牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

監督 楊徳昌エドワード・ヤン
出演 張震 リサ・ヤン 張國柱 金燕玲 王啓讃 柯宇綸

1991年台湾作品。1961年台湾で起こった中学生による同級生女子殺人事件を元に映画化したという。188分版と297分版があり、配給元の倒産により、長く再上映やDVD化できない状態だった。
20年ぐらい前、2本組みビデオテープと言う時代に私が観たのは188分バージョンだっただろうか。かつて衝撃を受けた作品なのにまあ見事にその人間関係が呑み込めなくて、観るべき年齢の制限がある作品かなあと思ったわー途中まで。

まず台湾の近代史を知らない人にはわかりにくい映画だろうな。1945年夏まで日本領だった台湾だから、この映画の設定1961年にはまだまだ日本家屋が残っている。映画館でも1980年ごろまで最初に台湾国歌が流れたのだそうだ。コンサートの前に国家が流れる。直立してそれを聞く。中華民国が中華人民共和国にとって代わるつもりでいるから常に戦闘態勢を整えている。元々台湾で生まれ育った人間と、1945年以降に台湾に移住した外省人と呼ばれる人間が、まだまだはっきりと対立していた時代。

けれどもラジオからプレスリーが流れる。ジーンズが流行る。

その頃の台湾の学校がどんなシステムだったのかよくわからないが、この映画の中では成績によってランク分けされ、成績が一定レベルに無いと、夜間中学に入るということになり、そこには素行のよろしくない生徒がいた、と言うことのようだ。中学生の年齢も幅があるように見えたのだが。日本で言う中高が一緒になっているのかも。男女は別クラス。

夜間中学に入った小四は、外省人の子。不良グループの子と親しくなっているが、普通の少年である。不良グループのボスの彼女だと噂される女の子に、淡い恋をするようになる。

不良グループの対立。
学生の不良グループ、と言う感じでは無いのだこれが。道路を軍の車が走り、銃や刀が身近にある時代、ほぼヤクザと言いたい姿。

不良ボスの彼女小明、この子が!実際、とっくにアメリカに移住していたリサ・ヤンをなぜか見つけた監督が、両親を説き伏せて出演させたのだそうだが、実年齢は高校生ぐらいだと言ったってこのファム・ファタールぶり!この一作しか出ていないはずだが、なんということ。

小四と呼ばれているが(4番目の子、ぐらいの意味)、役名も張震、この映画の中の父親役が実際の父で、兄役も実際の兄。そして張震は少しは演技経験があったらしいが、この映画がほぼデビュー作のようなもの、なのに、すでにその容姿も演技も、出来上がっているではないか。

リトルプレスリー(小猫王)と呼ばれるボーイソプラノの子のエピソードと、柯宇綸が出てた、と言うことぐらいしか覚えていなかった我が記憶力の風前の灯ぶりであり、誰の名前がそれなんだか、誰と誰が仲間なんだか敵なんだか、途中まで理解が追い付かなかったが、それでも、ああやっぱりすごい映画でしたよ。私がかつて見たものはもう少し少年と少女にピントが合っていた気がするので、やはり3時間バージョンだったのでしょう。

早く亡くなったエドワード・ヤン監督の没後10年目の今年、4Kデジタルリマスター版が公開されたことは誠に喜ばしいことでありました。

 

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