サトリ

サトリ著者 ドン・ウィンズロウ   原案 トレヴェニアン 「シブミ」

ハヤカワ文庫

寡聞にして全く知らず、その原案「シブミ」なる小説。

胡散臭さ満載、な匂いのタイトル。ウィンズロウのニ―ル・ケアリー物のファンなので、この作家の東洋趣味というか、アジアへの関心度が高いらしいことは想像がつく。

えーと、だから元の小説があって、その主人公(上海で生まれ、日本で育ったロシア人、ニコライ・ヘル)の若いころのエピソード。1951年10月の東京、巣鴨拘置所から釈放され、CIA局員のハヴァフォードから、ある任務を課される、のだが、巣鴨を出た人間をすぐに正式な茶の湯の会に招くっておい!第二部では舞台は1952年の北京。確かに、“食事はもうすみましたか”という意味の『吃饭了吗?』はこんにちは、とかおはよう、とかハーイ、とかの意味の言葉だが、ホテルのフロントの女性に向かって言わないと思うぞ、おい。など、まことによく研究してあるけれど、突っ込みどころたっぷり。

とは言え、そんなことにはこだわらず、アジアを股に掛ける冒険小説、当然美女とのロマンスあり、面白いよ。第三部では中国雲南省へ舞台が跳び、アメリカ・ロシア・中国・フランス人そしてコルシカマフィア、と出てくると、えーと、そもそも主人公の任務って何だったっけ?と、こんがらかってしまう(私だけか?)。囲碁の達人でもあるニコライは、時に囲碁の勝負になぞらえて戦略を考える。囲碁に詳しい人はどう思うか聞いてみたいところだ。

コブラ という暗殺者が、ちらっと出てくる。そしてなんと!・・・注意深く読んでいる人なら、あちらこちらに何かと伏線が張ってあることに気づくのだろうが。

前日譚なのだから、いかに危険でも最低限生き残ることになっているよね。

で、ちらほら人々の感想を目にするところ、本家「シブミ」のほうが、日本に関する記述など、深みがあるらしい。近いうちに探したい。是非。それにしてもシブミって。

 

コメントをどうぞ

コメント(*必須)

CAPTCHA


*