2014年6月27日(金曜日)
著者 梨木香歩
出版社 岩波書店
梨木香歩は好きな作家だが、できれば文庫で読みたいのだ、けれど、南九州の遅島で繰り広げられる、魂の遍歴の物語 という帯の文字に抗えず。鹿児島出身の作家が、南九州のどこやらをモデルに描くとなれば。
今まで読んだものとは読み心地(なんて言葉は無いだろうが)が違う。作品すべてを読んではいないのだからほかにもこんな気配のものがあるのかもしれないが。
文学部地理学科に所属する男が、南九州の本土に近い島に地形や民俗の調査にやってくる。遅島という名前は架空のものだが、地理的な本土との近さ、蜃気楼(これが海うそと呼ばれている)が見える、など、甑島を思わせる。しばらく読み進まないと時代がわからないが、戦前のことである。男は、許嫁を一昨年に、両親を昨年に亡くしていた。
私事だが、役所の文化課で文化財など民俗資料に囲まれて(なんとも役に立たない事務員として)1年と少しを過ごしたことがある。となりの席の民俗の先生が、奄美のノロだかユタだかの取材に出かけた時のこと、基本的にそういうことは地区外には知らせない類の話、を、テープに録音し、帰りの船に乗り込んで、意識が消えた。気がついた時、録音したはずのテープの音が消えていた・・・、と。そんな話を聞いたと思い出しながら、遅島にかつて存在したというモノミミさんという一種のシャーマンのことなど読んだり。
そうだ、薩摩には山伏がいたんだった、と思ったり。二つ家、カギ家、という話が出てくると、確か知覧にかぎ型の家があったな、とか。平家の落人の集落、かもしれない、話に、先祖は平家の落人だという離島出身の友人の顔を思い出す。廃仏毀釈の話に、私の本籍地近くにある隠れ念仏を思い、その、浄土真宗弾圧と、よくあるムラのカミサマ的な存在が合体した?のだか、私が中学生ぐらいだったか、地域の仏教系シャーマンのお告げを仰ぐ場に出よ、という話があったぞ、今となっては惜しいことに、生意気な私はそんなところに出なかったけど。・・・なにかと身近な体験と関連付けて読んでいる。植生も、南九州が舞台となれば当然身近なものが出てくる。
が、この話どこに向かっている?島の民俗研究の話は?
最終章で、50年後に飛ぶ。
そうか・・・。まず、深い喪失から始まった話だったのだ。時が流れ、変化する。え?本土と橋でつながった?長島か?などとモデル地探しをしてしまうのが地元の人間というものだな。まあ長島ぐらい近距離の甑島、のような島。その、失われた景色への思いが、変容していく、それを、読み手の中で受け止められるかどうかで、読後感が違うだろう。
さて、もう一度読み返そう。
2014年6月13日(金曜日)
著者 ミネット・ウォルターズ
創元推理文庫
M・ウォルターズを読むこと4作目。「遮断地区」「鉄の枷」については感想を書いたが、次に読んだ「破壊者」は、感想省略。つまり、その力においてやや劣る。で、この「蛇の形」。これぞ、M・ウォルターズ、読みづらい。
ある夜、隣人が道端で死にかけているのを目撃するミセス・ラニラ。亡くなったのは、しばしば奇矯な振る舞いをする黒人の女アニー。
覚えがある。初めのほうを読んで、放棄したようだ。いつ頃のことかも忘れた。
その事件から20年後、その地区に戻ってきて住み始めたミセス・ラニラは、事件について再調査を始める。何ゆえそんなに執拗にあれこれ聞き取りをするのか?20年も前のことを。
いやな人間のオン・パレード。なんだか細かいことが続いて話は進展しない。今回も途中で放棄・・・しないようにいやになったら休み、ウンザリしたら休み、そうするとどの名前がどういう関係の人だったか忘れて、人物紹介のところを何度もめくることになる。アメリカのバイオレンス小説も顔負けな、陰湿な暴力の連鎖。
どうして?が、最後まで読まないと解決しないので、曲りなりに納得するには読み続けることしかない。世の中の人々はそんなに記憶が確かなのか?時間までそんなに覚えているか?とか、つい疑問は湧くけれど。
トラウマとはこういうものだろう、なにがしか回復しようと思えばはこういう手段しかないか。
素敵な男が出てこない。そういう救いの部分が無い、のが今までに読んだM・ウォルターズ作品よりずっと読みにくい原因の一つでもある。最っ低の男たちは、20年の時を越えてなんとか人間の域に入っている。邪悪な女は、そのまま邪悪。
根性があったら、傑作ではありますから、チャレンジしてくださいませ。これでウォルターズを読むのをやめた方、もうちょっと読みやすいものありますよ。
2014年6月6日(金曜日)
著者 ミネット・ウォルターズ
創元推理文庫
資産家の老女が亡くなる。睡眠薬を飲んだ上、浴室で手首を切り、頭に昔の責め具(スコウルズ・ブライドル)をはめられ、そこにはイラクサと野菊が挿してあった。
最近書き変えられた遺言により、遺産は主治医のセアラに残されたことがわかる。セアラは困惑し、老女マチルダの娘と孫は怒る。気位高く嫌われ者だったマチルダは、自殺か?殺されたのか?
イギリスの作品だなあ、と思う。
あーれー、こんな面白いものを敬遠していた!と思いながら読み進んだ。読み進むほどに、マチルダの日記により明かされていく事実。それぞれの人物の造型が、一筋縄ではない。いや、人ってそういうものよね、表層でわかったような気になってしまうことの不遜、でございますよね。
DVなどという言葉が無かった時代にも、おぞましいことが行われており、そのことによって損なわれる人生。そこにあっても芯の輝きを失わなかったことを見抜く画家。この、セアラの夫であるややこしい画家、初めはやなやつの姿で出てくるんだ、ありがちだよねえ、と苦笑するような(一般にはあまりいないかもね、私には心当たりがちらちらあるけど)。それから、なんだかすぐれた洞察力・感性を身に備えている(若くなくカッコ良くも無い)警察官。
決して最後のページだけは先に読まないでください。
積んどいたM・ウォルターズを読むこと2作目、友人のものをいつから借りてるんだか、2002年刊。老人介護していたときには読めない(時間的心理的に)本だった。
2014年5月29日(木曜日)
著者 光原百合
双葉文庫
最初の『十八の夏』が桜、次の『ささやかな奇跡』は金木犀、それから、ヘリオトロープ、夾竹桃、と、花がモチーフになっている短編集。ジャンル分けするとミステリーということになるらしい。
夜、布団に入ってから眠たくなるまで読むのが子どものころからの習慣なので、二つの短編を読み、ああ、こんな気持ちいいミステリー作品があったんだなあ、と思って心地よく眠りについた。
たっぷり水を含ませた筆を走らせたような、淡い色の空。川面におずおずと戯れる日の光。向かい側の土手には五分咲きの桜並木、
と始まる『十八の夏』。浪人生の信也が、桜並木の反対側の土手でスケッチする女性の手から離れた画用紙を追いかけて拾う、ところから、その女性蘇芳紅美子と知り合うのだが。
作家は詩集や絵本、童話も書いている人だそうだ。
ひとひねりふたひねり、捻りの効いた展開。切なくも羨ましいぞ、と、青春の、ある時間。
で、次の晩に、残りの2編『兄貴の純情』『イノセント・デイズ』を読んだのだ。最後の作品が、サスペンスな痛ましい作品で(終わり方は救いのあるものとは言え)、変な夢を見て、変な時間に目覚めてしまった。
2014年5月21日(水曜日)
著者 ジョー・ウォルトン
創元SF文庫。
双子の妹を失い、“魔女”である母から逃れて、父のもとに引き取られるが、伯母たちにより、寄宿女学校に入れられるモリ。顔も知らない父親だったが、SFファンという共通の趣味を持っていた。
モリにはフェアリーが見える。フェアリーは、人の姿をしているとは限らない。植物のようだったり、奇怪だったり、様々な姿をしている。ヒトの言葉を流暢に話すとも限らない。
のだけれど、解説にもあるが、これがファンタジーなのかSFなのか、実は母親の虐待から逃れて生きるための方法として魔法やフェアリーという姿を借りた物語なのか?好きな読み方をしてかまわない、だろう。
私は学校の図書室にかなり入り浸っていた方だと思う。が、このモリの(必ずしもSFばかりではない)読書量にはそりゃかなわない。トールキンやル・グィン初め、カート・ヴォネガット・ジュニア、ハインライン、アン・マキャフリーとかはともかく、T・S・エリオット、プラトン!はあ、プラトンの『饗宴』とル・グィンの『ゲド戦記』だけでも読もうと思ったわたくしです。
ちょっと 普通の人々 から浮いている感 を持ちながら生活していた高校生だった あなた なら、わかる気がするかもしれない。どうして同じ言葉で話せないんだろう?どうして、あっちに投げた言葉をそっちから返してくるんだろう?と、よく、思っていたあなたなら。
下巻に至って、なんだか笑えた。悩める若者を主人公にした中高生向きの本…ドラッグ、理解のない両親、セックスしか求めないボーイフレンド、アイルランドでのつらい生活――こういう本がわたしは一番嫌いだ。
というあたりとか。そしてどの主人公も、最後には必ず問題を克服し、世の中の仕組みをより深く理解したうえで、大人への階段を上っていく。 とか。わはは。
ロシア人を皆殺しにするための核兵器を造るお金があるなら、全国の図書館に回せばいいのである。図書館を充実させることに比べたら、イギリス独自の核抑止力なんてどれほどの価値があろう。とか。わははは。
言葉がちゃんと通じるSF仲間ができる。そして。
着地点が…まあ、そこしかないか。
ジョー・ウォルトンという名前の著者だが、若草物語のジョーのように、女性作家だろう。SF好きのお方、モリの日記の中で綴られる作品の感想に対してどう思うか、一読お勧め。
2014年5月15日(木曜日)
著者 ミネット・ウォルターズ
創元推理文庫
バシンデール団地、通称アシッド・ロウ(LSD街)、低所得者向けの団地に小児性愛者が引っ越してきたと噂が立つ。そのことに対する抗議デモが起こる。一方でその小児性愛者が以前住んでいた地区で10歳の少女の失踪事件が発生、排斥運動は暴動へと勢いづいていく。そんな中、往診に出かけていたソフィーは、その小児性愛者親子に監禁され。
ミネット・ウォルターズは、読了すれば面白いのだが、とにかく読みにくい、分厚い、暗い、ので、なかなか手を付けない・・・はずだがあれ?読み進むほどに映像的なスピーディな、ちょっと『ミレニアム』にも似た雰囲気がしないでもない展開。
小児性愛者、が、一つの軸になっているのだが、実は誰のことか?
背景となる場所、人物がトン、トンと飛んで、あちこちが絡んで展開するので、できれば一気に読みたいところだが、事情により私は間に2冊も別の本をはさんでしまったのだった。そんなことすると人間関係や誰が誰やらわからなくなりますよ、当たり前だけど。
ジミーという、メラニーの恋人で刑務所を出たばかりという黒人青年が登場してからがグッとエンターテインメント性を増して(だからミネット・ウォルターズっぽくなくて)、汚い言葉をはさまないでは喋れないこの男と、アイリーンという体の不自由な老女が、魅力的に描かれる。
いずれ映画化なりドラマ化なりされそうな、作品です。さて、積んどいてある暗い重いミネット・ウォルターズにも、手を伸ばそうかな。
2014年4月21日(月曜日)
著者 スティーグ・ラーソン
ハヤカワ文庫
なんてこったい、結構厚い上下巻、久しぶりに夜更かしして読み続け、朝の目覚めがなんとこんな時間、となってしまいましたよ。どうして今まで目に入らなかったんだろう。
『ドラゴン・タトゥーの女』って、映画になってたよね。デビッド・フィンチャーのハリウッド版の前にスウェーデン版が制作されているそうで、いずれ両方見たいものだ。
さて、ストーリー。雑誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエル・ブルムクヴィストは、実業家の不正を暴く記事を書き、名誉棄損で有罪となる。そこへ、大企業の前会長ヘンリック・ヴァンゲルから、36年前に姿を消した親族の娘ハリエットの調査を依頼される。共に調査にかかることになるのが、天才ハッカーでもあるリスベット、この小柄な娘が背中にドラゴンのタトゥーを背負っているのだ。
スウェーデンでは女性の18パーセントが男に脅迫された経験を持つ。と、プロローグの後、第一章の初めに、一行。こんな言葉が時々はさまれる。
原題は、「女を憎む男達」なのだそうだ。
一族のおぞましい事件があらわになっていくのだが、読んでね!
ミカエルには共同経営者のエリカという恋人がいるが、エリカには芸術家の夫がいて、夫もエリカとミカエルの関係を知っている。どうやらミカエルの離婚の原因はエリカのようだ。で、展開の中でミカエルはリスベットとも寝るし、中年であるミカエルよりだいぶ年上の女性ともそういうことになる。なんだこの性的自由さは、と思ったが、そこはスウェーデンなのだった。まあ、そう普通では無いにしろ、それぞれに誠実に対応していて、突拍子もない事態ではなさそうだ・・・たぶん。
エリカの愛称がリッキ―だったり、マヤと愛称で呼ばれる女性がいたり、ごく個人的理由によりそんなことが楽しい私。
ジャーナリストであったラ―ソンが、パートナーの女性エヴァ・ガビエルソンと共同執筆した処女小説、そして絶筆。この小説の大成功を知ること無く50歳で急死したそうだ。だから、実は5部作の予定だったものが3部作で終わってしまったのだそうだ。そして、共作のエヴァは、婚姻関係を結んでいなかったがために、4部途中まで構想があるものを作品化できないのだそうだ。なんともったいないこと。そしてなぜ結婚しなかったかというと、ジャーナリストとして反人種差別、反極右の活動をしていたので、彼女に危害が及ぶことを恐れてのこととか。
スウェーデンというと福祉国家で大変暮らしやすい国だという認識があるが、どんな国にも闇はあるのだ。スイスという永世中立の国の闇の部分についても最近目にしたばかりだ。
ともあれ、第二部を早く読みたい。近所には売ってないよなあ。
追記
23日26時、もしくは24日2:00 a.m.二部 火と戯れる女、三部 眠れる女と狂卓の騎士 読了!お・も・し・ろ・い!
2014年4月18日(金曜日)
監督 陳凱歌
出演 張國榮 張豊毅 鞏 俐
言わずと知れた(アジア映画ファンには)、1993年中国香港合作の名画。“午前十時の映画祭”枠で再上映。
かつて映画館で見て、その後TVやビデオで数回見ているが、陳凱歌の最高傑作、ベストの配役、すばらしい。
娼妓であった母に、京劇の養成所に放り出されるように預けられる小豆。私の記憶の中に、手指が一本多くてその母親から切断されるシーンは無かった。今なら虐待とされるような過酷な訓練の繰り返し。その中でリーダー格の少年・石頭がなにかと面倒を見てくれる。それでももう一人の少年と脱走を試みるが、外で名役者の演技を見て、また戻る。戻った二人の目に映ったのは、二人を逃がしたと激しい体罰を受けている石頭たちの姿だった。一人の脱走少年は、それを見て首つり自殺してしまう。
小豆は、“女として生まれ”というセリフを、何度も“男として生まれ”と言い間違える。
美しい女形に成長した小豆の虞美人、石頭の項羽で、名作『覇王別姫』が上演される。その姿を見た顧客の爺に望まれ、凌辱される。その帰り、捨て子を拾う。
小豆は程蝶衣と、石頭は段小樓と名乗るようになり、スターになっている。
程蝶衣は、小豆が自分を恋慕していることを知っているが、遊女・菊仙のもとに通い、結婚する。
したたかな女・菊仙を演じるコン・リーが、この女を生きている。レスリー・チャンは、この役のために生まれたように見える。京劇の扮装で着飾っている時よりも、素の蝶衣の時の美しさ。その、まなざし。
やがて、国民党の時代~日本軍の台頭~日本の敗戦~共産党の時代~文化大革命と時代の大きな動きに翻弄され、その迫害から愚かしい姿をさらすことになる人間たち。
監督は、政治的に誰に加担することも無く時代を描いている。だから今に至るまで大陸では正式に公開されていないはずだ。
張豊毅でなくても、この小樓の役をやれる役者はいるかもしれない。が、レスリーがいて、コン・リーがいてこそこの作品は傑作となり得たのだと思う。レスリー以外に“イヤー・オブ・ドラゴン”のジョン・ローンにもオファーがあったという話を何かで読んだ。京劇の訓練をした経験のあるジョン・ローンだったら?と思わないではないが。
『七小福』というジャッキー・チェンやサモ・ハン、ユン・ピョウなどが中国戯劇学院に京劇の子役として所属していた時代を描いた香港映画でも、すごい訓練ぶりだった。
香港のアイドル歌手扱いであっただろうレスリーが、どんな努力をして京劇役者を演じたことか。失意の中、アヘンに溺れる姿の長髪、あれが後にコンサートで長髪の鬘、ハイヒールで歌うきっかけだったに違いない。
そして、4月1日は、レスリーが自ら命を絶った命日。この映画のラストが・・・。
2014年4月8日(火曜日)
http://coldwar-movie.com/
監督 リョン・ロクマン サニー・ルク
出演 アーロン・クォック レオン・カーファイ チャーリー・ヤン エディ・ポン
香港の繁華街で爆発事件が起こる。直後に5人の警察官が乗った車両が消えた。その中に行動班副長官リー(梁 家輝)の息子もいる事がわかる。寒戦コールド・ウォーと名付けた救出作戦が始まる。
彼のやり方が公私混同だと、保安管理班副長官ラウ(郭富城)はリーの捜査手法を批判、対立する。犯人から身代金要求があり、ラウが取引の現場に出向くが、犯人からの指示で混乱を極め、部下を一人死なせてしまう。
そして、密告により汚職捜査部門が介入してくる。
久しぶりに広東語映画を見た。みんな年食ったなあ・・・、90年代香港四大天王の一番若手アーロン郭富城がこんなちょっと脇に白髪をのぞかせる役だあ、あ、チャーリー・ヤン楊 采妮だ、大人の女性だ(当たり前、かつてよく共演した金城武だけに年月が過ぎるわけが無い)などと思ってしまうせいもあり、なかなかストーリーや関係性が頭に入らなくて、前半わかりにくい。アンディ・ラウ劉徳華が保安局長役でゲスト出演、『欲望の翼』では若い警官だった、『インファナルアフェア』では、など頭が寄り道する。ちょっと火薬使い過ぎだってば!派手に。
後半に至り、おお、そういう展開!おお!
リーの息子役、台湾の若手俳優エディ・ポン彭于晏が良い!事を知った。ドラマでは見かけていたけれど、格別興味無かった。失礼しました。で、続編あるよ、という終わり方。結果として、面白かった。インファナルアフェアほどではないけどね。あ、この人誰?と思った汚職捜査のイケメンくん、ブルース・リーの役をやったというア―リフ・リー李治廷だった。
面白いのに、アジアの映画はなかなか、と、ガーデンズシネマのKさんが。数人の観客で見ました。
2014年4月7日(月曜日)
著者 ジェフリー・ディーヴァー
文春文庫
残忍な手口の連続殺人事件、現場にはアンティークの時計が残されている。
リンカーン・ライム ニューヨーク市警科学捜査顧問と、アメリア・サックス ニューヨーク市警刑事の二人を中心に、捜査が進む。
『魔術師(イリュージョニスト)』を、読んだのだから、このコンビを私は知っているはずだが、捜査中の事故で脊髄損傷、四肢麻痺の捜査顧問という造型を覚えていないなんてああこの記憶障害ぶり。いわゆる安楽椅子探偵ライムは、ヴィクトリア様式のタウンハウスの居間を科学捜査研究室の改造し、そこから指揮を執っている。毒舌家のライム、その恋人でもある赤毛のサックス。
残忍な手口と思われたものが、実はそう見せかけただけのもので、犯人は大きな犯罪を犯したわけでは無かった・・・か?いやいや、どんでん返しの連続。
本作で初めて出てきたという尋問のエキスパート キャサリン・ダンスが魅力的。人の動作から心理を知るキネクシスの専門家。下手すると転ぶぞ、なんてちらっと思いながら読み進めたけどね。
ライムシリーズ第一作の映画『ボーン・コレクター』を見ましたか?私は見ていないので、キャスティングは?と調べたら、デンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリー!そうですか、なんと思いがけない。これは見ましょう。読むのが先かな。
で、その、犯人が。なんでそんなふうに終わっちゃうかなあ。次に引っ張るということ?
文庫版後書きを故・児玉清が書いている。今更ながら、すごい読み手だなあ。
上巻表紙にウォッチ、だから下巻にはメイカーとなっていますよ。