雪と珊瑚と

雪と珊瑚と著者 梨木香歩

角川文庫

21歳のシングルマザー珊瑚は、お座りができるようになったばかりの赤ん坊、雪を抱えて途方に暮れていた。そこに、「赤ちゃん、お預かりします」の貼紙が。

くらら と言う名前の婦人が、その張り紙の主だった。修道女として海外生活を送った経験を持つ年配の女性。

それをきっかけに、人生を切り開いていく珊瑚。

なんて言ったらまさに、ありがちな成長物語みたいだし、そうではないことは無い、のだが。そーんなうまい話、と、言う展開でもあるが。

なんだかねえ、すごく疲れていたんですよ、私。時間かけた一仕事が終わって風邪引きでそこへ独り暮らしの我が家にシロアリ発生、の、直後で。それで読み始めたらもうあちらこちらでビイと泣けてしまった。・・・これはおかしい、と自分でわかって、もう一度読み返しました。

この本は、とにかく作ってみたい料理があれこれ出てくるので、手元に置いて一つずつ作ってみたい、そういう本です。まずはおかずケーキ。珊瑚は、母親のネグレクトにより家に食べ物が無い状態で育った娘で、だからこそ、体にも心にも優しい料理を出す惣菜カフェを作りたいと思い、周りの人に恵まれてそんな店をオープンさせます。偶然恵まれすぎだろ、とかまあ思うにしろ、いろんな国の料理を知っているくららのレシピが、おいしそう!梨木香歩さんは鹿児島生まれの人だから、かるかんの作り方をアレンジして卵アレルギーのある子どもにメロンパンのようなものを作ったりするシーンも出てきて。

小さな雪が、「ごあん、おいちいねえ、ああ、ちゃーちぇねえ」と言うシーンで終わります。ああ、善意の人ばかり出てくるわけではないですよ。

 

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