Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり
監督 ジン・オング
出演 ウー・カンレン吴慷仁 ジャック・タン
マレーシア、最下層であろう人々の生活。
たまたま夜中のラジオでアグネス・チャンのユニセフの活動の話を聞いたばかりだった。タイで貧困という理由で売られる女の子たち、少女売春、その結果、病気になると山に捨てられる、という話。いまどき。テレビタイのBLドラマを見る、また、アジアからの旅行客をよく見かける、少し異質なお洒落をしている女の子たち、などとは全く別の世界の貧困。初めの画面でそのことを思い出していた。
聾啞者である兄と、半グレのような弟。身分証を持たず、普通の権利を与えられずに過酷な生活の中にいる兄弟。銀行口座も作れないので、空き缶の中に稼いだお金を入れている。彼らと昔から親しい女装のマニー、IDを持たない人々を助けようと頑張る女性ジアエン、兄と親しいミャンマー難民の女性、など。
後半、事件が起こる。殺意など存在しなかったのに、ジアエンのただただ親切な、行為からの始まりが、彼女を死に至らしめてしまう理不尽な経緯が。
長距離バス?に乗り逃げる兄弟。
弟を置き去りにして自首する兄。
刑務所で、僧侶に向かって手話で強く気持ちを吐露するシーン。今まで地道に辛抱強く生きていると見えた彼の中に溜まっていた不毛の想い。
ゆで卵の殻を互いの額に打ち付けて割るシーン。子供の頃からの習慣。残り三日、となった時にもそれをする。
ジアエンに対しての気持ちは?とかおい弟!とか割り切れないものはありつつ、ビーと涙しました。吴慷仁、台湾の俳優さんだそうです。いい俳優さんです。音楽が片山涼太という日本人、台湾で活動している人だそう。
マレー語・英語・北京語・広東語、そして手話、多民族国家マレーシア、IDを持たない流れ者たちがそれ以外の言語で話していたかもしれない。ポスター(チラシ)見ただけでは『ブエノスアイレス』系の作品を想像しそうだ、血のつながった兄弟ではないが、そいうことではない。
調べたことがすべて記憶に残るものなら…。今朝の新聞で、高校入試に、まさに茨木のり…