二つの月の記憶

著者 岸田今日子

出版社 講談社

小説現代増刊「メフィスト」に連載された短編集、ということだが、メフィストと言うものの存在を知らなかったな。

最初の『オートバイ』、その後半に、マンディアルグの『オートバイ』と言う小説を、かつて愛した若者がくれた、というエピソードがあって。1968年の映画ではアラン・ドロンとマリアンヌ・フェイスフルで『あの胸にもう一度』と言うタイトルになった、けれど、原作では禿げた中年の哲学者で、などと思い出す。そしてそこからインスパイアされたかという物語を岸田今日子さんはこんな形に紡ぐかー…。

メフィスト はミステリー・伝奇小説・SFなどの分野のものだそうで。でもこの短編集をどんなジャンルにくくるかというと、むずかしい。かつて「子供にしてあげたお話してあげなかったお話」を読んだ、そのあと私はなぜこの人のものを読まなかったかなあ、と、思う。女優の書いた物語ではない、本物の書き手による(女優としての物語が、最後の『引き裂かれて』であるが)、稀有な作品だと思う。

2005年に連載されて、2006年12月には76歳で亡くなっている。

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