そこのみにて光り輝く

そこのみにて光り輝く監督 呉美保

出演 綾野剛 池脇千鶴 菅田将暉

こんな昭和な、閉塞感に満ちた作品を、どんなターゲットに向けて創ったんだろうと、見始めてしばらく思っていた。

パチンコ屋で使い捨てライターを渡したことから、その人懐こい青年に誘われて彼の家に行く。海辺の、バラックのような家で、青年の姉と出会う。お互いに魅かれた様子。

姉・千夏役の池脇千鶴は、大体この人が出ていればいい作品だろうと私は思っている。いい女優だ。最後のシーンの、その表情。

なぜか私は綾野剛にさほど魅かれないが、悪くないよ、もちろん。

が、これは、菅田将暉の映画だと思う。あまり頭は良くなさそうだし粗暴だが気のいい人懐こい拓児そのままに感じられる。NHK朝ドラ「ごちそうさん」のイメージなどどこにも無い。こんな俳優だったんだ。

寝たきりの父親、傷害事件を起こして仮釈放中の弟・拓児、母親、を、食べさせるために、体を売っていた。昼はイカの加工場で働いている。拓児は、妻子ある千夏の男の紹介で仕事をしている。

そして、綾野剛演じる達夫は、発破の事故で仕事仲間を死なせてしまって以来、仕事をせずに無目的な暮らしをしている。

70年代初めのにっかつロマンポルノか、と突っ込みたいような状況。母親は伊佐山ひろ子サンだしね。背景は80年代だそうだ。歪んだセックスの形がいくつも。寝たきりなのに性的欲求だけは健在の男を演じているのは田村泰二郎、状況劇場出身の俳優さんだって。

いい方向に動きかけたところで、ひどい事件がまたひとつ、ふたつ・・・どう転ぶ?

ラストに来て、じわりと潤む。重ねて言うが、ラスト近くの池脇千鶴の表情!

 

 

 

コメントをどうぞ

コメント(*必須)

CAPTCHA


*