小さいおうち
監督 山田洋次
出演 松たか子 黒木華 吉岡秀隆 倍賞千恵子
2010年143回直木賞受賞作の映画化。64回ベルリン国際映画祭銀熊賞、黒木華(はる)最優秀助演女優賞。
これは、原作を読んでいない人が見た方がいいと思う。
昭和の初め、東京郊外の、戦前で言うところの中流の暮らし(20~30年ぐらい前の日本の、みんな中流と思っていたものではなく)、おしゃれな赤い屋根の、洋間がある家。そこに、「おしん」のような東北の田舎から上京してきて女中になったタキ、『タキさんと時子、名前が似てるわね』と出会いの時に言った美しい奥様。
黒木華さんはとてもいい。美しすぎないから、いろんな役ができる。「舟を編む」ではいかにも都会的な出版社勤務の人だった。整形してみんな同じ角度の鼻になっている韓国の女優たちよ、これを見よ、と、心に思ってしまう。寺島しのぶサンにしても美しすぎないからこその幅の広さだ。ま、基本、女優として優れていることが必要だけど。
吉岡秀隆クンは、この作品の場合、ちょっと違和感があるかも。美しい若奥様に一目ぼれされるにはちと地味でしょう。
原作があって映画化されるとき、ほとんど原作通りであってもそれでは映画で見る甲斐が無い、と思う時もある。換骨奪胎されて新鮮に感じる時も、あれ?という時もある。この作品についていえば、それなりにうるうるしながら見ていたし、まあ原作に沿っている・・・けどなんだ?何だか違う、と、家に戻って原作をめくった。そうだよ、倍賞千恵子さんになってからのタキさんの造型が、原作と違う。奥様が道をはずしかける理由が、原作にはある。
元々、山田洋次作品を、好きかどうか、という問題かもしれない。小さな毒のような針のような部分を、省略して描かれた物語が、私には少し物足りなく感じられた。
なお、原作についての(簡単な)感想文はコチラ。
友人からの借り物だけど、読むならそのまま借りておきましょうか?