烏に単は似合わない

著者 阿部智里
文春文庫

実はこの作家の第二作である「烏は主を選ばない」から読み始め、「黄金の烏」「空棺の烏」と一気に読み、もう一度ざっと読み返し、そして一作目、という順序で読んでしまった。なぜなら三冊は友人からの借り物だったから。
いやいや、とっても好みのものを貸してくれてありがとう。巻末の解説にもあるように小野不由美の『十二国記』シリーズや上橋菜穂子『守り人』シリーズなどが好きな人、物語が好きな人、まだ読んでいなかったらお薦めですよ!

八咫烏 という一族が住んでいる世界、山内と呼ばれるところで起こる事件。日本の平安時代あたり?いやもっと後?の異世界朝廷。なにしろ私は二作目から読んでしまったから、この金烏とされる若宮と、いやいやながらその側仕えとなった雪哉が共に、うつけ、ぼんくらとみなされているが実は、という設定、昔から好き!で。

権力争いが繰り広げられる、ファンタジーにして推理小説の性格を持つこのシリーズにはまり、第一作目を読まずにいられるか、となったわけだが、なんとこの一作目は、作者二十歳の作品ですと。若宮のお妃選び、というまことにありがちなテーマながら、巧緻に編み込まれた権謀術数人間の裏側。この視点を二十歳の大学生が…特にあせびの君という、ほかの姫君たちより幼く世間知らずの姫君の造形。
まいるね。2012年の松本清張賞受賞作だそうだ。そこそこブンガクショウジョ育ちだった自分の二十歳を思い起こすにまったく!

コミックになったそうだ。映像化もあるかな。

 

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