営繕かるかや怪異譚

営繕かるかや怪異譚著者 小野不由美

出版社 角川書店

営繕の意味は、この場合、修繕、リフォームかな。細かく言うと違ってくるらしいんだけどね。

古い建物があると、長い月日にはいろいろな人がそこにかかわり、何かしらの思いが留まってしまうことがある。日常の中に不意に現れる、そこにいない人、かつてそこにいた人の気配。屋根裏で、奥の部屋で、ガレージで、行き止まりの路地で…。

それを、消し去ってしまうこともできるけれど、そうではなく、ある意味共生する、もしくは外に出ていきやすくする。そういう姿勢で建築物を営繕する、営繕屋尾端が、どちらかというと脇役としてかかわって、生きている人の心も、生きていない住人の執着も治めるお話。

魔を折伏するとか、そんな話ではなく、今は亡き人もそこにいる者として、より良く流れて行くようにするという発想。

祟りではなく障り、それを取り除くだけ、少しの不自由を許して生活していく。生きている人間のほうが、時に怖いことをしているよ、という事実も垣間見える。

かつて、田舎の家で暮らしていた伯母が、狐さんに騙された話、祭って治めてあった場所を掘り起こしたために職人が寝込んだ話、などしていたことも思い出したりした。少し昔、日常にそんな話があった。

私は、『檻の外』という作品でうるっとなりました。小野不由美さんの人生に何か変化があったのかな、と思ったこの作品だったけれど、前作「残穢」は、相当怖い長編なのだそうだ。ふむ。

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