蛇の形

蛇の形著者 ミネット・ウォルターズ

創元推理文庫

M・ウォルターズを読むこと4作目。「遮断地区」「鉄の枷」については感想を書いたが、次に読んだ「破壊者」は、感想省略。つまり、その力においてやや劣る。で、この「蛇の形」。これぞ、M・ウォルターズ、読みづらい。

ある夜、隣人が道端で死にかけているのを目撃するミセス・ラニラ。亡くなったのは、しばしば奇矯な振る舞いをする黒人の女アニー。

覚えがある。初めのほうを読んで、放棄したようだ。いつ頃のことかも忘れた。

その事件から20年後、その地区に戻ってきて住み始めたミセス・ラニラは、事件について再調査を始める。何ゆえそんなに執拗にあれこれ聞き取りをするのか?20年も前のことを。

いやな人間のオン・パレード。なんだか細かいことが続いて話は進展しない。今回も途中で放棄・・・しないようにいやになったら休み、ウンザリしたら休み、そうするとどの名前がどういう関係の人だったか忘れて、人物紹介のところを何度もめくることになる。アメリカのバイオレンス小説も顔負けな、陰湿な暴力の連鎖。

どうして?が、最後まで読まないと解決しないので、曲りなりに納得するには読み続けることしかない。世の中の人々はそんなに記憶が確かなのか?時間までそんなに覚えているか?とか、つい疑問は湧くけれど。

トラウマとはこういうものだろう、なにがしか回復しようと思えばはこういう手段しかないか。

素敵な男が出てこない。そういう救いの部分が無い、のが今までに読んだM・ウォルターズ作品よりずっと読みにくい原因の一つでもある。最っ低の男たちは、20年の時を越えてなんとか人間の域に入っている。邪悪な女は、そのまま邪悪。

根性があったら、傑作ではありますから、チャレンジしてくださいませ。これでウォルターズを読むのをやめた方、もうちょっと読みやすいものありますよ。

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