禁忌の子
著者 山口美桜
出版社 東京創元社
救急医、武田の見た溺死体「キュウキュウ十二」は、自分の顔そっくりだった。クローンのように。
同じ大病院に勤務していると知った、中学の同級生だった城崎と共に、その身元不明、瓜二つ,である死体の身元を調べ始める。
生殖医療の初期(と言っていいかな)、思い起こすと、匿名で精子を提供する話、よく目にしていた。今は?生殖医療の結果、日本ではまだ出自を知る権利を認められてはいないけれど、生まれた子どもが親を知る権利の問題から、ドナーが少なくなっているらしい。精子のみならず、卵子提供も当然あるわけだが。
医師である作家の、第一作(!)。ぐいぐい引き込まれる。途中までは一気に読む。美形で特殊な推定能力のようなものを持つ城崎がホームズ、事件の当事者ながら武田ワトソン的な役割でもあり、シリーズ化されるかも、と思わせる。
のだが、ねえ、この結果って・・・どうなの?これしかないかもしれないけど。実際、これに似たケースは実在するらしいことが途中に出てくる。
第34回鮎川哲也賞受賞作。今気づいた、最後のページに、城崎と、武田ではない研修医とのコンビの第2弾が刊行予定だって。
調べたことがすべて記憶に残るものなら…。今朝の新聞で、高校入試に、まさに茨木のり…