誓願
著者 マーガレット・アトウッド
ハヤカワepi文庫
『侍女の物語』から15年後の、あの男性上位男尊女卑国家ギレアデの物語。あの、と言っても読んだのがいつだったか、ギレアデの国家の仕組みをちゃんと覚えてなどいなかった私である。そして、この『誓願』で、まず最初の語り手は誰なのか?次の章の証人の供述はいつの、誰の?などが知らされないまま進んでいくので、一つ一つ嚙み砕こうとして時間がかかった…が、ちゃんと目次、それぞれの表題を見ておかなかった私が悪うございました。
ギレアデ、核汚染やさまざまな問題を抱えて維持が難しくなっていたアメリカ合衆国にある日クーデターが起こり、東海岸方面に生まれた、キリスト教原理主義による男性優位国家。身分制度(女性たちには特に奇妙な)がはっきりとあり、監視社会である。イランとか、イスラム教の国で突然国家体制がはるか昔の形に戻り、女性が教育を受けられなくなるなどの例はしばしば見聞きする。それがアメリカという国で、という話だが、2025年現在、トランプ大統領というお方がなにかと引っ掻き回している状況、性別は男性と女性だけ、LGBTQ?知らん、という態度など、第二次世界大戦以前の社会へ戻そうとしているようだし、全くの虚構でも無さそうに思えてしまう。芸能界、マスコミの一部に、実にいつの時代だ!と思われる女性蔑視的な姿勢がまだ残っていることを知らされた昨今の日本であるし。
『侍女の物語』から続けて読めればよかったなー、と思う話。リディア小母という人の在り方など特に。長い話だが、読後感は悪くないですよ。
調べたことがすべて記憶に残るものなら…。今朝の新聞で、高校入試に、まさに茨木のり…