トム・アット・ザ・ファーム
監督 グザヴィエ・ドラン
出演 グザヴィエ・ドラン ピエール=イヴ・カルディナル リズ・ロワ
お薦めはしない。私にも理解不能なことがあちこちにある。
広告代理店に勤めるトムは、事故でゲイの恋人を失い、葬儀に出席するため、農場に向かう。そこには、恋人だったギョームの母と兄が暮らしていた。兄は、その家に泊まったトムに、突然暴力的に、ゲイであることを言うなと命じる。
田舎だから、同性愛の存在など考えられない。どこの国でも、都会であれば格別の問題なく生きていけるだろうが、田舎で、そして母親を相手に、あなたの息子の恋人でした、とは言えない。女性の恋人がいたという嘘に嘘を重ねていく。
恋人の突然の死で心には深い傷を負ったまま、説明不能な具合に暴力的で、どこか、この男も同性愛の傾向があるのか?とおもわれる、異常さをあらわにしている兄に対応するトム。いつの間にかトムは兄に従ってこの農場を離れられなくなっていくようだが、それはいわゆるストックホルム症候群的なことなのか?
偽の恋人にされた同僚女性サラに助けを求めたトム。彼女にも暴力を振るおうとする兄。
何がわからないって、逃げ出そうとしたはずのサラが、車の中で酔っぱらって兄と…薬でも盛ったか?兄よ不条理な、・・・それをサイコサスペンスと呼ぶのか。
金髪のグザヴィエ・ドランは美しい。壊れた心と暴力によって傷つき行く肉体。もうどんなところに流れていく話かと。
最後、なんとか、ちゃんと息つけます。
私は、このグザヴィエ・ドラン物を見る機会があったら追うことに決めたので(マミーを見てから)、今後も見続けます。監督、編集、衣装、そして主演がグザヴィエ・ドランです。
エッセイのような、散文詩のような、私小説のような、物語。これの前に『少年が来る』…