星間商事株式会社社史編纂室

著者 三浦しおん
ちくま文庫

たまたま片付け中に出てきたので再読。
これ、今、この2018年、Me Too とか、セクハラ・パワハラにかかわる事件が公になることが多かったこの年に読むと、うむぅ…と、思われる話。

とても読みやすいですよ。ま、主人公の幸代が会社勤めの傍らBL物の同人誌をやっている腐女子だ、ということが普通に受け入れられさえすれば。
社史編纂室というところが彼女のいる部署。あってもなくても格別問題は無いらしい部門で、なんだか進みの悪い編纂中。特に、高度成長期イケイケドンドンであった時代のことを聞くと、誰もまともに答えてくれない。

なぜか?

ちょっとしたミステリー仕立、小説のストーリーの中に挟み込まれる幸代が同人誌に書いている、おっさんが同僚の青年から迫られるゲイ小説・10年近く前だからセクハラなお言葉満載な男でも受け流されてきたのかな、とは思うが実は結構誠実かもね、という同僚・に、恋している色っぽい若い女性社員・幸代の同人誌を目にして、君、腐女子なんだね、と言う退職前の本間課長64歳・まことにエンターテインメント性を詰め込んだ作り。

かつてサリメリという国との取引があり。そのために大統領に献上された女性がいたのでした。

ということが分かってくると、色っぽい同僚みっこちゃんが、自分も仕事のつもりでで会った相手に襲われそうになった、と言う。上司は彼女をそういう目的で行かせたのだと。

なんか、昔の芸能界でそんなような噂があったなあ。賞獲りレースの時とかさ。だから、今の時代になっても、実際にレイプされた被害者に対して、女の方からトラップを仕掛けた風に言うやつがいる。同じ女性の中にもいるのが日本という国。

社史に会社の闇を掲載するわけはないので、そこで本間課長が・・・で。

三浦しおん、この人編集者になりたくて試験を受けた時の作文を読んだ人から勧められて小説家になったのだとか。ほおお。で、辞書編纂とか社史編纂とかのお話が。いや、それよりちょっと普通社会に適応しないしないかもしれない系の人がよく出てくるよね、この人のものには。この場合は陰でBL書いて普通に社会に適応している主人公だけど、こんな趣味を持ってます、とは言えないやね。

いろんな種類のハラスメントが表面に現れてニュースになっている今だから、ちょっと読んでみませんか?

 

 

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