流麻溝十五号

監督 周美玲ゼロ・チョウ

出演 余佩真ユー・ペイチュン 連俞涵リエン・ユーハン 徐麗雯シュー・リーウェン 徐韜シュー・タオ

台湾、1953年、白色テロの時代。白色テロって何?台湾では、共産党狩り、赤狩り、の意味になる状況が、1947年の2・28事件以来、1950年代を中心にあった。日本人は太平洋戦争で敗戦したと同時に、貧困の中であっても平和を迎えたので、隣国台湾や朝鮮半島ではまだ戦争状態が続いていたり、戒厳令が後々まで存在していたことを知らずに生きてしまうことが多いだろう。

中国大陸での共産党との戦いに敗れた蒋介石が台湾に来て、国民党政府を建てたのが1949年。民主主義は名ばかりの恐怖政治の時代、緑島(火焼島)に政治犯が収容されていた。政治犯とされる女性たちが収容されていたところの住所が、『流麻溝十五号』。思想改造、教育校正を目的とされていたが行われていたのは重労働。

1945年に日本統治時代が終わってまだ数年の頃だから、日本語が普通に使われる。おかあさん と呼びかける。台湾語、北京語、そのほか台湾の方言も使われていたか。日本語が多いのは、大陸からやってきた支配者たちには通じない言語だからだろう。主人公の絵の上手な少女は、古川琴音サンに似てるよね。そして過酷な環境の中でも恋愛は生まれる。

侯孝賢の『悲情城市』ほか、台湾映画をよく観ている人にはこの時代の状況を目にすることは珍しいことではないが。ここまでひどいことではなくても、台湾の戒厳令が解除されたのは1987年だって。軍のもとに自由や人権が制限される、思想の自由は存在しない。思想犯を収容と言ったって実際にそうだったのは1割いるかどうか。

観終わって、でも、日本でも、入管などでは外国人に対してこれに近い虐待行為がつい最近でも行われていたことを思う。今現在でもロシアをはじめ、いくつもの、争い、殺し合いをしている国があることも。

今では緑島は観光地になっているとか。

 

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