僕が殺した人と僕を殺した人

著者 東山彰良
文春文庫

1の舞台はアメリカ。台湾の人形劇『布袋劇(ポウテヒ)』の人形を持つ男と少年の出会い。スティーブン・キングか?という雰囲気で始まる。

2からは台湾。80年代台湾の下町、近所の友達の家でご飯を食べることは何でもない普通の事だった時代。ユンの兄のモウを、バイク事故で失ってから、父母のいさかいが絶えない。ユンは、友達のアガンの親がやっている牛肉麺の店を手伝っている。ユンの母が精神を病んだので、父が治療のためアメリカに連れていくことになり、ユンはしばらくアガンの家に預けられる。
ユン、ジェイ、アガン、その弟のダーダー、それぞれ家庭に問題がある。アガンの母は、ある日男と出奔してしまう。ジェイは継父から暴力を受けている。
それぞれの問題を放つようにブレイクダンスの練習に明け暮れる13歳のユン、ジェイ、ガン。
ある日、ジェイの父親を毒蛇で殺そうと計画する。

と、進む台湾での物語の間に、2015年アメリカで、サックマンと呼ばれる少年殺し事件の犯人を、弁護しようとしている男の話が挟まれる。

途中まで私は勘違いしていた。その犯人と弁護士が誰であるかを。

台湾人と外省人、国民党と共産党、両岸問題、台湾の歴史をよく知らない人には読みにくいかもしれないが。
今年の、私の読書部門ベスト3には入ると思う、作品。『スタンド・バイ・ミー』『タンポポのお酒』などに連なる少年の日の物語。誰か台湾の監督の手によって映画化されないかなあ。

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