MOVIE+BOOK              

Log

rレッドクリフpartⅡ

ファイル 112-1.jpg監督 呉宇森
出演 梁朝偉(トニー・レオン) 金城武 張豊毅(チャン・フォンイー) 張震(チャン・チェン)
    趙薇(ヴィッキー・チャオ) 胡軍(フー・ジュン) 中村獅童 林志玲(リン・チーリン)

 観客に白髪交じりの男性が目につく。三国志好きのおじさんたちには、そこはそうじゃないだろう!というご意見もあったことだろう。が、何と言ってもこれはジョン・ウーの三国志なんです。
 
 私はやっぱりジョン・ウー作品が好きなんですね、すごいお金もかかった大作であるにもかかわらず何がしかチープな感じであるとか、うっそー!無理だろー!なところとか、そういうことがあるからジョン・ウーなんです。そこが大好きなんです、ごめんね(誰に謝ってる?)。まことに毎度失礼いたしましたが、あっ、とか ははは とか おー とかつい言語を発しながら見てしまった私です。周りの観客さまごめんなさい。

 林志玲は、この映画の中でそんなに美人でしょうか?大柄な割に楚々とした感じではあるけれど周瑜に愛され曹操に欲されるほど?。趙薇は、男勝りの役柄でそのように作っているからだろうが、まるで美人ではないように見える。

 孔明のアイディアで敵方の矢を手に入れるシーン、前後を本物の矢が飛び交う中、平気な顔をしなくてはならない金城武は、怖がる役がうらやましかったそうです。

 中村獅童演じる甘興の体に何本も矢が刺さってそれでも立ち向かうシーン、『男たちの挽歌Ⅱ』の最後のあたりを思い起こさせて笑いましたぜ。

 さっきさるサイトの三国志占いコーナーに立ち寄った所、私は孫権タイプだということになりました。実際張震みたいなルックスしてるんだったらいいんだけどね。

 うきうきと娯楽大作を楽しんだ私みたいな観客だけではないだろうことはよくわかります、女性二人の行動だって・・・でしょう。愛と友情の物語かあ、三国志は、なんてこともあるでしょう。だから、すみませんね、私はもう一度見に行けたらと思っています。

 

MOVIE
comment(3) 2009.04.11 23:31

奇縁まんだら

ファイル 111-1.jpg著者 瀬戸内寂聴   画 横尾忠則
出版社 日本経済新聞出版社

 作家瀬戸内寂聴さんがその人生に出会った人々とのエピソード、それに添えて横尾忠則による似顔絵が随所にある。

 ミーハーですからね、私。島崎藤村が際立って美男であった・・・へーえ!谷崎潤一郎の妻だった千代さんが谷崎と別れて佐藤春夫と結婚した、しかもその時に3人の連名で新聞に発表したという話は有名だが、実はその裏にもう一人の男が・・・おお!ネタ、ネナイ、ネタ、と、宇野千代さんは言った、ってそれは寿司の話じゃありませんよ、かかわりのあった男たちの名前を挙げた時におっしゃったお言葉。トランプをバラリと広げたようですなあ、豪華なお話ですなあ。
と、驚きながら笑いながら読み進むうちに、圧倒という言葉がぐわりと襲いかかっている。

 表現者として生まれ、生きる人の凄さ。ほとんどは作家(文士)だが、文章も書いている画家岡本太郎(瀬戸内晴美さんに向って小説かなんかやめて俺を手伝え、と、大マジで言った!)、作家でもあった社会主義者荒畑寒村(90歳の時に40歳の女性に恋をした!)などの人もいる。

 女流作家平林たい子さんを含め、ほとんどの人の恋愛(結婚している最中の)について触れられているのだが、あーーー作家であることは本当に!!!私は幸か不幸か一般人に生まれたが、これってやっぱり幸よね、非凡であることとはかくも非凡であるものなのね(変な日本語ですみません)。あのタラコ唇の松本清張氏にまことに麗しく心持の優しい女性と、見目麗しいがまことに悪縁なる女性がいた、が、そのおかげで悪女が書けるようになったと内心感謝していた、だって。
 女誑しの魅力を体中から発散させていたという檀一雄・・・ああどんなんですやろ?

 そんな人たちにも家族がいたと思うと、大変ですやろ?そっち側の身にもなってみなはれ・・・。

 日経新聞に連載中の第一弾ということなので、ぜひ寂聴さんにはまだまだ長生きしていただいて、昭和の文士たちのことを聞かせていただきたいものであります。

BOOK
comment(0) 2009.03.02 12:01

ワンナイト・イン・モンコック

ファイル 110-1.jpg監督 爾冬陞(イー・トンシン)
出演 呉彦祖(ダニエル・ウー)張栢芝(セシリア・チャン)方中信(アレックス・フォン)

 先日地上波TVで「香港国際警察 新ポリスストーリー」をやっていて、それのお坊ちゃんチンピラ団のリーダー役呉彦祖の最後、余韻を残すシーンを見ていて、なかなか評判良かったこの作品を探そうと思ったのですよ。
 あれ、爾冬陞監督だったか・・・私にはアニタ・ユンの『尽きせぬ想い』とかセシリアの『忘れえぬ想い』とか、涙誘うラブストーリー系の印象。

 大陸の田舎から呼ばれた殺し屋、同じく大陸から出稼ぎにきた娼婦。
 かつて、『ラヴソング』という、大陸から香港に出稼ぎにきた男女が出会う名作があった。それだってやくざも絡んだ、けれど、それとは大違いの、あーーー血だらけの彦祖。たった一晩に起こった出来事。
 端正なアメリカ育ちの彦祖と、母親は英国とのハーフだというセシリアに田舎育ちの汚れ役をさせるか・・・。周りが広東語をしゃべっている中で北京語で会話をしているのだが、私の耳には上手に聞こえるその北京語は、ネイティヴには変な北京語であるらしい。

 方中信演じる屈折した刑事は、レスリー・チャン主演の『ダブルタップ』でレスリーを射殺したという過去を持つ、のだそうだ。ダブルタップを見ていないのが残念・・・。

 すぐれた作品だけど、あーーー血だらけの彦祖。心に余裕があるときにご覧ください。2004年作品。

MOVIE
comment(0) 2009.01.31 09:58

しゃべれどもしゃべれども

ファイル 109-1.jpg著者 佐藤多佳子
新潮文庫

 小説のほうです。映画でなく。
 この作家の“一瞬の風になれ”は(それ以外も)未読。友人から借りた数冊から、ちょっとめくった感じがきっと今の私はこれだ、と思って読み始めました。

 結論、まことに全く実に、うまい!気持ちよくうるうるして読了。見そびれた映画情報で国分太一が落語家役ということだけは知っていた、けれど原作の落語家今昔亭三つ葉に国分太一のイメージはない。
 対人関係を要領よく結べない、いわゆる不器用な人間が3人、若い女性、むくつけきもと野球選手、小学生の男の子、が、二つ目の落語家に落語を習うことになる。そもそもその落語家にしてからが・・・。

 自分にちょっと自信がない、なにかしらわが身を否定的に見てしまう、ような(時期があった)タイプの人には必読の書です。『本の雑誌』1997年度ベスト1だったそうです。

 で、映画のDVD借りてきました。ん?テニス青年綾丸良は出てこないのかー・・・。


追記 映画「しゃべれどもしゃべれども」DVD鑑賞。http://www.shaberedomo.com/
 これはこれで、なかなかいい作品です。映画としてわかりやすくするためにはこんな脚本になるわけね、と、それはそれで納得できます。ちょっと、香里奈がまだこの時点では女優として無理がありますな。猫のような、という原作の設定には合ってますが。内面の屈折が見えなくて、ただの仏頂面の若い女な感じがどうも。関西弁少年が大変よろしい。国分君もなかなか悪くない。本物の寄席に行きたくなります。
 
ちょっとやっぱり、屈折度には欠けるけどね。

MOVIE+BOOK
comment(2) 2009.01.29 13:02

チャイルド44

ファイル 108-1.jpg著者 トム・ロブ・スミス
訳 田口俊樹
新潮文庫

 帯の“このミステリーがすごい!”第1位にに惹かれたのと、なにかで評判を聞いたな、という記憶によって買いました。読み始めました・・・。
 スターリン時代のソ連ウクライナのある地方が極限までの飢餓に襲われている、鼠まで食べつくし、生き残っていた猫を捕まえるために兄弟が追いかける。もちろん食料とするために。ところがその猫を追いかけた少年を、捕獲した大人がいたのだ、食料とするために。

 出だしのあまりの状況に、しばし読み休んでしまいました。が、しかし。

 理想郷であるはずの共産国家ソ連では、犯罪など起こらないことになっているのです。飢餓なんてことも無い。
 その国にあるのはスパイという犯罪。国家保安省の捜査官レオが、あるスパイ容疑者を捕まえるが、同僚のわなにはまって地方に飛ばされる。そこで、かつて訴えを退けた事件と酷似した殺人事件に遭遇し・・・。

 いやあ、面白かった!上巻途中まで読み進むのに時間がかかったのがあーもったいなかった(で、個人名とか忘れちゃって気付かなかった!のが)、もう後半バリバリ読み進みましたよ。
 ストーリーの展開もすごい、けれど、その社会の在り方、たとえば現在だと北朝鮮に代表される閉じられた社会、解放改革と言えど情報操作されていろいろな問題が起こっている中国、そして今のロシアでこの小説は出版され得ない、という現実、
アーこんな風に・・・太平洋戦争時の日本でもそんな事だったわけだけど、いろいろと思い起こされる異常な国家統制、そしてそういう社会の中で生きる人物の造形、さまざまなことが、いやいやすごい。

 で、幸か不幸かこの小説の初めの部分でしばし時間をおいたために失念していたことがあった私には、犯人が!!!でありました。

 これは80年代に実在した大量殺人事件を元に50年代に時代を置き換えたお話だそうで、元のチカチーロ事件はノンフィクションや小説やドラマに描かれているそうです。
 

BOOK
comment(0) 2009.01.26 10:03

K20 怪人二十面相・伝

ファイル 107-1.jpg

http://www.k-20.jp/
監督 佐藤嗣痲子
出演 金城武 松たか子 中村トオル

 江戸川乱歩の明智小五郎と怪人二十面相の、映画化ではなくて、それを基にした北村想の小説を原案としたもの。

 第二次世界大戦を回避した日本の1940年代後半、貧富の差が激しい格差社会になっている、という設定。

 見始めこそちょっとこれはヒットするかな?どんなもんだあ?と思ったのだけど、その後は楽しくよく笑わせてもらいました。製作スタッフは『三丁目の夕日』の人たち(金城映画だと『リターナー』『SweetRain死神の精度』もそう)で、時代は違うけど東京タワーが出てくる。

 「細めのロープない?」のところとか、ふふ、好きです。金城武と中村トオルって、決してうまい役者じゃないけど、うまくはまった時の光り方がすごい、という括りでは似たタイプだと思う。いま一つ滑舌に問題があるというところもね。そこへ国村隼といういい役者を合わせて、コメディーとしての間がいい感じ。中村トオルの明智が金城の明智を演じるところ(見ればわかるって)ぐふふ。
 金城ファンにとっては、サーカスが『ウインター・ソング』を、白鳩が『レッドクリフ』を思い出させ、偶然?ちと意識したのかな?監督。

 松たか子さんもとてもよくて(もう5歳~10歳ぐらい若い時だともっとよかったんだけどね)、よく笑わせてもらったいかにもお正月映画なエンターテインメントでした。しかし、最初にちょっとしか出てこない要潤(昔金城似と言われた)、偽(?)二十面相の加賀丈史、キャスティングが妙に贅沢で、少年探偵団小林少年の使い方にしろそもそもシリーズ化するつもりで作られた?そこまでヒットするといいけどね。私が見た回の入りはどうもそうはいかなさそうだった。
 江戸川乱歩ファンにとっては、こらあ、と思う造型かもしれない。明智探偵。

 

MOVIE
comment(2) 2008.12.24 21:15

青銅の悲劇 瀕死の王

ファイル 106-1.gif著者 笠井潔
出版社 講談社

 (昭和)天皇の病状悪化のニュースが伝えられる頃の設定。東京郊外の旧家、鷹見澤家で次々起こる事件のことで相談された探偵小説家宗像冬樹。冬至の日、トリカブト毒を用いた殺人未遂事件が起こり・・・。
 矢吹駆シリーズ日本編待望の第一作、と帯に書いてあって、厚ぼったい本なのだけどつい買ってしまった。
 
 私は日本の本格推理小説はさほど好きではない。が、笠井潔の矢吹駆だけは贔屓の探偵さんなのであり、現象学とかさっぱり理解できないツールを使われ、よくわからないことがなにかとありつつ追いかけているのである。が、この話では矢吹駆は活躍しない。
 笠井潔本人に関心がある人にはなかなか面白い展開になっている。宗像冬樹の履歴は笠井潔自身をモデルとして描かれている。だから笠井潔の探偵物、伝奇物などを読んでいてどうも笠井潔という人が気になる私には、へー、そーだったのか、的面白さが満載である。

 が、じゃあこれってミステリーとしてよく出来てるのか?というと、なんだかご都合主義だなあ。まあ日本製の本格推理を読むと大概そんな気になるからあまり読まないんだけど。

 最低限、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』を読んでいないと楽しめない作りになっている。それ以外にもヴァン・ダインとか、海外の本格推理小説について基本的な知識があるほうがいい。なにかの小説の引用であるらしい登場人物たちの会話が出てくるのだが、たぶん中井英夫あたりの作品?

 で、結局この作品は、これで完結していない。“わたしは日本に帰ってきた、矢吹駆を殺すために N・Mの日記から”って思わせぶりな前ふりは何?もーう、こーんな厚い本読む暇はないのに何とか読み上げたらプロローグだって。また次読まなきゃならないんじゃない。しかも、私は知らなかったのさ、『哲学者の密室』のあとに『オイディプス症候群』と『吸血鬼の精神分析』という矢吹駆ものが出ていることを。カッパノベルスでそのオイディプス探しまっさ。
 これだけ突然読んでも、面白くない・・・よね、たぶん。すみませんね、惚れた男ってものは他人にはとんとなんのこっちゃわからなかったりするわけで・・・。

BOOK
comment(0) 2008.12.22 23:01

役に立たない日々

ファイル 105-1.jpg

著者  佐野洋子
出版社 朝日新聞出版

 分厚い本を長い日々かけて読んでるし、積んどいてる本は5.6冊あるし、しばらく本を買わない、つもりだった。
 近所の○タヤで見かけたのよ。この人の本が二冊並んでいて、どっちも私に色目を使ったけど振り切った、けど、風邪ひいても買い物に出なきゃならないし、お茶碗を洗わなきゃならないし、あーやるべきことはほっといてあの本読もう、風邪だから、私は私を甘やかす、と決めましたのさ。

 役に立たない?2003年秋から2008年冬までの日々のエッセイ、まあどこを開いても面白い。まずおいしそう。レバーペーストね、玉ねぎたくさん炒めるなんてカレーの時にもしなくなっちゃったけれど、玉ねぎたくさん炒めて甘みを出してブランデー垂らしたレバーペーストを作ってみたくなった。でその作り方をどんな人から聞いたか、という話なのだ。教えない。興味あったら読んでね。

 「百万回生きた猫」で有名な佐野洋子さんは2度離婚しているそうだが、二度目の結婚・離婚の相手は谷川俊太郎氏だ。『からだ』とか『女に』とか、その時期佐野さんの挿絵で詩集が編まれている。わらいながらできるものだったのね と女がいう一節がそのどこかにあった。とても印象的だったのはそういうパートナーの言葉が詩集にそのまま掬われたのだな、と思ったからで、それって、どんなことだろう、詩人のパートナーであることって、と、ちょっと引っかかったことでもあった。

 そりゃ離婚するわ、と思った。この本を読むと、佐野洋子さんがどんなに生まれながらの詩人谷川俊太郎と異質な人かと思う。そしてそんな二人がある時期惹かれあったのだ。

 そんな話じゃなくて、この本。韓流にはまりまくった話もある。アルツハイマーじゃないかと思って検査に行った話もある。結果、記憶力は抜群だったらしい。でも検査に行った日に編集者と打ち合わせの約束があったことはすっかり忘れていたのだ。いかなる内容の仕事であったかも。
 
 そして。2008年冬、余命2年を宣告されている。それを聞いた帰りに近所のジャガーの代理店に行ってイングリッシュグリーンのジャガーを指さして、それください、と言ってかったのだそうだ。
 あーなんとかっこいい死に向かい方であろう。そしてそのジャガーは買って一週間でぼこぼこになったそうだ。あーなんと素敵な、生き方だろう。
 ただ、ホスピスとか、死ぬまでにかかる費用を自ら医者に聞いたら一千万と返事が戻ってきたそうだ。うーん・・・。
 そんなこんなで私は昨日乳がん子宮がん検診に行ってきました。検診車でおっぱい横からはさむのね、知らなかった。
 

BOOK
comment(2) 2008.12.03 21:58

move