三匹のかいじゅう
著者 椎名誠
集英社文庫
『岳物語』の、その岳くんの子どもたちの代になっていたかあ。アメリカで育っていた孫たちが、椎名誠じいじいの元にやってきて。
私が知らなかっただけで、『大きな約束』『続 大きな約束』という、アメリカでの孫との交流の物語がすでに出ていたのね。
アメリカで暮らしていた子どもたちに、とりあえずしばらく日本での生活を体験させたいという親心で、日本でじいじいと遊ぶ生活が始まる。始め5歳だった風太君と2歳の女の子海ちゃん、は、「じいじいの家のトイレにはお化けがいる」と言う。どこも触らないのに灯がつき、どこかでブーンと音がする。勝手に水が出る。おばけがでないようにとじいじいはトイレの電気のプラグを抜いてみる、と、すべての水が流れなくなってしまう。小さな孫のために、彼らが用を足す時にはプラグを抜き、あとで水を汲んで流すじいじいであった。
そして日本で生まれた琉太くんが加わり、三匹のかいじゅうである。
じじ馬鹿なお話と言ってしまえばそうだけど、楽しく面白く一気に読みました。
ある時期、椎名さんよりもその奥さんの渡辺一技さんの著書を追いかけていた。若いころ保育士さんだった一技さんは、後にはハルビンだのチベットだのに旅する人になった。確か着物姿、モンペで山登りとか。
この家のじいじいもばあばあも、視界の広いおおきなひとだ。きかんぼうの琉太くんが机から落ちて骨折した時の慌てぶり、風太くんに始まるインフルエンザ連鎖のときの心配ぶりは、ごく普通のじいじいだが。
『岳物語』にはまっていたのは私ではなくて妹夫婦で、男の子が生まれたら岳という名前にすると言っていたものだ。生まれたのは女の子だったから岳という名前にはならなかったけれど、その息子の名前には近い。
改めて『岳物語』や一技さんの本を読み返したくなる。まあその前に、『大きな約束』を探すとしよう。
「令和の昭和感」という表現に嵌りました。 なんかそういう感じ、日頃、感じること…