来し方行く末

監督・脚本 劉伽茵

出演 胡歌 呉磊 斎溪 娜仁花 甘昀宸

胡歌、呉磊と言えば、かの名作ドラマ『琅琊榜』のコンビなのだから、そりゃ期待する。が、この映画では、脚本家の夢破れて弔辞ライター(葬式ではなくて、追悼の会での、監督が創った職業であるらしい)をしている男であり、少し猫背で全くスターオーラの無い姿の胡歌、同居している弟?、と思っていた良くわからない若い男・呉磊、という姿で進む。

ずいぶんしっかりと調査した上で書かれる弔辞は、評判が良い。一緒に起業した会社のCEOが急死し、戸惑っている同僚、余命宣告を受け依頼してきたけれど、しばらく命がつながっている、ユーチューバー高齢女性、あるいは突然女性が押しかけてきて、彼が書いた弔辞に文句を言い立てる、彼女は亡くなった男とネット上の友人だった、など、さまざまな顧客やその友人がいて、さまざまな人生を垣間見る。

長く故郷に帰っていない。電話で話すだけの両親は、彼がまだ脚本を書いていると思っている。その誤解を訂正することは無い彼。

ホワイトボードに横一本の線を引き、亡くなった人の人生のポイントを描いて行く、それは脚本家としての習性なのか。

何ほどの変化、事件があるでなく、淡々と進んでいく。

後半に至り、あるきっかけでホワイトボードがひっくり返され、裏面が現れるとそこには…。

上海国際映画祭で賞を獲ったというこの作品だが、なんだこれ?という人がいるだろう。私は次第に好きだと思ってきて、最後に流れる歌声、この歌良いなあ、と浸っていたのだが、胡歌自身の歌声なのだった。

で、黄磊という俳優が出ているはずなのだが、あの辺に出てきた彼かなあ?わからなかったのだ、残念、でもあるし、なぜ私はこの映画を佳作と思うのだろう、とも思っているし、もう一度観に行きたいと、希望しています。呉磊はかつて胡歌の子供時代を演じたことがあるらしい。2度目『琅琊榜』で今回3度目の共演だそう。原題『不虚此行』は、無駄足を踏まなかった、行った甲斐があった、という意味。

 

 

 

 

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