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陽気なギャングが地球を回す

ファイル 26-1.jpghttp://www.yo-gang.com/

監督 前田哲 出演 大沢たかお 鈴木京香 松田翔太 佐藤浩市 

伊坂幸太郎 著 祥伝社文庫

人の嘘を見抜ける男 ( 大沢たかお ) 、体内時計を持つ女 ( 鈴木京香 ) 、天才スリ ( 松田翔太 ) 、饒舌なる演説男 ( 佐藤浩市 ) の 4 人による銀行強盗、それを略奪する別のギャングたち、さてその成り行きは、というお話。こういう映画ってこういう結末になってくれなきゃね、という作品です。本広克行監督の『スペーストラベラーズ』と似た設定だな、とかメル・ギブソン、ジョディー・フォスター共演の『マーヴェリック』に雰囲気似ているかな、とか思いつつ見ていると、なんだか佐藤浩市演じるところの男がいろいろ薀蓄かつ屁理屈を述べてくれるのでして、そんなことや、銀行強盗になんとまあサイケデリック ( 死語? ) 漫画チックなスーツをお召しで、なんてことによく笑いました。

素っ頓狂な役柄になると鈴木京香さんはとってもいいのですね、いつもながら ( 『ゼブラーマン』のゼブラナースとか ) 。松田翔太は・・・まだ素のままそこにいる、という感じ以上ではなく、この素材を上手く生かしてくれる監督・作品に出会うことをお祈り申し上げたいものです。大沢たかおさんは佐藤浩市より松田翔太より背が高いのね。こんなかっこいいい強盗団がさっさとつかまらないなんて、と言っちゃいけません、かっこいい男たち、かっこいい女たちが、おー、そうですかこんなことに、と楽しんでしまえばいいシンプルな作品。

小説の方は、それぞれの章ごとにキーワードの解説がついていますが、
じかん【時間】人生の充実と比例して進みが速くなる。退屈と比例して進みが遅くなり、授業中には止まっていると錯覚を受けることもある。
 がその一例。
 響野氏の饒舌な薀蓄も映画よりバリエーション豊か。
 4章からなる構成というのはリチャード・スタークの“悪党パーカー”シリーズと同様なのだそうです。それにも手を伸ばして欲しいと解説にあるので、いずれ手を伸ばす所存です。

MOVIE+BOOK
comment(0) 2006.05.28 14:55

「寝ずの番」

マキノ雅彦監督
http://www.herald.co.jp/official/nezunoban/

はーーー、びっくりしたー。

R指定18禁どころか、だーれにもお勧めできなーい・・・下ネタ満載。落語家さんが倒れて、手術する、けれどもう危ない、シーンから始まり、あー活字に出来ない放送できない言語がすぐに発せられます。連発です。中島らも原作かー。

のっけからケラケラ笑わせていただきましたが、少なくとも途中までは、じゃあこれが好きな映画に入るかというとおいおい勘弁してくれよ、という気分でした。

次々に関係者が突然死して、お通夜、お葬式です。落語家の奥さんは元芸者さんということで、それはそれは次々に春歌というかお座敷歌の上品ならざる系統を聞かせていただきました。そういうお座敷文化 ( ! ) があるってことなのねー・・・お勉強になったわー。素人に太刀打ちできない世界ってものだわー。

かといって、ベタに下品ではないのですよ。大女優富司純子さんはもちろんのこと、木村佳乃がとてもよくて ( さらっとスカートをめくり、とか ) 、助演女優賞候補がもうひとり現れた、と思いました。春歌猥歌三昧のシーンで、中井貴一の声の良いこと、まさか吹き替え?と疑うほど。

我が日本のお座敷文化に御関心をお持ちの方、よろしかったらご覧ください。6月には休館して しまうシネシティ文化にて。そうそう、監督は俳優・津川雅彦です。

MOVIE
comment(0) 2006.05.16 14:42

「イルカ」よしもとばなな

たまにはベストセラーを、と、噂の本屋大賞『東京タワー』リリー・フランキーか、あの劇団 ひとりの『陰日向に咲く』かどちらか読んでみるつもりで書店に行ったのに、買ったのはよしもとばななの新作「イルカ」だった。
十いくつ年上の女性ユキコと長く付き合っている五郎と、小説家のキミコの出会いがあって、妊娠ということが起り、結婚はしないけれど出産する、と短く言えばそういうお話。
あっさりと淡々と性的に放縦な人が出てくることがよくあるばななさんの小説、以下はたとえば「イルカ」におけるその種の表現の例。
☆当時あまりにもやりまくりすぎて、今は肉体関係を結ぶことは盆暮れ正月にもない
☆たいていの人はなんだかんだ言って、セックスのマナーが気持悪いのだ。なにで勉強したかわかってしまう。人間相手に勉強した人は意外に少ない。
☆「ええと、失礼ですが、あの時期に俺以外の人と寝ましたか? 他に可能性のある男はいますか?」
そして、超自然的な、オーラの泉的なことがこの小説の中でも当たり前のように起っていく。イルカには人間の心を読む超能力があると言う話をよく聞くが、3回目のデートで 水族館に行ってイルカをみたその夜、五郎と寝た、というエピソードがあるだけ、それでこのタイトルになる。
たとえば「キッチン」でも、肉親ではない人たちとの擬似家族関係のようなことが描かれる。そしてある種、浮遊・変動するであろう関係、のなかでの信頼というようなものが 描かれる。
☆「私たちにはこういうフレッシュな生き物が必要だったのね!」と妹は何度も言った
というシーンがある。
私にもね、こういう、命の、光の、物語が必要で、梨木香歩の「沼地のある森を抜けて」や、 この「イルカ」にふっと引き付けられたのだと思う…高齢家族との、滅びに向かう日常のなかで。そして、今生における我が身の人との関係のありようを反省し、来世にはもう少しまっとうに潔く、と心するのでありましたよ、いや、私事にて失礼。

BOOK
comment(0) 2006.05.08 14:40

「スピリット 霍元甲 」「 The Myth 神話」「トムヤムクン」

The Myth 神話 http://www.themyth.jce.com.hk/indextw.html
トム・ヤム・クン http://www.tyg-movie.jp/

ジェット・リー 李連杰 1963 年生まれ、中村獅童がなかなかお得な役柄で共演している「スピリット ( 中国 ) 」、中村獅童の空中演技はスタントであることがバレバレでありつつも、がんばっています。ジェット・リーのカンフー演技は相変わらず美しい。それに、演技力が付いてきましたね。ただ、何か物足りない気がしました。異種格闘技大会場面が多かったのに、アクション映画として何か物足りない・・・。『少林寺』の頃の舞いのような団体拳法演技を求めたい気持があるからでしょうか。

ジャッキー・チェン成龍 1954 年生まれ、韓国の美人女優キム・ヒソン共演の「ザ・ミス ( 香港 ) 」、香港映画にはそう珍しくない輪廻もの。インドの俳優も出ていて、最近流行のアジア各国の俳優とのコラボレーション大作。インド人の老師が、「ヤングマン!」と呼びかけるのですよ・・・そりゃ無理あるでしょう、ジャッキー 52 歳。そうは言っても、この前の「ニュー・ポリスストーリー」といい、ジャッキー映画は香港製作がやはり好い。それにも出て、今回も出ていたという日本人葉山豪 ( ひろ ) という俳優がいるのですが、どの人だかわからなーい!台湾でモデルとして活動した後、香港に渡ってジャッキーの事務所に所属しているそうです。
ところで、広東語・英語の台詞はジャッキー本人でしたが、北京語はなぜか吹き替え。キム・ヒソンが中国語を頑張っているのに。おまけの NG 集ではレオン・カーファイに向かって北京語がナマッテルなんて言っているのに。北京語でヒット曲出してるのに。

さて、トニー・ジャー 1976 年生まれ、トニー・ジャーは外国向けの名前で、パノム・イーラムが本名なんだとか。「マッハ!」に続く主演作「トム・ヤム・クン ( タイ ) 」ですが、いやいやこの生身のアクションはもう笑うほどすごい!元々スタントマンだそうです。時代はトニー・ジャーでしょう、やっぱり。
で、映画「トム・ヤム・クン」の中で中国人ニューハーフやくざの怖いおねえさんが出てくるのです。アクションが出来るのです。何者 ? と思ったら、有名なバレエダンサーで、中国政府の許可を取って性転換したのだそうで。ベトナム人役の手下さんも気になります。ベトナムとアメリカの混血だそうです。ちょっといい男でした。はは。
ジャッキーのこと大好きなんですね、トニー・ジャーさん。同じように本編終了後におまけ付き。別に NG 集というわけではなかったけれど。
タイ語は、さすがに一言もわからない。さわでぃかーっぷ と聞こえる挨拶の言葉だけしか。それがちょっとね、くやしいけれども、いくらなんでもタイ語までは手を伸ばしきれない私であります。

MOVIE
comment(0) 2006.05.05 14:39

「デュエリスト」韓国映画

http://www.duelist-movie.jp/

監督 イ・ミョンセ 出演 ハ・ジウォン カン・ドンウォン アン・ソンギ

かくも耽美な映像にして、麗しのカン・ドンウォンを比類無く美しく見せ、美しく動かし、そしてコメディ仕立てだなんて!

韓国にもクリストファー・ドイル ( 香港の王家衛監督『ブエノスアイレス』『2046』など、中国の張芸謀監督『ヒーロー』『ラヴァーズ』などのカメラマン ) がいるのね、という鮮やかにして速く大きく動くカメラワーク、そしてダンスのレッスンをみっちり受けたというカン・ドンウォンの動きの、その 186 センチの体をしなやかに使いこなして剣を振るう姿のなんと美しいこと。すべて本人が演じているらしい。

原作はドラマ『チェオクの剣』と同じ韓国のマンガ『茶母ナムスン』だそうで、ハ・ジウォンは同じ役をやっていることになるけれど、キャラクターはまったく別人。なんぼなんでもうるさいよ、というほど。そこへ、名優アン・ソンギが狂言回し的に出ているのがコメディ演技でありながら引き締め、引き立てる。

とは言え、映像に気を取られてストーリーはなんだっけ?になってしまう、のではあり、きっちりとストーリーを追いたい人にはお勧めは出来ません。クリストファー・ドイルのカメラや、北野武監督の映像が好きな人、そしてダンスが好きな人にも多分お勧めできるはずです。貴公子好きの方もどうぞ。

MOVIE
comment(0) 2006.04.27 14:35

「沼地のある森を抜けて」 梨木香歩

梨木香歩 1959年鹿児島生まれ、イギリス留学、滋賀在住、だそうです。鹿児島生まれと知ってこの人の物を読み始めました。
始まりはぬか床だった、ぬか床がうめくのだと帯にあるので、ホラーか?「ほの暗い水の底から」の親戚か?というような気がしてしまうのですが・・・読み 終わったところで、はあーっ、すごい、とつぶやいてしまいました。酵母菌に始まり、壮大な命の流れ、生命とは、というところに行き着くファンタジーなので す。ファンタジーと言ってもユニコーンやいわゆる魔法や妖精が出てくるわけではありません。それに、途中に挟み込まれる“かつて風に靡く白銀の草原があっ たシマの話”という部分がいまひとつ良くわからない、のでありつつも、命ということについて物思う機会があるときに何かふと、救われる、そういう出会いに なるかもしれません。
この人の「からくりからくさ」を読んだ時に、ひょっとしてルーツは奄美?と思ったのだけれど、この「沼地のある森を抜けて」にはガジュマルやアダンが生えてる島がでてきます。

試しに、「西の魔女が死んだ」を読んでみてください。文庫に入っています。それが気に入った方、他の作品をどうぞ。それぞれが連作っぽい作りになっていますし。

BOOK
comment(0) 2006.04.24 14:30

ブロークバックマウンテン

監督アン・リー(李安)、最近では2000年「グリーンデスティニー」とか'03年「ハルク」など、台湾からハリウッドに進出してこの『ブロークバックマウンテン』でベネチアの金獅子賞、アカデミー賞で監督賞、ほかいろいろ受賞 。
'60年代のカウボーイ同士が、同性愛の状況に落ちる、そして・・・20年の歴史の物語です。見始めてからだいぶ経つまで、なんだか違和感がありました。これ、そんなにいい映画か?なんだか違わないか?そしてほぼ終盤に近くなって、しーんとしみてきて、見終わってから、香港映画「美少年の恋」中国映画(監督は 香港だけど)「藍宇(情熱の嵐)」などのゲイムーヴィーの終わりごろのシーンを思い浮かべ、しばらく思いに漂っていました。

性的にマイノリティであること、時代、地域性、キリスト教、という背景を負っているからこその作品なのですが、自分がどの立場に立つかによって感想はずいぶん違うでしょう。奥さんの立場になってみろ、とか、子どもが知ったら、とか、気分を悪くする人もいるでしょう。

ほとんど暴力的な勢いで恋に落ちる、欲情する、という状況からずいぶん離れてしまったこの頃であることなど我が身を省みたりも致しました。
道を阻む物が山のようにあるからこそ20年にわたって熱情が続いたのではあるでしょうが、もしも時代が違い、背景が違えば、魂の片割れと運良く出会ったカップルとしての穏やかな日々があったのかもしれません。

アン・リー監督には、台湾時代に「ウエディングバンケット」('93)というゲイカップルとその回りを描いた作品があります。まるで雰囲気も色合いも違う作品です。あ、御存じない方に念のため、監督は男性ですよ。

MOVIE
comment(0) 2006.04.19 14:29

トニー滝谷

http://www.tonytakitani.com/
西島秀俊の、脱力のナレーション、セピアに色を落とした映像、時にほとんどモノトーンに見え、ふと気づくと色づいている画面。
イッセー尾形、宮沢りえ、ともに二役。ほとんど演じていないように、見える、存在の仕方。
人によっては、透明なナイフを胸に当てられるような痛みを感じるかもしれない、けれども、この映画によってなにが語られようとしているのかおよそ感じない人もいる、だろう。

金城武主演の、「ターンレフトターンライト」という香港映画があります。ジミーという台湾の絵本作家の原作を映画化した、アイドル路線と言ってもいいかわいらしい映画です・・・が、少しだけ、孤独な魂のありようが似ている気が、したせいか、38歳ぐらいになった金城武でリメイクすることをふと夢想しました。
村上春樹の原作を、後で読みました。ナレーションの西島秀俊がもっと年を取ったあたりの方が、原作のイメージに近いかもしれません。
市川準監督作品「東京夜曲」ビデオに録って、途中でなぜか見続けられなくなったまま置いてあるのです。そろそろ再チャレンジしてみましょう。

MOVIE
comment(0) 2006.03.14 14:28

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