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レッドクリフ partⅠ

ファイル 104-1.jpghttp://redcliff.jp/index.html
監督 呉宇森
出演 梁朝偉 金城武 張豊毅 張震 胡軍 中村獅童

 三国志“赤壁の戦い”の企画をジョン・ウー監督は20年温めていたという。この映画、最初のキャスティングでは周潤撥が出るはずだった。曹操役には渡辺謙の名前も挙がっていた。

 とにかくすごいスケールの作品である。
 2時間強が短かった。どーーしてそこで終わる!to be continuedって!
 梁朝偉と金城武を組み合わせるとなにか雰囲気を醸し出す、と思う。そういう、箏の演奏で語り合い、理解しあう関係に描かれているせいか。個人的にこの二人がアジアの俳優では最も好きな俳優であるが、張震、胡軍も大好きな俳優なので、それだけでもまことに幸せ。劉備の子を助ける趙雲役の胡軍、序盤カッコいい。中村獅童はすっかり溶け込んでいる。
 
 さて、時代劇だといつものことであるが、金城武のセリフの中の本人の声を探そうと、耳が苦労するのである。吹き替えだ。一部本人の声を生かして吹き替えてある。台湾訛りに加えていま一つ明確でない滑舌がね、時代劇だと問題になるのね・・・。

 笑えるシーンがあちこちにある。ジョン・ウー監督の作品を見慣れている人にはおなじみ。「ハードボイルド 新・男たちの挽歌」にそういえばチョウ・ユンファが子供を抱えているシーンがあったような。あれって三国志のパクリだったのね。

 ともあれ、肝心の赤壁の戦いはpartⅡ公開の4月まで待たなくてはならない。香港だか大陸だかでの公開はいつかな?そっちのDVD出たら買っちゃうぞ!

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comment(0) 2008.11.02 20:51

夕凪の街 桜の国

ファイル 103-1.jpg_
lhttp://www.yunagi-sakura.jp/
監督 佐々部清
出演 麻生久美子 田中麗奈 藤村志保 吉沢悠
原作 こうの史代 双葉社

 去年気になっていた映画を、DVDにて。
 “夕凪の街”の時代は戦後13年たった広島、そこで暮らす皆美<麻生久美子>が主人公。同僚にプロポーズされるが・・・。原爆投下の記憶がまだまだ近いものだった昭和30年代初めといえば、庶民は銭湯に通ったのだ。だから、その場所が広島なら、体にやけどの跡のある人が普通に見られたはずなのだった。
 そして、原爆症が・・・。
 この物語は終わりません、と言葉が出てきて。
 “桜の国”は現代の東京、子供のころに親戚に預けられて、そのままそこの養子になっていて被爆体験しなかった皆美の弟、その娘の七波が、主人公。
 父を心配して後を追った七波、駅で偶然会った幼友達と一緒に父を追って広島へ。

 身近な人の死を最近体験したこともあり、また昨日が親戚の10年忌だったことで思い出しもしていた、などのことも影響してうるうる。地味な内容でこういう日本映画が作られていることをうれしく思います。

 麻生久美子サンをドラマ「時効警察」で知った人にとってはびっくりだろうけど、彼女は元々映画の活動が多いひとなんですよ。それと、藤村志保さん、大好きな女優さんです。
 どうぞ、たまにはこんな映画を見てください。ビデオ・DVDのほうがかえっていいかもしれない、メイクなんか取れるし。

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comment(0) 2008.10.26 09:58

おくりびと

ファイル 102-1.jpg
http://www.okuribito.jp/
監督 滝田洋二郎
出演 本木雅弘 広末涼子 山崎努

 なんと、広い劇場でなかなかの入り、それも韓流映画でしか見ないようなご婦人方が多いのだった。モントリオール映画祭グランプリ受賞がこんなに効くとは・・・。
 おそらくもっと小さな劇場で知る人ぞ知る佳作、と言うような扱いになる所だったはず。
 
  地方のオーケストラがつぶれて失業、求人広告を見て面接に出かけ、即採用、その仕事は実は納棺師だった。すったもんだ。
 その納棺師の所作が、お茶のお手前を見ているかのように無駄なく美しい。プロの仕事というものだ。
 
 納棺師という職業に注目したのは主演の本木雅弘だったという。妻が広末に決まる前の脚本ではモックンの最初の職業はチェリストではなかったらしい。年齢差を埋めるための職業設定だったと言うが、さほどに年齢差は感じられない気がする。なお、私は楽器のことについては無知だけれど、チェロを演奏するモックンの姿は、他の演奏者たちとほぼ違いが無い。こちらもずいぶん訓練したのだろう。

 その納棺師という職業(と、広末)以外は、ごくまっとうな、地味なつくりの作品なのだけれど、身内の死という誰でも経験する事態を描いて、みんなが身につまされてすすり泣いてしまう。結構長い映画だが、長さを感じさせない。

 この頃作品に恵まれないなあと思っていたモックンが、こういう地道な作品で大入り御礼なのはまことに喜ばしい、けれど『ファンシイダンス』(1989年)の陽平クン大好きな私としては、ちょっととんがった役もお願いします。

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comment(0) 2008.09.20 22:58

グーグーだって猫である

http://www.gou-gou.jp/index.html
ファイル 101-1.jpg監督 犬童一心
出演 小泉今日子 上野樹里 加瀬亮
原作 大島弓子『グーグーだって猫である』角川書店
 
 大島弓子といえばまず『綿の國星』、それから『バナナブレッドのプディング』、好きなマンガ家さんだけどそんなにたくさん読んでいるわけでもないんだな、と、映画の中で麻子さん名義で出てくる全集を見て思い知った。
 私は吉祥寺の町に住んだことは無いけれど、妹が数年住んでいたので、井の頭公園とか、いせやとか、そうそう、と思う。妹は楳図かずおサンを見かけると言っていた、吉祥寺と言えば楳図かずお。
 授賞式のパーティーのシーンで、この人誰だっけ?と思ったら角川継彦氏だったみたい。槇村さとるさんはわかったけど、きっとほかにも意外なカメオ出演がいたんだろうな。

 小泉今日子サンが、静かな穏やかな表情で天才マンガ家を演じる。サバという猫のことは大島弓子サンのマンガを読んでる人なら知っている(はず)、そのサバが死んでしまう。人間だったらおばあさんのはずだけど、擬人化した姿は少女。で、マンガを描けなくなった麻子さん。

 元メガデスのマーティ・フリードマンが狂言回しの感じで出てくる(中華な映画ファンなら、「ラブソング」に出てきたクリストファー・ドイルを思い出さなかったかな?)。

 ちょっと、脇役の面々が気にならなくもないのだが、後半、状況は一変し・・・。
 
 猫好きの人たちには、猫のシーンが少なかったと文句を言われているようです。私は格別な猫好きではないせいか、充分可愛いグーグーちゃんを見た気がする。

 今、わたしの身近に緩和ケアを受けている人がいます。そういうこともあって、私にはよく笑えてしーんとする良い映画でした。
 レイトショーで見て、12時ごろ帰りついて、目の前の○タヤに原作を探しに行きましたさ。たぶんこれはずいぶんアレンジされてるのでは?と思って。ちょうど文庫で新刊が出たばかり、、その2巻めしか読んでないけれど、これまた良い、マンガ形式のエッセーでした。まあこんなに淡々と、入院・手術に向かえるものなのね。残りも読みたい、でも残りは一冊1100円の単行本しか置いてなかった・・・ちと高くないかい?

MOVIE+BOOK
comment(0) 2008.09.13 22:44

同窓会

lhttp://www.dousoukainet.com/dousoukai/index.html
ファイル 100-1.jpg_監督 サタケミキオ
出演 宅間孝之 永作博美 鈴木砂羽

 劇団「東京セレソン」主催、「花より男子2」などの脚本家、妻は大河内奈々子、であり俳優宅間孝之でもあるサタケミキオ初監督作品。
 
 映画プロデューサー南克行(カッツ)、女優との浮気中、長崎の高校時代からの付き合いである妻(雪)と、離婚する。
 絵に描いたようなありがちなお話から始まる。話は転がっていって高校時代の思い出、仲間たち、恋のライバルたち、あれあれそうする間に愛人が、別れた妻が!そして仕事が・・・。

 高校時代に同級生に恋していた人には面白いんだろうなあ。私事ですが、同窓会で昔好きだった人に会えるかも・・・と心ときめく思いって無いんだよねえ、つくづく我が身の高校時代を振り返ってしまった。
 いや、面白いですよ、それなりにウルッと来るし。だけど話が早い内に見えちゃって、妻のかつてのボーイフレンドの事情とかね、でもそういうことで途中で笑ってたの私だけだったかも。

 まあ、だからビデオで見るにはなかなかいいと思われます。同級生と恋して結婚したけど離婚しちゃった人にとってはどうだか・・・責任持てませんけど。

 最初に画面に出る文字が『勘違いは人生最高の悲劇であり喜劇である』と言うもの。

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comment(0) 2008.09.04 22:04

母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き

ファイル 99-1.jpg著者 信田さよ子
出版社 春秋社

 私の年代では親の介護をしている人が多い。私もその1人である。やはり倒れて退院してきたお母さんの世話をしている友人からのメールに、“やっぱり女の子はいいねえ、と母が言う、子供の頃出来のいいほかの兄弟と比べられ、母を好きだと思ったことは無いのに”と、率直な言葉が書いてあった。
 思い出した。20代の初めの頃、母と、本音で語り合うと言うことはあり得ない、親と言葉は通じない、違う言語で生きているのだ、と、あきらめたことを。

 さて、著者は臨床心理士、「私が死んだら墓守りは頼んだよ」と、母親が娘にお言った頃場からサブタイトルが取られている。元気で長生きするようになった母たち、なかなか結婚しなくなった娘たち、娘に経済援助が出来る母たち、いろんな事情に絡み取られて母の愛という名の干渉から逃げられない娘たち・・・逃げろ!と具体的な処方箋を示してくれている本です。世のすべての母たち、娘たちに読んで欲しいと思います。
ある時期までは息子と母親の関係のほうがなんか気持ち悪い気がするけれど、もう一歩年を取って、しかも高学歴だったりする母が、娘に期待する物って・・・。

BOOK
comment(0) 2008.09.04 14:00

時が滲む朝

ファイル 98-1.jpg著者 楊 逸
出版社 文藝春秋

 同じ地区で育ち、優等生だった二人梁浩遠と謝志強が、1988年大学に進学する(まずこの時点で、その当時の中国では成績によって各大学に割り振られるシステムであったらしいことに驚かされる)。若い大学教授、女友達などに影響を受けるうち民主化運動へ、天安門事件へ、と流れていく。その天安門の事件によってではなく、労働者たちとの口論、乱闘の末退学になる二人。
 それぞれ別々の道を歩くことを余儀なくされる人々。
 中国残留孤児の娘で中国に戻って勉強をしていた女性と結婚し、日本に渡った梁浩遠(日本で祖国の民主化運動をしていた人たちの中には北京オリンピック開催反対を唱える人もいたらしい、これまた驚き)。オリンピック開催前夜、梁浩遠と謝志強は日本で再開する。

 日本語を母国語としない女性によって書かれていることで話題になった。中国のこの20年の流れと言うのはものすごい激流である。その大きな流れとそこに生きる人々を実に淡々と描いている。ひとつひとつのエピソードを、別の小説として描き出せるはずである。なんというか、その淡々とした描き方の中に、小説のタネがぎっしり詰まっている。この人にはいくらでも描き出したいことがあるのだろう。

 

BOOK
comment(0) 2008.08.30 10:06

ミリキタニの猫

ファイル 97-1.jpghttp://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/index2.php
製作・監督  リンダ・ハッテンドーフ
登場人物 ジミー・ツトム・ミリキタニ

 ジミー・ミリキタニ、路上画家。いわゆるホームレスに分類されるだろう、が、彼の猫の絵を買わない人からの施しは受けない。1920年カリフォルニア・サクラメント生まれ。広島育ち、18歳で再度アメリカへ。ツールルークの日本人収容所に送られたけ異見を持つ。

 9・11の事件の少し前からミリキタニへの取材は始まっている。この誇り高き男を、取材者リンダは家に連れてくる。9・11後の有毒ガスに咳き込みながら路上生活をしていた彼を見かねて。
 ジャクソン・ポロックに日本食を作った事もあるというミリキタニ。アメリカ生まれのアメリカ市民である自分を強制収容所送りにしたアメリカの福祉の世話になどならないと主張するミリキタニ。

 ミリキタニという珍しい姓のためでもあるだろう、誇り高く頑固で天然な男のために奔走するリダによって、親戚が見つかり、部屋を持つことが出来、収容所訪問の機会を得て、ミリキタニの心がほぐれていく。とうとう姉が生きていてアメリカに住んでいることがわかる。

 ノーテンキなまでに強い意志と、それを尊重しながら手を貸していく人々。
 猫好きな人にはまた格別の感想があるでしょう。

 良かったね、リンダに会って。ドキュメンタリー・ロード・ムーヴィーです。Make Art Not War!がサブタイトル。

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comment(0) 2008.08.06 10:27

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