もののあはれ

著者 ケン・リュウ
ハヤカワ文庫

『紙の動物園』と対になっている。こちらはSF篇。
8編の短編をまとめたものだが、タイトルになっている『もののあはれ』の主人公は、日本人。しかも列車で久留米から鹿児島に行く。
『紙の動物園』で紹介したように、作者は中国生まれアメリカ育ち、弁護士でもあり、プログラマーでもあるという。で、中国系アメリカ人である彼の、日本人の描き方は、美化しすぎじゃない?まあ確かに大きな地震があっても派手な略奪は起こらない国だけれど。
地球に小惑星がぶつかる時が迫って、選抜された人々が新天地を求めて宇宙に旅立つ。のだけど、アクシデントが。その時、日本人の大翔が決断する。

それぞれ味わいの違う話。最後の『良い狩りを』は、中国の話。妖怪退治師と妖狐の少女、艶(ヤン)。妖狐にフーリーチンと振り仮名がある。狐狸精だろうな、元の中国語は。
清朝の時代?もっと前かも知れない。美しい妖狐を助けた少年。時が経ち、世の中から妖が次第に消えていく。それと共に、艶は本来の狐の姿に戻ることが難しくなっていく。時の流れがぐわりとワープしたような描き方で進み、イギリス領香港、かと思うと、少年が35歳になったある日、現れた艶の身体はクロム合金に替えられており。

ちょうど、これを読み終わる頃、カズオ・イシグロにノーベル文学賞のニュース。日本生まれイギリス育ちのカズオ・イシグロが描く1930年代の上海に感じるちょっとした違和感と、中国生まれアメリカ育ちのケン・リュウの日本・日本人の描き方に対する違和感を、並べてしまう。

それはともかく、SFが好きな方、読んでみてください。どの話がお好き?

 

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