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花蓮の夏

ファイル 96-1.jpg
http://www.karen-natsu.com/
台湾映画
監督 レスト・チェン 陳正道
出演 ブライアン・チャン (張睿家) ジョセフ・チャン (張孝全)
    ケイト・ヤン (楊淇)

 DVD鑑賞。
 台湾の青春映画には同性愛関連率が高い・・・その映画界の規模から考えて、なぜか高い。ハリウッドを初め、もともと映画界にゲイの人が多いのは周知のことだけれど。

 が、これはいわゆるゲイムービーではありません。監督いわく、「これは青春と孤独についての映画です」。

 小学生の時に行動障害児だったユ・ショウヘン、学校の先生は学級委員のカン・ジェンシンに友達になるように言う。いつか親友となった二人は、体育系と優等生とタイプがまったく違うまま相変わらず一緒に過ごしている。
 親の離婚で香港で暮らしていた少女が転校してくる。

 それぞれの心の芯に、人に話せない孤独な思いがある。
 
 台湾では、先生の力は絶対であるらしい。生徒は言われたことに従うものらしい。そのことを踏まえて見てほしいと、監督の言葉です。
 体育系の男の子ジョセフ・チャンは“孽子”(にえず と読みます)という、これもゲイの主人公が出てくるドラマに出ているのだそうです。このドラマ、一部で有名なのだけど、そろそろビデオが出たでしょうか?見たい。王力宏と鈴木京香の“真昼ノ青空”にも出てるって?ああこれもまだ見てない、探さなきゃ。
 花蓮は台湾の東部の地名、二人の男の子が小学校から高校まで過ごしたところ。

 切ない、みずみずしい、秀作です。昨夜見て、今朝もう一度見ました。

MOVIE
comment(0) 2008.08.02 11:43

アフタースクール

ファイル 95-1.jpghttp://www.after-school.jp/index.html
監督・脚本 内田けんじ
出演 大泉洋 堺雅人 佐々木蔵之介 

 あーなんてこと、日本映画No.1候補その2登場!
 えーっ、なーんとそんな、という結末であるらしいことは、Netでも新聞でも感想を見かけてういてわかっていた、はずだったが、あーなんてこと!あーそんな!

 マンションの一室、ごく普通の勤め人(堺雅人)、大きなお腹のその妻(常盤貴子)、その父親らしい男(山本圭)、出勤していく堺雅人、その友人で教師の大泉洋。妻は産気づき大泉洋(と、もう1人)が付き添って病院に行く。

 アダルトショップ屋兼探偵の佐々木蔵之介が現れ、大泉と二人で人探しを始める。誰を?なんで?・・・だからそれは、見に行ってね、皆さん!なーににそんなにびっくりするのか、知りたいでしょ?

 よーく練られた脚本、誰?この内田けんじって、と思ったら2005年「運命じゃない人」でカンヌでいくつも賞獲ってる人だって。なんか目にした覚えがあるような。

 アダルトショップのセット、廃校に作られたんだって。低予算作品が口コミで広がった例。いやいや、後で思うと、あれ?と気にかかる場面があちこち.・・・。
 

MOVIE
comment(2) 2008.07.31 16:19

RURIKO

ファイル 94-1.png
著者 林眞理子
出版社角川書店

 浅丘ルリ子さんはすばらしい女優さんだ。
 私は日活映画の中では小林旭の国籍不明荒唐無稽物が好きだ(リアルタイムで見たんじゃないよ、私の時代は日活ニューアクション→にっかつロマンポルノ、その中にも名作があったんだよ)。
 私はミーハーだ。

 だから是非読みたいと思った(ルリ子さんと小林旭は恋人だったらしいと言う程度の知識はあったので)。

 まずは戦前の満州、ルリ子の父と甘粕正彦との交流の話から始まる。満映理事長だった甘粕が、この子を将来女優に、と希望したということになっている。(甘粕について詳しく知りたい方こちらへhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%98%E7%B2%95%E6%AD%A3%E5%BD%A6

 戦後、中学生の浅井信子ちゃんはオーディションに合格してその役名と同じ浅丘ルリ子と言う芸名を持つ女優になる。・・・そこからの話が、よくこんなことまで書かせた、と思うのだ。共演した小林旭と恋人だったけれど実は石原裕次郎に片思いしていた、とか。そのあとの妻子ある監督との恋は、まあ有名な話だろう。ん?これは誰のこと?とか、え?あのTVドラマの!とか、実名もしくはかなり推測できる形でルリ子さんを巡る男たちが出てくる。現在の恋人も。いいのか?
 石坂浩二さんとの結婚は長かったけれど、実質生活した時間は短いようだ。・・・石坂ファンには申し訳ないが、この教養ある薀蓄男が、なーにやらウザッタイ生き物に見えてしまう。
 
 TVで石原裕次郎主演作の映画を見ていて、ルリ子さんは若いときからうまい女優さんだったんだなあ、と思ったことがある。石原裕次郎と言う、その時代には類を見ない存在であっただろうスターさんは、ルリ子さんのようなうまい女優さんを配することで生きていたんだなあと、しみじみ思ったのが去年だか一昨年だかのことだった。

 この表紙の、一番美しかったであろう頃のルリ子さんは(秋山庄太郎撮影)、自身が宝石のようだしたくさん宝石類を持っていて当然だ。が、ガラスの輝きが好きなのだという。そういえばスワロフスキーのビーズをたくさんつないでアクセサリーを作っている話をしていたし、テレビドラマの中でも実際それをつけて出ていた。
 本人が類まれな天性の女優として輝いている人は、それでいいのだ。あの37キロあるかないかの体で、芯の強い、男前な女性。

 この本の帯、私が持っている版には“この小説に一番驚き、一番感動したのは私かもしれません”というルリ子さんの言葉が書いてある。しかし最初に出たものでは“きれいな女はこう生きろ!”となっていたらしい。どう思いますか?

 

BOOK
comment(1) 2008.07.29 08:03

クライマーズ・ハイ

ファイル 93-1.jpg
climbershigh.gyao.jp
原作 横山秀夫
監督 原田真人
出演 堤真一 堺雅人 尾野真千子

 1985年夏、御巣鷹山日航機墜落事故発生のその時、群馬の地元新聞社の記者たちがどう動いたか、それとその当時全権デスクとして指揮に当たった男と息子との関係、現在その男が山に登るシーンとを交錯して描いていく。

 すごい臨場感。その頃はまだ携帯電話はほとんど普及していなかった。その地方新聞社では無線すら備えてなかった。編集部ぼ記者たちの勢力争い、思惑違い、瞬時に判断しながら刻一刻変化する状況との戦い、新聞社内の他の部門とのせめぎあい、中央紙に対抗する思い、クソ腹立たしい社長・・・観客の私も堤真一演じる主人公と共にコイツケチラカシタイようなこともたびたび。
 
 原作が横山秀夫で監督が原田真人なら、あるレベルは保障されている。が、原田真人監督作品のなかでも私の好きなものとそうでもない物がある。どうなんだろう・・・と思いながら見に行ったのだ。私にしては珍しく、こういう正統派の(日本アカデミー賞候補確実な)作品を、今年の日本映画No,1候補に挙げることとなった。

 この映画関連で出演者3人でおしゃべりする番組に出ていた堤真一、私にとってはたいへん印象的だった1987年のNHKドラマ「橋の上においでよ」あたりではまだまだ俳優をやっていく気は無かったらしい。JACがオーディションに行かせるから・・・ぐらいで。舞台やってるんだなーと思いながらその後サブ監督の映画でむやみと走っているなんだか理不尽な姿を追いかけていたんだがワタクシ。

 御巣鷹山というのは、坂本九が亡くなったあの航空事故ですが、映画にはそれは一言も出てこない。
 
 この作品は原作をどの程度変えてあるんだろうと思って、すぐ原作を読んだ。うーむ、そうか・・・。
 
 最後のクレジットで名前が流れる中に、南日本新聞社の人の名前があった。地方新聞社としてなんぞ協力したのかな。

 
 

MOVIE+BOOK
comment(0) 2008.07.24 14:49

ミラクル7号

ファイル 92-1.jpg監督 チャウ・シンチー
出演 チャウ・シンチー シュウ・チャオ キティ・チャン

 世にも貧乏な父と子、父は建設現場で働きながら息子を名門小学校に通わせている。息子の靴が破れてもゴミ捨て場で適当な物を拾ってくるのであった。息子ディっキーは父が拾ってきた風船のようなボールのような物が、動くオモチャ(?)であることを発見する。
 その動く物体は宇宙から来た生命体であることが判明し・・・。

 息子ディッキー役の子は実は女の子なんだって!うまい、可愛い。原題では長江7号なのだけれど日本ではミラクル7号、略してナナチャンと呼ばれる宇宙生命体の造形が可愛い。ちょっと“キッド”とか“E・T”とか日本の“ジュブナイル”とか、どこかで見たよな匂いはありつつ、面白かったよ。もう少し人が入っても良さそうに・・・と女性1000円の日の少ない観客の1人として思うのであった・・・が、チャウ・シンチーはあくまでもベタな香港的笑いを入れたいようで、ゴキブリさまぞろぞろシーンとか、おーいやめてくれ。と言う物も出てくるのであります。そうそう。今の中国にはこんな子いそうだなあ、と言う感じの金持ち坊ちゃんの(昔のマンがによくある)お姿も、なかなか。
 小学校の先生役が、『少林少女』に出ていたキティ・チャン、あの時の女子大生姿よりすっと大人びたチャイナドレスの綺麗な先生。

MOVIE
comment(0) 2008.07.16 12:38

レスリー・チャンの香港

ファイル 91-1.jpg
著者 松岡環
出版社 平凡社

 もしもあの時SARSが流行っていなかったら、もしも中国人スポンサーがそのまま映画制作にかかわっていてくれたら・・・歴史にもしもはあり得ない、けれども、ほんの少し空気が動いただけでレスリーの人生は変わっただろうにと思うのだ。あの年の4月1日の夜にNetにつないだら、彼がホテルから飛び降りて死んだと言うニュースが飛び込んできたのだった。
 
 そのレスリー・チャン張國榮の軌跡と、香港の現代史を重ねて描き出している。目次を紹介すると、2.少年期:中国とイギリスの狭間で 3.ティーン期:イギリスの旗の下に 4.デビュー期:香港文化の誕生 5.開花期:爛熟する香港芸能文化 ~ 9.萎縮期:時代の渦の中に消えた命 といった具合だ。香港映画や香港ポップスが好きな人はもちろん、必ずしも芸能には興味ないけれど香港好き、と言う人に是非お勧めしたい。
 
 私はさほどレスリーファンだったわけではない。トニー・レオン梁朝偉や周潤發のほうが好きだ。けれども中華圏の映画で好きな10本を選べと言われたら『さらば我が愛覇王別姫』と『男たちの挽歌(英雄本色)2』は必ず入るだろう。不世出と言う言葉を使うならトニーだってチョウ・ユンファだって不世出には違いない、そしてレスリーの亜流はいくらでも出るだろう、が、レスリーは、本当に稀有な存在だった。レスリーの歌には興味無かった、が、その死後しばらくは、彼の歌う「月亮代表我的心」がラジオから流れるとウルウルしてしまうのだった。同性愛を犯罪視する中華社会で、パートナー唐唐にささげると言う形でカミングアウトしたも同然だったその歌。

 著者はインド映画や香港映画のライター。NHKFMの番組アジアポップスウインドで、たまにインド映画の紹介をしている。

BOOK
comment(4) 2008.07.06 21:53

西の魔女が死んだ

ファイル 90-1.jpghttp://nishimajo.com/i_index.html
監督 長崎俊一
出演 サチ・パーカー 高橋真悠 りょう
原作 梨木香歩

 中学三年生になった少女まいにおばあちゃんが倒れたとの知らせ、母の運転で、もう危ないというおばあちゃんの家に急ぐ。

 中学生になったばかりの頃、まいはふとその中学の社会生活になじめなくなる。結果、お決まりのシカト、そして中学に行けなくなる。そして田舎のおばあちゃんの家でしばらく過ごすこととなる。「扱いにくい子」と言う母の言葉が耳に残っている。
 おばあちゃんはイギリス人で、ハーブガーデンや木立の中で暮らしている。まいと母は彼女を魔女と呼んでいる。
 おばあちゃんの元で魔女修行をするまい、魔女修行第一歩は、早寝早起きをすることだった。そしてもうひとつは、自分で決めるということ。

 ターシャ・テューダーか?みたいな(そりゃもっとこじんまりしているけれど)生活ぶりのいろいろ・・・庭のかまどに大鍋でワイルドストロベリーのジャムを作る・鶏を飼って卵を取りに行く・大きな木がある。それらが、私自身の子供の頃におばあちゃんの家で過ごした時を思い出させる。jジャムではなくてお盆のお団子用のあんこだったけれど。【伯母の手の中で三つ並んでまんまるになるお団子を見ながら、1個なのになせどうしても三角っぽくなる私のお団子・・・大人になったらそんなことが出来るようになるかと思っていたが今でも私の作るお団子は三角に近い】

 シャーリー・マクレーンの娘の名がサチというのは知っていた。日本で暮らしていたことも知っていたが、まあきれいな日本語だこと。吹き替え?と疑ったほど。それほどの年じゃないはず、と調べたら1956年生まれ。普段はどういう生活をしている人なんだろう?気になるほど自然だったと言うことです。

 原作が好きで、この“西の魔女が死んだ”を皮切りに次々梨木香歩のものを読んで、この欄にも紹介している。原作と細かい部分は違うが、ほぼ忠実。それだけになぜあれが出てこない、あそこが・・・という原作ファンはいるかも。
 

MOVIE
comment(0) 2008.06.28 11:00

犯人に告ぐ

ファイル 89-1.jpg
著者 雫井脩介
出版社 双葉社

 個人の人生にとっては深刻な事情を抱えて、“ワシ”と名のる誘拐犯人を追っていた捜査官巻島が、ミスを犯す。
 数年後、“バッドマン”と名のる者による連続児童誘拐殺人事件が起る。捜査に行き詰っていた神奈川県警は、テレビに捜査官を出演させることにし、左遷というべき部署にいた巻島をその責任者とする。

 現場に復帰した巻島は、かつての“ヤングマン”と言うあだ名とはかけ離れた異端の風貌となっている。・・・という、その長髪の、52歳の警察官として現れるところから、非常に視覚的、映像的な作品となっていく。同僚にどこか精神構造が幼い若きエリート・人情味ある巡査部長・“ワシ”事件投じも部下であった男・おマヌケだが意味なく運がいい(?)部下など、テレビ局側にはメインキャスター・女子アナ・元刑事のコメンテーターなど、いかにもありそうな面々を取り揃え、“バッドマン”との対決、或いは交流が、始まる。

 一気に惹きこまれます。上司の思惑を超えて劇場型犯罪捜査に独自の判断で取り組む巻島、犯人からの手紙、周囲の誤解、アホな某・・・。

 の、割には、解決に至るきっかけとか、ちょっと弱いんじゃないの?という気はする。某を罠にかけるエピソードのほうが勝ってしまったというか。

 誰でも個人の事情を抱えています。捜査官だって、或いは結果的に人を傷つけてしまう人にだって。アホな某すらも。社会人として、個人の事情を抑えて冷静に行動しなければならない、そのときに・・・。
 さて、この神奈川県警メンバーによる別の物語は、書かれないのでしょうか?

 20007年に豊川悦史主演で映画化されていますが、見ていません。http://www.hannin.jp/

BOOK
comment(2) 2008.06.23 09:46

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