ミレニアム4

著者 ダヴィド・ラーゲルクランツ
ハヤカワ文庫

さああのミレニアム4“蜘蛛の巣を払う女”がやっと文庫化。待ってました。
すごいね、作家が変わったのに、裏切らないね。

ミレニアムを4だけ読む人はまずいないだろうし(映画やドラマを見た人の中にはいるかもしれないが)、みんな知ってて読むよね、元々の作家スティーグ・ラーソンが死んでしまったこと、まだまだ続編が続くはずだったこと。前作を読んだファンがその死をどんなに惜しんだことか。

さて。
雑誌ミレニアムは(どこの国でもそうなんだな)、このnet時代に危機にある。そこへ、人工知能の権威であるフランス・バルデルに会ってほしい、と言う男が現れる。かのドラゴン・タトゥーの女リスベットがかかわっているらしいと知り、関心を持つミカエル。

スウェーデンにあってもやはりDVって存在するんだよなあ、と、今更のことを思う。日本の男女格差と比べ物にならない国であっても。

国民を監視するものは、やがて国民によって監視されるようになる。民主主義の基本原理がここにある”

と、リスベットがハッキングして書き込んだのはアメリカ国家安全保障局のパソコン。この言葉が、ストーリーの根幹にある。

映画の世界の話では無く、もう何がどこから監視され情報を集められているかわからないのが現実だ。

昨日のこと、某企業の研究所勤めの知人が多い友人との会話。東大卒の頭のいい研究員たちはみんなおかしい、○○障害とか、なにかの病名が付きかねない人ばっかりだ…。その話をした本人も、かつて受験勉強で勉強モードのスイッチを入れたら、教科書のページ丸ごと記憶に貼りついて、どうしても出て行かなくておかしくなりそうだった、スイッチを切った、楽になった、と、いう、写真的記憶力と自分で言っていた女であるが。
AIの世界的権威バルデルなど、結婚生活を送るにはかなり不都合な変人だっただろう、その息子アウグストは、自閉症で、サヴァン症候群で、数学の天才であることが次第にわかってくる。

私は数学的にはほぼアホなので、素数という言葉ぐらいは知っているが、素因数分解と言われたら何のこっちゃで、コンピューター言語なんか知るわけがない。残念なことで、少しでも数学的知識があったら、このストーリーをもっと味わえたのだろう。

ストーリーと別に、この小説の中では様々な機関において女性が重用されているし、同性愛あるいは両性愛も特別なことではないように描かれる。日本では、政治家が、同性カップルは日本の伝統に合わないとかなんとか歴史を知らない馬鹿なことを言っているし、子連れで議会出席した女性議員は罰される。男女雇用機会均等法って日本では1985年に成立しているんだけど。

えーと、リスベットの活躍が少ないと、不満を持つ読者もいるようだが、私は大変面白く読み、今もう一度読み返しているところである。で、聞くところでは6作までは予定されているとか。恭喜恭喜!

 

 

 

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