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それでもボクはやってない

http://www.soreboku.jp/index.html
監督 周防正行
出演 加瀬亮 瀬戸朝香 役所広司
 
 さて、周防監督が『Shal we ダンス?』から11年に及ぶお休み期間を経て世に出した作品であります。ちなみに私が今までの監督作品で一番好きなのは、その前の『シコ踏んじゃった』学生相撲映画の前の、『ファンシーダンス』坊さん修行映画でした。
 見始めはちょっとね、うーん、こういう地味な作品はビデオでよかったかな…などと思ったのです。皆さん御存知だと思いますが痴漢の冤罪と戦うお話ね。つい最近志布志の選挙違反冤罪事件が晴れて全員無罪を勝ち取ったというニュースがあり、冤罪と言うものがかくも簡単に身近に起りうることを実感させられたばかり。
 で・・・皆さん、やっぱり見ておいたほうがいいかと思いますよ。実に緻密な取材の上に作られた作品だということが良くわかります。周防監督作品は、まず素材、テーマの選び方ありき、その上で達者な役者陣、また意外なキャスティングで突拍子もない展開を見せてくれていましたが、今回はテーマこそ監督らしい選択だけれど、あまり笑いを取らない、真摯に取り組みました、と言う作品になっています。何かの弾みで誰もがこんな事態にならないとも限らない…お勉強しておきませんか?皆様。

MOVIE
comment(0) 2007.03.12 15:42

ココシリ 

中国映画 DVD鑑賞
http://entertainment.aol.co.jp/movie/kekexili/interview.html
監督 ルー・チュアン
出演 デュオ・ブジエ チャン・レイ キィ・リャン


 ファイル 47-1.jpg  最高級毛織物の原料となるというチベットカモシカの密猟者を追う民間のマウンテンパトロールの物語。と一言で言うな!とどこかから声がしそうな過酷な、追う者追われる者命を賭けた過酷な状況が描かれる。一人の新聞記者がそのパトロールに同行取材を申し込む。
 ココシリとは、チベット語で美しい山、モンゴル語で美しい娘の意味だそうだ。海抜4700mの厳しい自然、追われる密猟者も、実はそれをやらなくてはどうやって生きて行くのか、という問題を抱えている。もちろんボスはカモシカ成金のいやな奴なのだが。日本の捕鯨調査船に対して環境保護団体が過激な妨害活動をした事件なども思い起こさせる。

 数人を除いて、ほとんどが現地の素人が演じているという。事実を基にした作品であり、このことが記事になった結果、自然保護局が作られ、絶滅の危機に瀕していたチベットカモシカの頭数が回復してきているそうである
 なんだそれはえらく地味な環境告発映画か?と思うでしょ、でもね、すごいよ、この作品。

MOVIE
comment(0) 2007.02.22 20:36

墨攻 

http://www.bokkou.jp/
監督 ジェイコブ・チャン張之亮
撮影監督 坂本善尚
音楽 川合憲次
出演 アンディ・ラウ劉徳華(香港) アン・ソンギ安聖基(韓国) 王志文(中国) 呉奇隆(台湾) 
原作小説 酒見賢一
マンガ 森秀樹 マンガ原作 久保田千太郎

 2000年以上前の中国に存在したと言われる墨家、自ら攻撃することはなく、守るための戦術に長けている。その1人である革離が、梁の国の要請により、趙国との戦いのためにたった一人でやって来る。
 原作マンガでは小太りの坊主頭の革離を、アンディ・ラウが演じ、原作にないロマンスも描かれる。
 さてこの各国合作による作品、それぞれの俳優がいいですよ。アンディ、アン・ソンギ、王志文、見事です。王子役は韓国ドラマ『春のワルツ』のヒロインの弟役もやっているチェ・シウォン、でも私はそのドラマを見ていないので、あー韓国っぽい顔、と思ったぐらいでありました。かつてニッキー・ウーと呼ばれ、小虎隊という台湾版少年隊の一員だった呉基隆を映画で初めて見ましたな、金城武を加えて台湾四小天王と呼ばれた時代があります。手を落とされる人ね。小虎隊のころはビビアン・スーのボーイフレンドだったそうです。
 すごい大作です。なんというか勢いのような物が、中国大陸の大監督による作品とどこか違う、香港映画らしさがあります。チャン・イーモウ監督やチェン・カイコー監督の映像には軍隊を描くにも形式的な美学と言うような感じがあるけれど、何かそれと違う勢い、が。
北京語ペラペラでも時代劇には南方なまりが気になるようで(私たちには残念なことに)アンディさんの声は吹き替え、ですがアン・ソンギはやや韓国語なまりのチャチュチョ音が入っている本人の声、中国公開版では吹き替えだそうです。中国版のDVDでは良く似た声でした。アンディはまるっきり違う声なのはなぜ?
 音楽が印象に残ります。おおたか静流の歌声も。

未分類
comment(0) 2007.02.18 15:11

武士の一分

http://www.ichibun.jp/
監督 山田洋次
出演 木村拓哉 檀れい

 この映画の木村拓哉と言う人を見て思ったのは、技術を緻密に積み重ねている人、ということ。映画を見ていて、やはりキムタクだと思う、その役の人、と言うよりキムタクと言う感じがする、のでありつつも。おそらくTVで見せるいかにも自然体風と言う、最近いささか鼻に付く感じもあるあの演技も、きっとすごく研究した上でのことだったんだろうと思う。
 刀の握り方、その指が、正しい持ち方をしているのだそうです。剣道をやっている人から見るとそれがわかるそうです。殺陣が自然です。山田洋次監督が高く評価しているのは、その、実は人一倍努力の人、と言う部分あってのことなのでしょうか?
 宝塚出身で初の映画出演だと言う檀れい、この人の演技がとてもいい。舞台、それも宝塚の癖のような気配が無い。素直なきれいな、と言いたい演技。
 
 最後に素直にうるうるさせられる作品でした。
 

MOVIE
comment(0) 2007.02.10 01:08

ディパーテッド 

http://wwws.warnerbros.co.jp/thedeparted/
監督 マーティン・スコセッシ
出演 レオナルド・ディカプリオ マット・デイモン ジャック・ニコルソン

 香港ノワール近年の傑作シリーズ『インファナルアフェア無間道』を、ハリウッドがリメイクすると、まーあこんなにわかりやすくなるのねー・・・!
 『インファナルアフェアⅠ』を基本に、ⅡとⅢの要素を取り込んで、結末を変えてある。二人分の役がひとりになっていたり、逆に1人だったのが2人になっていたり、少しずつ変わっている。
 うん、これはこれでよくできています、楽しめます。主役2人が同じ女に惚れるとか、ギャングのボスがそんなにチンピラにじかに近づいたりするもんかい?とか、安直な部分はあるにしても。音楽が大変好みでありました。レオさま良いよ。

 まあそれはそれとして、トニー、アンディ、秋生さん、エリック・ツァンなど、元ネタ映画の俳優陣の演技力は、どこにもひけをとらない、と言うより、うまいよ。そして元ネタ映画のあの何重にも伏線を張った、見事な作りに今更ながら感服仕る。

departed 1 死んだ, 亡くなった, 今はない. 2 ((文))過ぎ去った, 過去の.
the departed
(1)((単数扱い))(特定の)故人. (2)((集合的))((複数扱い))死者(▼よりよい世界へ行ったことを暗示する, 主に宗教上の用語).
だそうです。ヤフーの辞書検索より。

MOVIE
comment(0) 2007.02.01 20:35

夏物語 韓国映画

監督 チョ・グンシク
出演 イ・ビョンホン ス・エ
ファイル 43-1.jpg  
 韓流の俳優の中ではイ・ビョンホンがお気に入り、なので、韓国ではあまり入りが良くなかったとか聞きつつも見ましたよ、「夏物語」。
 アジア映画を見るときは、その国の社会状況、政治について学ぶことが多い。隣国のことだれど、ごく近い過去のことだけれど、似ているけれどあまりに違う。
 始まりは現代、人気の大学教授をTVの“あの人に会いたい”系の番組に借り出そうとするテレビ局。そしてその教授の学生時代の思い出へ。1969年、人類が初めて月面着陸した年、お隣韓国は軍事政権で外出時間の制限もあったようです。都会の学生たちがボランティアで農村の手伝いに出かけ、少女に出会い・・・。
 時代の流れに翻弄されて離れ離れになる恋人たち。
 現実には、ある時期涙に暮れてもいつか新しい出会いがあって結婚したり子供が出来たり或いは離婚したり、となるところだけれど。ドラマ『ラブレター』のス・エを、イ・ビョンホンがこの役に推薦したとか。
 あなたが少し疲れていて、涙して心を緩めたいような時に、ごらんください。

MOVIE
comment(0) 2007.01.30 15:44

人のセックスを笑うな

ファイル 42-1.jpg
山崎ナオコーラ著。河出文庫。
>>
 ぶらぶらと垂らした足が下から見えるほど低い空を、小鳥の群れが飛んだ。
<<
 と始まる。なんだ?あー、小鳥の足ね。にんげんの足をイメージしてしまった。

 39歳のユリちゃんと美術の専門学校の学生のオレ、の、恋愛、セックス。まあ、はっきり言えばその学校の教師であるユリちゃんに押し倒されたようなその関係、しかもユリちゃんは既婚。そのだんなさんである猪熊さんに、ちょっと好意を抱いてしまうオレ。なんんだかわかるようなわからないような悩みを抱えているユリちゃんに、結局振られてしまうオレ。

 女性にとっての夢みたいな小説、とも思える・・・。若い男性が読んで、どうなんだろう。若い男性にとっても、やっぱりある種夢みたいな、小説だろうと思う。ぴちぴちギャルにしか興味のないオトコノコもいるだろうけどね。ワタナベジュンイチと言う人がいつもある種の男の夢みたいな小説を(本人は現実を書いているつもりだろうけど)書いていて、読みたくもない私ですが、そういうのと、は、違う。言葉、表現のセンスがね、まるで。

BOOK
comment(0) 2007.01.22 21:37

恋文の翻訳ー日中おうらいー  陳躍

 ファイル 41-1.jpg 通い始めた頃の中国語講座の、隣のクラスの先生は、南日本新聞に連載されていた「日中おうらい」をを書いている人だった。ラジオやテレビの中国語講座を頼りに独学で中国語を勉強しているころ、中国関係と見ると何でも飛びついたものだったのだ。が、そんなことを抜きにしてもとても楽しく読めて発見が多い読み物だった。
 まとめて本になった物をあらためて読み直すと、実に、うまい。時に鹿児島弁を交え(~だがね、とオクサンが言うとか)、時にオチンチンを中国語でなんというか(小鶏鶏シャオジージと言うらしい)など入り込み、人に読ませる、読んでもらう文章を書くこととはこういうことか、と思う。それでいて中国人と日本人の違い、誤解がどこから来ているか、理解できてくる。それはもちろん著者の人柄と、身に備わった文才あってのものだが、それに加えて、どんな風に努力し、工夫したことだろう。1958年上海生まれ、文革を経験、上海師範大学卒業、筑波大を経て1994年鹿児島大学大学院文化人類学研究室修士号修得、とプロフィールにある。
 そして、この陳先生は、日本語で書いた詩集『故郷』によって2004年には地元新聞社の主催による南日本文学賞を受賞している。詩ですよ!

 これを読んだあとに、梨木香歩の随筆『春になったら苺を摘みに』(新潮文庫)を読んだ。 1959年鹿児島生まれであるという著者が、英国滞在中に出逢った人々との交流が描かれている。下宿の主人ウエスト夫人という稀有な豊かな女性を中心に、交友が広がって行く。
 両方の著作に共通しているのは、他国の言語を、日常生活に不自由ない以上、ある程度哲学的形而上学的なことまで表現できるところまで修得した人の、出来うる限り公平であろう、わからないことまでわかった気にならないで、且つ、自分の位置にしっかり立っていようとする姿勢、というようなことだ。

 自戒し、ああもうちょっと中国語をきちんと勉強しようと思うああるであった。
 

BOOK
comment(0) 2007.01.15 13:24

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