女にも確かに存在するんだよねこういう困った人。で、、多分初体験であっただろうミルメくんはふわふわ。でも夫ある身のユリちゃんだったのさ。

 美校仲間の女の子は彼に恋しているらしい、仲間の男の子は彼女に恋しているかもしれない、そういう、ありがちなややこしい状態が、大きな事件が起きるわけでもなく描かれる。(そこが好き嫌いが分かれるところらしい。)ユリとミルメのやり取りはアドリブだよねこれって絶対、というところが多い。
 音楽が耳に残る。
 松山ケンイチ君のファンの人が多かったのだろう。割と人が入っていたけれど、地味な作品。あの場所は群馬県の桐生なんだろうな。行ってみたい。実に地味な町。そういえば風船がふと出てきたな。

 チケット買うときに、「人のセックスを笑うな」を、と言って、「人のセックスを笑うな女性一枚ですね」「はい」と、当たり前ですがそんなやり取りがありました・・・。

MOVIE
comment(0) 2008.02.28 15:02

ラスト、コーション

ファイル 80-1.jpghttp://www.wisepolicy.com/lust_caution/
監督 李安(アン・リー)
出演 トニー・レオン タン・ウェイ ワン・リーホン
 
 1940年前後、日本占領下の香港の大学生演劇サークルが、抗日運動に参加する。1942年の上海、女スパイとなって、日本軍に加担する特務機関の男に近づき・・・。
 もちろんその時代の大学生は現在とは比べ物にならない知性を持つはずである、が、いつの時代もどこでも、時代が大きく変化する時に学生が、ただ頭で考えて実行し、それを利用する大人がいるものだというようなことも頭をかすめ、ちょっと苦笑してしまうシーンがあったのは、全共闘と呼ばれる人々を知っている世代だからかも。
 なんだろう、何がそんなに二人を惹きつけた?何ということも無いよね、恋に落ちるときはお互いの魂が磁力を持つのだろう。失敗すれば死が待っているからこその高まりもあるだろう。ほとんど痛ましいほどの性愛のシーンが展開される、のでありますが、まるで淫らに感じる余裕もない緊張感を、久しぶりにお目にかかるボカシがむやみと。

 トニーさんよくここまで、と思いますが、ではトニーでなかったら誰か?考えても誰も浮かばない。女スパイを演じるタン・ウェイはいい女優です。王力宏(ワン・リーホン)が、歌手の芝居ではない、俳優になっています。

 エドワード・ヤン監督の映画によく出ていたクー・ユールンとか、あれえ、ドゥオ・ゾンファってそんなにおじさんになってたんだ、とか、脇に(台湾映画をよく見ている人なら)あとで気付いてびっくりの俳優さんが出ています。

 この映画、前売りを買ったら指輪が付いてきたんだよね、しかも色を選べるの。その意味が、なーるほど、でありました。
 Lust色欲です。Lastではないよ。

MOVIE
comment(0) 2008.02.03 22:52

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