柳川

監督 チャン・リュル張律

出演 ニー・ニー倪 妮 張魯一 辛柏青 池松壮亮 中野良子

自分がステージ4の癌であることを知ったドン。兄、チュンを日本の柳川への旅に誘う。かつてチュンの恋人であり、ドンもまた想いを寄せていた女性の名前も、“柳川 リウ・チュアン”だったから。彼女はある日突然姿を消してしまったのだったが、今は柳川で暮らしているという。

前半は、中国人向けの観光映画ですか?な、但し白秋とかお花とか柳川鍋とかワラスボとかムツゴロウとかトンと出てこない。水郷柳川の川下り、舟のシーンはふんだんに。オノ・ヨーコの生まれたところであることが、アクセントとして出てくる。

バーで歌っているリウ・チュアン、その歌はレノン、ヨーコの“Oh my love”、歌い終わるとまっすぐに兄弟のテーブルに向かってくる。なんと同じ宿に泊まっている。宿の亭主(池松壮亮)とイギリスで出会い、自分と同じ名前の場所が日本にあると知って、やってきたのだ。

死を前にして、唐突に消えてしまった青春の日の女性を思う、のはわからないではない。が、兄のほうはあり得ねえ!と言いたい。次第にわかってくるのだが、かつて兄はほかの女性に心を移したのだ。振ったくせに昔の女とやりたい男はそりゃいるだろうが、20年も前に自分を振った男と寝たい女はいねえよ。

池松壮亮演じる男もまた、リウ・チュアンを好きなのだが、この男、17歳で父親になってしまった過去を持つ。

この監督の作品を初めて観た。朝鮮族の中国人で、今は韓国在住なのだそうだ。なるほど、それでリュルなのか。説明の少ない、格別の物語があるでもない、行間を読む、といった映画。中野良子が居酒屋の主で出演、その昔『君よ憤怒の川を渡れ』という作品により、高倉健とともに中国で人気者になったのだ。今はめったに日本ではお目にかからないけど。まあその“君よ・・・”もなんだかな妙な映画だったんだが。

ニー・ニーはドラマ『桃花』シリーズの仙女役で知った女優だった。歌も、ダンスも、うまい。主役3人とも、ダンスうまい。さすが中国の役者は訓練度が…と思う。英語力もさ。いったい何歳と何歳で恋愛してたんだよ、高校生?この映画の中ではあまり年齢差は無い設定だと納得しよう。そして、この兄弟仕事は?と思ってしまったが、少なくとも弟のほうは親の遺産で暮らしていることになっているようだ。

原題『慢長的告白』長ーい告白。

 

 

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