http://judan-movie.com/
監督 ジョニー・トー(杜 琪峰)
出演 ジョニー・アリデイ 黄秋生(アンソニー・ウォン) 林家棟(ラム・カートン) 林雪(ラム・シュ)
iマカオで中国人の夫と子供たちを待っているフランス人妻がいる。“你们在哪里?(あなたたち今どこ?)”と電話で聞いている。帰宅した彼らとフランス語で会話し、間も無く、3人の男たちによって銃撃される。フランス語・英語・広東語の台詞が混ざっている中になぜかこれだけ北京語だった。
病院で、妻だけがかろうじて生き残っているところへ、フランスから父親が来る。新聞の活字を使って、口がきけない状態の娘と会話し、その時の状況を聞きだす。
この父親役がジョニー・アリデイ、その昔フランスのエルヴィスと呼ばれ、シルヴィー・バルタンが“ジョニーはどこに?”と歌ったアリデイが、孫のいる(いた)役で出てくる。私が知っている姿は金髪だったよなあ、ロングヘアの時代あったよなあ・・・誰かに似ている。サム・シェパード?ハーヴェイ・カイテル?
別の3人の殺し屋たちがいる。組織のボスの命令で、あるホテルの一室でターゲットを殺した後、父親とすれ違う。
父親は、男たちに復讐を依頼することになる。父親もかつてスナイパーだったのだ。
ジョニー・トー作品ですからねえ、血しぶきが飛んで黒社会で、DVDで見るもんじゃないんです。映画館で観たかった。実際、途中で一回止めて休んじゃいましたよ。最初父親役をアラン・ドロンに依頼したけれど断られたとか。役名がコステロなのは、アラン・ドロンの映画からとったらしい。
香港ノワールを見慣れた人なら、ボス役のサイモン・ヤム、秋生サン、林雪と、メンバーを見ればどんな映画かほぼ想像がつく。この作品で良いのは、自転車、ゴミ置き場、シール、などの小物の扱い。そしてビッグ・ママという女性も良いね。銃撃戦で3人がなぜか煙草に火をつけるでしょ、あれ、『男たちの挽歌Ⅱ』の終り近くのシーン思い出すよね、って誰に聞いてるんだか、だれか同意して!
父親の頭には昔食らった弾丸が入っていて、いつ記憶を失うかわからない、という話をして間もなく・・・。
韓国のヤクザ映画と全然違う、スタイリッシュな映像、緊迫感の中にふっと笑いが起こる遊びの入り方、正しい香港ノワールだ。ちょっとゆるいかもしれないけど、おかげで後味は悪くない。
昨年度のキネマ旬報の、ベスト10に入っていた、何位だったか忘れました。原題はシンプルに“復讐”のようです。派手な邦題で。