ポポイ

著者 倉橋由美子
出版社 福武書店

借りた覚えもないのだが、しばしば本の貸し借りをしている友人から来ていたもの。

政治家だったお祖父さまに会い密談ののち、その目の前で唐突に切腹し介錯された生首、が、首から下は人工心臓などの装置につながれ、生き続けているという。その世話を、婚約者から頼まれた二十歳の孫娘。
美少年の首。

作品中にも出てくるが、三島由紀夫の割腹が思い起こされる。ユディットとかサロメとかもちろん。

予備知識無く、こんな本があった、と読み始め、数十年ぶりに読む倉橋由美子の才に圧倒される。

1987年に発行されているというのに、パソコン端末で映像を映し出したり、スカイプのような形でテレビ電話をしていたり、その時代にどうして?と思いつつも読み進んだが、後に知った。SFラジオドラマとして近未来を舞台に作られた物語だったということだ。

生首にポポイ(ギリシア語の感嘆詞だそうだ)と名付け、舌の動きで端末に文字を表すことで会話を成り立たせる。

ストーリーとしては、あっけない最後の迎え方である。読み手に教養を要求するというか、広範な知識があると読み取りやすい(私は知らない情報がいろいろありました)。のでもあり、この小説は好き嫌いが分かれるだろう。私は、これに出てきた桂子お祖母さまという人が出てくるシリーズがあるそうで(桂子さんシリーズ)、読んでみたいと思う。大昔に“夢の浮橋”は読んでいるはずだが記憶に無いし。

 

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