春江水暖

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監督・脚本 グー・シャオガン
出演 チェン・ヨウファー ワン・フォンジュエン スン・ジャンジェン
音楽 ドウ・ウェイ

杭州富陽、大河・富春江が流れている。再開発の只中にある街。
母親の誕生日の祝いの席に集まった4人の兄弟、親戚たち。祝宴のさなかに母親が脳卒中で倒れてしまう。介護が必要となった母を、誰が介護するのか、という問題が起こる。黄金飯店というレストランを経営しているが金に困っている長男・漁師の次男・ダウン症の長男を一人で育て、あちこちに借金がある三男・独身の四男。
長男夫婦のもとにやってくる母親。世話をするのは長男の妻。

中国の地方のどこだろうと思いながら観ていたのだ、方言なのでまるで聞き取れない。広東語に似た言葉もあるが、イントネーションは北京語に近い。孫権がいたのはどこ?杭州だって。

どこの家庭にもありそうな地味なドラマはあるけれど、ストーリー展開を追いたい人には退屈そうな流れ。そうか、絵巻的なのか。長回しのカメラ。長男の娘の恋愛に、反対するその母。なぜなら自分が目論む別の相手となら、金銭問題が片付くから。地方都市はやっぱり論語の教え、親には孝行しなさい、なんだね。

そうは言っても時は移り、世は変わり行くのさ。

なにがびっくりって、その恋愛する娘カップルと倒れた母親は俳優経験があるが、そのほかのほとんどは、監督の親戚だったり知り合いだったり、演技の素人だったということ。

蘇東坡の詩の一節、竹外桃花三両枝 春江水暖鴨先知 から取られたタイトルだそうだ。そして、元の時代の画家、黄公望の『富春山居図』にインスパイアされた作品とのこと。侯孝賢・楊徳昌・賈樟柯作品などを思い起こさせる、のはまあそうだが、やはり別の個性が描く世界。どうやら続編制作のつもりらしいよ。

音楽を竇唯が担当、あの王菲が最初に結婚した、かつてロックバンド黒豹にいたことがある竇唯は、今では私がとても好きなタイプの音楽を創る人になっているのだなあと、終わりに流れる音を聞きながら思う。
1988年生まれの若い監督による、2時間半の映画です。2019年カンヌ国際映画祭クロージング作品。

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