漢詩の手帳 いつかたこぶねになる日
著者 小津夜景
出版社 素粒社
先にatconさんのブログ Scrapbook で紹介されているので、タコブネがいかような姿のものか、などそちらへどうぞ。
そのatconさんに、私好みでありそうと薦められて。帯を、池澤夏樹が書いている、“この人、何者?”という書き出しで。まことに同意。俳人であり、漢詩について書いている、ということで、読み始めてしばらくは、男性だと思っていた私。ジェンダーバイアスってものですわ。
中国語学習者であるので(中級の入り口で止まったまま長年過ぎましたが)、紹介されている詩を、中国語読みして押韻を確かめたり、日本語の普通の読み下し文にしてみたり、そんなこんなで数か月。こんなに柔らかい日本語訳になるのは、著者がフランス住まいであることと関係があるのか?ほかの国に住んだことが無いから、漢詩の英訳や仏訳にお目にかかる機会はとんと無かった凡なる読み手の私。蘇軾の有名な詩『春夜』の 春宵一刻値千金 が、はるのよの ひとときは かけねなき ゆめごこち と訳される。そしてそこから、古田織部のお茶会で客が「春宵一服値千金」と感想を述べた、また、山東京伝の弟・三頭京山による“春宵一刻煙草二抄”という滑稽本、から、著者の母上が「春宵一服タバコにしよう」と口にしていた、と。さらにおさないころの著者はそれを開高健のコピーだと思っていたとは。おさないころ っていくつの頃?
たいそう教養あるヒッピーみたいなご両親の元に育った?小津夜景さん、と、勝手な想像。
小津夜景日記 というブログを今開いて、2023年3月13日付の文章を読んでみた。フォークとナイフ、そしてハサミ というタイトルのその文章がああうるわし。本で読むと、たぶん時間がかかるはず、まずこのブログからいかがでしょう。
サボる はもはや外国語由来と知らない人がいそう。沖縄はもともとは母音が3個、って…