幸せなひとりぼっち

監督 ハンネス・ホルム
出演 ロルフ・ラスゴード

59歳で突然会社をクビになったオーヴェ。妻に先立たれて独り暮らし、なんだかんだと口うるさくてこんなじーさんが近所にいたら腹立つことだと思われ。
妻のことは大変愛していたらしく、いつもバラの花束を持って墓に行き、話しかけている。妻のそばに行きたくて何度も自殺を試みる。が、そのたびに隣人からの邪魔が入って失敗に終わる。

隣に引っ越してきた家族と、初めは喧嘩腰だった。その隣の奥さんに運転を教えてくれないかと言われて断りながらも、ほかの人に教わっている姿を見ると、自ら指導を始めることにする。

おいおいまだ自殺したいのか、とつい笑ってしまう。

そして、生真面目なのは若いころからだけれどかつては優しい青年だった彼が、今の偏屈な男になるに至った物語が、その人生にあったことが、次第に語られる。

別の昔からの隣人が、車椅子生活になっている。ほとんど意思表示できない状態である。そこにかかわってくる介護施設関係の男、福祉国家スウェーデンにも、こんな小ずるいしょーもないやつがいるんだな、と思わされる。

近所の子どもたち、古い隣人、猫、などと次第にかかわっていくこととなり、心臓の悪い彼が倒れて病院に運び込まれ、それは大したことでは無くてすぐ退院と言う次第となると、それまで泣いていた隣の奥さんに「あなた死ぬの下手ね」と言われてしまう。

まあ、ある日、最後を迎えるのだけど、人生の最終段階がこんな風だと本当に幸せだ、と思える映画。老年期の人間が観るには佳作。

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