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「MOVIE+BOOK」はブログのリニューアルに伴い、7月からアドレスが変わりました。
新しいアドレスは、http://art-container.net/movook/です。
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新しくなった「ああるの映画と読書」を、ぜひご覧ください。

未分類
comment(0) 2013.08.10 21:01

ある海辺の詩人―小さなヴェニスで―

ファイル 255-1.jpghttp://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/
脚本・監督 アンドレア・セグレ
出演 趙涛 ラデ・シェルベッジア

小さなヴェニスと呼ばれる海辺の町キオッジャの酒場。地元の男たちが酒を飲み、ビリヤード、カード遊びや会話を楽しんでいる。
蛇頭の世話で海外に出たということか?中国人ボスに借金があって、あちこちの仕事に派遣される立場の中国人女性シュン・リーが、そこで働き始める。彼女は屈原の詩が好きだ。
同じようにほかの国からやってきて住みついた老いた男ベーピと、故郷や家族の話をする。流れてきた孤独な者の立場で、心通うものがあるのだ。ベーピは詩人とあだ名される男。
ベーピの家から中国の家族に電話するシュン・リー。借金が無くなれば小さな息子を呼び寄せることになっている。

が、小さな町で、がさつな男たちに噂され。

屈原は、紀元前の中国戦国時代の詩人・政治家で、意見を受け入れられず国の将来に絶望、入水自殺した。人々がの魂を慰めようと、ちまきを川に投げ込むようになったのが、端午の節句の始まりとされている。のだが、川に赤い精霊船のようなものを浮かべて灯りを流す習慣も、あるらしい。知らなかった。

その灯りがキオッジャの水に流れていくシーンが印象的。そして最後のシーンにつながる。

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督作品で見る趙涛(チャオ・タオ)は、もう少し美人だったような気がする、と思いながら見始めると、酒場に慣れたころには、ああ、この顔、と洗練されていく。
同室の中国人女性が、浜辺で太極拳をするシーンとか、蛇頭(?)ボスとの関係とか、イタリア人監督の異国趣味?と感じられるものもあるけれど。

今年のベストに選ぶかもしれない、とても好きな映画。絵のように美しい、というのではない、ある種の美しい作品。

MOVIE
comment(0) 2013.06.28 13:34

ひとり日和

ファイル 254-1.jpg著者 青山七恵
河出文庫

埼玉で母と暮らしていた20歳の知寿、教師の母が交換留学かなにかで中国に行くという。行きたくない知寿は、東京で遠縁の吟子さん71歳と同居することとなった。縁側のある家。駅に近く、電車の音が聞こえる。猫もいる。

母は大学に行って欲しいのだが、娘は大学の勉強に興味は無く、コンパニオンとキオスクのアルバイトを掛け持ちして日々を過ごしている。なんだか情熱の無いボーイフレンドの部屋に行ったら、別の女といて、おやおや、と言って別れる。
駅のホームでアルバイトをしている若い男に恋をする。
吟子さんにも恋人であるらしいじいさんがいる。ダンスのパートナーだそうだ。

淡々と、というか、グダグダと、ともいえる日常が描かれ、そうか、二十歳から見たら71歳は明日にも死にそうに見えるものか、と思う。私は71歳のほうに近い年齢なので、周りの70過ぎはそんなふうには見えないのだが。
私は日本列島の端っこのほうで暮しているから、埼玉から東京の笹塚あたりに出ていくことがたいそうなことかどうかは良く分からない。

新しい恋人とも別れる。

と、私の感想文としては珍しく、ストーリーを紹介しているのだが、それは、なぜかこの小説の雰囲気がけっこう好き、その理由を説明できないからで。

1983年生まれの作家の、2007年芥川賞作品。私は全然知らなかった。しばしば交換図書をしている友人から借りたもの。

ちず かな?ちとせ かな?とその名前に振り仮名がないのでどっちかと思いながら読み進み、ちずだとわかった。

後半に収録の“出発”も同様に、一歩を踏み出す、或いは旧世界との別れ、というようなことが描かれる、が、何だろう、この作家を少し追いかけてみようと、思わせた気配を、やはりうまく言えない。好きでない人もいるだろうなあ。

BOOK
comment(0) 2013.06.26 23:54

グランドマスター

ファイル 253-1.jpg

http://grandmaster.gaga.ne.jp/index.html
監督 王家衛
出演 梁朝偉 章子怡 張震 ソン・ヘギョ

激しい雨の中、襲ってくる男たち、一人立ち向かう詠春拳の名手、葉問。

時代は1930年代、カンフーの北の流派、八卦掌の宗師が引退を決意、南北の流派を統一する後継を探していた。一番弟子の馬三、葉問、宗師の娘・宮若梅も、名乗りを上げる。

と、ストーリーの基本だけおさえて、あとは映像に身を任せましょう。

トニー・レオンにカンフーをやらせようなんて暴挙に及ぶのは王家衛監督ぐらいだし、それを受けるのもまたトニーさんぐらいのものだろう。トニーは二度の骨折で撮影延期となり、雨の中の戦いの撮影に四五日間かけられた結果、気管支炎に、など、ほんとにまあ・・・。

トニーさんの薄い微笑みの引力は相変わらず。
カミソリと呼ばれる張震も見事。実際の八極拳の大会で優勝するまでのうでになったという。王家衛映画ではなにも珍しくないことだが、なんだか中途半端な扱いされてる気がするなあ、張震版アナザーストーリーも見たいものなのだが。

章子怡演じる若梅が主人公なんだっけ?という気のする後半の展開なので、ファンのおじさんたちはお喜びだろう。それも、編集でかなり省略されているという。

そもそも、例によって、香港公開バージョンとだいぶ編集が違うらしい。香港版見たい!・・・その前に、実は私は映像に身を任せきれず、広東語に対して北京語で返事をしているといった会話をなんとか聞き取ろうとしてついて行けなかったり、張震が、同じウォン・カーウァイ監督『ブエノスアイレス』に一瞬出てきたんだよなあ、久しぶりだったんだよなあ、と思い出したり、なにかと気が散ってしまったのであり、映画館でもう一度見よう。

日本軍に財産を没収された葉問が、詠春拳を日本人には教えるなと言ったという。その日本軍兵隊だが、ニヤニヤ笑って写真に写る兵隊さんはいねえよ、と心でつぶやいた。

MOVIE
comment(0) 2013.06.09 10:38

拝啓、愛しています

ファイル 252-1.jpg

http://www.alcine-terran.com/haikei/
監督 チュ・チャンミン
出演 イ・スンジェ ユン・ソジョン キム・スミ ソン・ジェホ

イ・ビョンホンの『王になった男』の監督が、その前に撮った作品。

明け方の、路地裏の坂道を古いバイクで牛乳配達をするマンソク。すれ違いざまにリヤカーで紙ゴミ回収をしている老女が転んだことをきっかけに声を交わすようになる。
彼女も利用している(リヤカーを置いて)駐車場の管理人グンボンの妻は認知症。
ある日、遅刻して慌てて家を出たグンボンが、門に鍵をしなかったために、認知症の妻が外に出ていき、マンソクと出会う。マンソクは彼女をバイクに乗せて家を探し回ることとなる。

ふた組の老人たちの、純愛の物語。

妻を癌で亡くして、子供や孫と暮らしている男。片田舎で貧しく育ち、駆け落ちしてソウルに出たけれど、子も夫も失い、一人暮らしをしている老女。子供たちは皆結婚で家を出て行き、認知症の妻を甲斐甲斐しく世話しながら二人で暮らしている夫婦。
徘徊していた妻をやっと見つけて、おぶって帰る姿を見て、“あんな夫婦になりたかった”という女の言葉が、いかに苦労してきたかを伝える。

ふた組が、それぞれに選ぶ道について、納得は、いかないけれどそれでも、わからなくはない。

私自身、認知症の親と暮らしている、独身者である。あっちの立場、こっちの立場共に、わかる(あー、でも私はあんなふうに穏やかに辛抱強い老女にはなれないからなー、気は悪くないけど態度の悪いじいさんと知り合ったりはしないよなー、と思うものであった)。

ハンカチを手にご覧下さい、という、しみじみ映画でした。老いらくの恋 なんていうニュアンスはほぼ無くて、ほんとに純愛。
それにしても、韓国ドラマでは息子の結婚となると必ず親と同居することになるし、そうしないというととんでもない親不孝者扱いの悪口雑言三昧だが、映画は別の現実の姿を描くものだな、とも思われ。

原作はベストセラーマンガで、ドラマにも舞台にもなっているんだって。

MOVIE
comment(0) 2013.05.29 19:52

イップ・マン 序章

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監督 ウイルソン・イップ
アクション監督 サモ・ハン・キンポー
出演 ドニー・イェン サイモン・ヤム 池内博之

2009年公開香港映画。
近々同じ葉問(イップ・マン)を主人公とするウォン・カーウァイ監督作品『グランドマスター(原題・一代宗師)』が公開されるので、その前に予習の意味でも見ておこうと。

1930年代の広東省佛山。武術館が並ぶ町。師範との戦いに勝った葉問は、武術家として有名になる。が、日中戦争勃発、日本軍に占領される。

日本兵に武術を教えることを拒否した葉問は、空手の名手である日本人将校三浦と勝負することになり。

現在、カンフー系アクションの第一人者といえば甄 子丹(ドニー・イェン)、なのです。ジャッキー・チェン、ジェット・リーは知っていてもドニーなんて知らない日本人がほとんどだけど。『捜査官X』を見た人は知ってるよね。
で、彼が演じる葉問(イップ・マン)は、あのブルース・リーの師匠だった人。
三浦役の池内博之は頑張ってますよ、アクション俳優に見えます。三浦は、悪い奴ではない役ですが、その部下の佐藤役、渋谷天馬という俳優は活動拠点を中国に置いて、いわゆる抗日映画・ドラマにたくさん出ているという人。まあ腹の立つ憎たらしい役柄を、いかにもに演じています。

音楽・川井憲次。

カンフーアクション好きな人には面白いでしょう。
が、この続編の『イップ・マン』は、私には面白くなかったー!DVD早送り。なんぼサモハンが出ようとイケメン黄暁明が出ようと。
と、いうのは私個人の感想で、ドニーファンとして知られる(ごく一部に)飯星景子サンにはたいそう面白かったらしい。

MOVIE
comment(2) 2013.05.28 13:58

孔子の教え

ファイル 250-1.jpg

監督 胡玫(フーメイ)
出演 周潤發 周迅

去年かな、ガーデンズシネマでやっていたのに見逃した作品。久しぶりにDVDを借りて見ましたよ。

紀元前500年、春秋時代、小国魯の国政は混乱していた。君主は国の安定を求めて孔子を大司寇とする。孔子は改革を進める。奴隷の殉死などの習慣を廃止、礼節を教える。隣国との間に血を流すことなく同盟を結ぶ。
が。

前にBS日テレで『恕の人ー孔子伝ー』という中国ドラマをやっていて、顔回の役をなんといしだ一成が演じていた。時々しか見られなかったけど。そして、以前この欄でも紹介した『陋巷に在り』という酒見賢一の小説も読んでいるわけで、少しは孔子の時代についての知識がある・・・はずだが大して覚えていないなあ・・・。

監督は女性だそうだ。周迅の妖しい姿が、唐突なような気がするが、まあ周潤發 周迅どちらも好きな俳優なので文句は言いません。

いろいろあって政治の世界では失意の時間を過ごすこととなる孔子、その弟子たち。

私にとって耳が痛かった言葉、「忘れるな、非礼なものは見ず、聞かず、言わず、行わず」。はい、申し訳ありません、極力心がけます。

エンドロールで流れるのは王菲の歌声。これまた唐突な気がしないでもないが、好きなので全然文句は言いません。
あ、顔回は凍った湖だか河だかで溺れ死んだわけではないと思うよ、実際は。若死にしてるけど。

確か、本国ではあまりヒットせず、日本ではわりと人が入ったとか何かで読んだ。孔子というと思想家で書斎の中にずっといたと思っている人、お試しにいかがかな?

MOVIE
comment(0) 2013.05.22 19:39

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

ファイル 249-1.jpg

http://www.uplink.co.jp/oso/
監督 ファラー・カーン
出演 シャー・ルク・カーン ディーピカー・パーディコーン
2007年インド映画

マルヤガーデンズシネマの横で、こんなところに映画館があったんだ、でも今日の映画はあんまり気が向かない と話している若いカップルがいた。ボリウッドを知らないね、とんでもないすごいもんだぞ、突然踊るぞ、と心でつぶやく私は一昔前のインド映画ブームを通り過ぎてきたのさ。

その一昔前からスターだったシャー・ルク・カーンと、若い頃の多岐川裕美サンそっくりの若手女優、70年代、女優はすでにスター、そのファンだった脇役男優として二人は出会う。
スター女優はプロデューサーの子供を身ごもっていたのだけど、セットに火をつけられ・・・。

いろんなことを説明するのはやめておきましょう。恋する輪廻ですからね、女優の名前がシャンティ、男優の名前にオームと入っておりまして。、で、30年後に同じ名前と顔を持った男がスターになるんです。

恋とコメディとサスペンスと、もちろん突然の踊りと美女豊富にてんこ盛り。私が思い出したのは、鈴木清順監督オダギリジョーとチャン・ツィイーの『オペレッタ狸御殿』、ピーター・チャン監督、金城武と周迅の『ウィンター・ソング』、そして『蒲田行進曲』でありました。
絶対ウインター・ソングの振り付けと同じ人のだと思って、帰ってから調べた。この監督はもともと舞踊監督だったそうで、ウインター・ソングも案の定彼女の振り付けによるものだった。ほんとにそっくりなんだもん。そしてシャー・ルク・カーン、あんた一体何歳?というのも調べましたさ、1965年生まれ!30歳の役。

踊りとかストーリー展開とか、進化してるなあ、と思ったボリウッド作品でした。唐突なのは相変わらずで、それに慣れるまではちょっと、なんなのこれ、かもしれないけど。
映画界の話なので、パーティや映画賞場面に実際の俳優や映画界関係者がたくさん出ているらしいよ。

MOVIE
comment(0) 2013.05.16 00:55

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