ザリガニの鳴くところ

著者 ディーリア・オーエン

出版社 早川書房

沼地で死体が見つかる。沼地に飲み込まれて何もわからなくなるはずだったものが。

湿地で育った少女。酔って暴力を振るう父に、とうとう愛想をつかし、出て行った母、そして兄弟姉妹も次々に出て行き、6歳の少女カイアがギャンブルと酒に明け暮れる父と残される。トウモロコシ粉しか食べるものが無い中、できる限りの力で家事をこなすカイア。10歳の時、父までも出て行き、一人残される。

カモメ以外に友のなかった少女は、少年テイトとの交流により、字を教わり、本を読めるようになる。また、黒人のジャンピンとメイベル夫婦が何かと心を配ってくれる、それが救いだ。が。

『秘密の花園』というバーネットの物語は、今読むとすさまじいネグレクトの話だが、それをふと思い出す。ミステリー仕立ての純文学といった趣。

動物学者である著者の初めての小説だという。しかも70歳を越えてからのものとか。動物たちが生きるために思いがけない行動をすることが、そこここで描かれる。

2021年本屋大賞翻訳小説部門1位。2022年映画化。映画も観たい。

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