所轄刑事・麻生龍太郎 (再読)
著者 柴田よしき
角川文庫
13年ぶり新作収録で再文庫化。その13年前あたりに、このブログに感想書いておりますんですが。新作読んでみたかったので。そして、『小綬鶏』と言うその新作、好きでした。
でね、我が愛する麻生龍太郎と山内錬の出てくるものを次々読み返すこととなりました。『聖なる黒夜』、『私立探偵・麻生龍太郎』、それから『RIKO』シリーズ第一作には錬は出てこないけどその後の二作に出てくるのだから全三作読みましたさ。
『RIKO-女神(ヴィーナス)の永遠ー』の単行本が出たのは1995年。改めて読み返すと、かくも型破りな性に奔放な造形だったのか、と思う。で、たぶん山内錬の初登場である『聖母の深き淵』(1996年)では麻生龍太郎はもう警察をやめて私立探偵になっているんだなあ。そして、トランスジェンダーと言う言葉はこの時代に世に出て来たのか。と言うよりこの時代には性的マイノリティに対する認識というものはこのレベルだったのかー。ハラスメントについてもひどいもんだなあ。まあ今この2022年でも、男女平等は反道徳の幻想だとかLGBTは生産性が無いとか抜かす女性議員が、総務大臣政務官だかになられましたが。わきまえた女性がどうとかの森の爺さんは言わずもがな。少なくとも真っ当な大きい企業では社員にちゃんとパワハラ・セクハラやジェンダーについての教育をしているだろう。政治家こそジェンダー認識をちゃんと世界レベルに上書きするべきなのに。が、昨今の統一教会関与問題で、与党及びそれに準ずる党派のお方が、宗教系のご意見を取り入れて、その票を取り込んでいらっしゃったことが判明、そこかあ、票集めが一番大事なのねえ。
『月神の浅き夢』のラスト近くの、緑子が錬に事情聴取しているときに「シャツのボタン外してくれない?」からのシーン、いいよね。
ところで、龍太郎を映像化しようとすると、どうしても(その年代のね、今じゃなくて)三浦友和になってしまう。小説上の実年齢だとそのくらいになりそうだが。イマドキの30代後半~40代の俳優さんで、となると、西島秀俊?周りの警察官役をあれこれキャスティングしたりはできるが、錬の映像化は厳しい。
時系列ではRIKO の後に花咲慎一郎シリーズに出てくる錬になるようだ。花ちゃんの時代には、自己認識が女である男の子、というのが出てきて、そういう存在を受け入れることも無くはない状況に変わってきている。さっきTVで、高校かな、教師が、自分はゲイであるとカミングアウトするドキュメンタリーを観たところだ。バイセクシュアルを公言している芸人さんとかいるし、10年後には日本でも多様性と言うものが、絵に描いた餅でなく、ごく普通に権利を行使できている社会でありますように。馬鹿な議員が少数派になっていますように。
そう思うのは、長く生きてるからか?なんか、斬新な映像もありつつ、テーマは普遍的な…