私の少女時代

http://maru-movie.com/ourtimes/intro.html
監督 フランキー・チェン陳玉珊
出演 ビビアン・ソン宋芸樺 ダレン・ワン王大陸 ディノ・リー李玉璽

なんだか不器用であるらしく仕事を押し付けられてバタバタしているOLの林真心、昔大ファンだったアンディ・ラウの歌が流れてきて、90年代の高校時代を思い出す。
その頃、好きだった優等生の男の子には美人のガールフレンドがいて、離れて彼の姿を見ているばかり。そこへ不幸の手紙が届いて、誰かに出さないと不幸が訪れる、ってどこでもあったのね、不良の暴れん坊の男の子にも出してしまう。

で、そこからいろいろあって急に女の子がきれいになるとかさ、優等生と不良の間で、とかさ、でもその子が不良になるについては実は…とかさ、好きな男の子の恋を応援したり、とか、ありがち満載なんだけど、そりゃあかっわいい!青春映画。台湾の青春映画は、『あの頃、君を追いかけた』『GF・BF』などほんとにハズレがない。90年代半ばの話だから、台湾の女の子が日本のNon・noを読み、酒井法子や内田有紀の話をしている。

アンディ・ラウ劉徳華がプロデュースしたこの映画、回想シーンが終わって今の生活に戻り、アンディのコンサートのチケットを取ろうとしたら瞬殺売り切れ、そして・・・ゲスト出演のアンディさん、そして、クレジットにジェリー・イェン言承旭の名前があったけどどんな形で?と思ったらああそうなるんですか、そうですか、そりゃびっくり。

不良役の王大陸がとてもいい。そのまま良い俳優になっていい作品を見せて下さい。

あ、好意を寄せる相手に自分のプロフィールを渡す、ってよくあること?渡そうとするその中の、好きな人(当然渡したい相手の子の名が書いてある)という意味の中国語だったら喜歓的人、と書くところを、喜歓の人、と書いてある。ひらがなの“の”は、台湾では結構よく見かけるものなんだって。ちょっとおしゃれになる感じなのかな?

チューリップの誕生日

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ピュアフル文庫

作家の名前もこんな小説もこんな文庫も知らなかった。友人から回ってきたヤングアダルト。

時は1990年バンドブームの頃、ライブハウス「キューリとミカン」に13歳から出入りしていたユーリに、オーナーの三原さんは、バンドをやってみろ、ユーリにはベースが向いてるな、と言う。中三の夏の終わり。
一人ベースの練習を始めて半年、チェルシーというガールズバンドがベースを募集しているから行けと、また三原さんに言われ、高校生にしてベーシスト生活を送ることとなる。

その文章のあちこちに、とても新鮮な表現がある。例えば、軽く小さなふわふわとした洋菓子のような彼の声は、私の耳元までやっと届いたと思うと、力尽きてぽとりと肩の上に落ちた。とか。学生時代にミスのタイトルを二度手にしているという美貌の母親を形容するのに、重箱に入った正月料理のように由緒正しい顔だち とか。「よく覚えとくんだよ。どんな男でも、好きな男は好きな男だよ」と言う、実はみんな高学歴のバンド仲間、エミさんの言葉とか。どうしようもない、という言葉が、波に打ち上げられた海草のようにあたしの頭に放り投げられた。あたしはその海草を拾い上げた。とか。

煙草もお酒も恋人も手にしている、でも高校生でもある。危ういけれどピーンと張った糸のような何かが身内にあると見えるユーリ、そして、周りにいる正しくないけれども汚くならない大人たち。

もしもこれを読んでいいなと思ったら、続編「夜が闇の内に」もどうぞ。ある種のおとぎ話ではあるだろうけれど。そして、そのあと3冊目を読んだら?な感じだったのだけど。私はユーリの2冊はとても好きでした。

あなた、その川を渡らないで

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監督 チン・モヨン

韓国の田舎の村、98歳のおじいさんと89歳のおばあさん、結婚76年目の夫婦。おそろいの韓服を着て、二人で枯葉を掃き集めると、おじいさんがせっかく集めた枯れ葉をおばあさんに向かって投げる、おばあさんも投げ返す。雪が降れば雪玉を投げ、投げ返し、水辺で洗い物をするとまたもおじいさんがおばあさんに水かけ、お返し。なんともチャーミングな、理想の老夫婦の姿。

おそろいの韓服姿なのは、ドキュメンタリーカメラを意識しているのか?と思ったら、普段からおそろいの民族衣装で出かけている姿が、新聞記者の目に留まり、新聞記事になった、そこからネットで広まった、そしてTVでも取り上げられ…という経過で監督が知ったことから、15か月にわたる撮影が始まったという。

おばあさんは14歳で結婚したけれど、幼すぎるのでおじいさんが待ってくれて、17歳になったおばあさんのほうから抱き着いていった、のだって。そういう頃からだからか、いつも手をつないで歩く。

ある日、子どものパジャマを買いに行く二人。ひ孫のためかな?と思ったら、12人子供ができたうち、6人が幼いうちに亡くなった、パジャマを買ってやることもできなかった、今なら買えるから、先にあの世に行った方がその子供たちに渡すために買ったのだった。

段々とおじいさんの咳がひどくなっていく。弱っていく。おばあさんが、きれいな韓服を火にくべる。おじいさんがあっちの世界に行ったあとの服を、そうやってあの世のほうに届けているのだ。

世のすべてのご夫婦に、これを観てほしい。若い独身の人たちにも見てほしい。こんな世界、こんな老い方が、現実にあったんだ。

傷だらけのカミーユ

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文春文庫

「その女アレックス」「悲しみのイレーヌ」に続く身長145cmのカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第三作。時系列に従えば「悲しみのイレーヌ」が第一作だが。
妻イレーヌを失ったカミーユに、恋人ができていた。その女性アンヌが、カミーユへのプレゼントを買いに出かけた先で強盗に襲われ、重傷を負う。
その襲撃事件からたった3日間の、物語。

おそらくこれを手に取る人は、すでにカミーユを知っているだろう。このシリーズの面白さをすでに知っているはずだ。裏切らない。
もしも知らないなら、「悲しみのイレーヌ」から読んでください。でないとカミーユの感情がわからないから。

長編はこれで終わりだって。おそらく警察を辞める気配だし。惜しいことだがまあいい、中編が残っている。

…例えば資産家の御曹司刑事ルイを主人公にしたサイドストーリーとか、だめですか?

シアター・プノンペン

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監督 ソト・クォーリーカー
出演 マー・リネット ディ・サヴェット ソク・ソトゥン

女性監督によるカンボジア映画。
日本の昭和20年代後半~30年代初めあたりの映画にある街の雰囲気。いかにもチンピラな若い男(ピストルを持っている)、夜遊びする女子大生。横暴な父親、病んでいる母親。

ある日、駐輪場として使われている古ぼけた映画館に入りこむ。スクリーンに写る自分によく似た美しい女優は、若いころの母親だった。

映写していた男と知り合い、その男を監督と思う娘。結末の部分が無くなって観られないというその映画を、自分が主役を演じてその部分を完成させたいと願う。

それはポル・ポト率いるクメール・ルージュによってカンボジアが支配される前年に作られた映画だった。そして、1975年から4年間の、映画人、文化人、知識人の粛清を始め、一般人を巻き込んだ暗黒の圧制時代があった。

映画の出来としては、粗い感じがあるのだが。

不覚にも、ラスト近くでうるうる。
踏みつけられた側はもちろん、踏みつけた側にも深く傷を残していることがある。

仇やおろそかにカンボジアに観光旅行になんて行けません、と思った映画。母親役の女優は、現実に1960年代からの女優で、’75年にフランスに亡命、93年に帰国したのだそうだ。

すれ違いのダイアリーズ

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監督 ニティワット・タラートン
出演 ビー(スクリット・ウィセートケーオ)  プローイ(チャーマーン・ブンヤサック)

タイには水上の小学校があるらしい。それも山奥に。小さな船で行って、子どもはその浮かぶ学校に寝泊まりして週末に自宅に帰る。

レスリングをやっていた青年ソーンが、何とか採用され、配属されたのは山奥の湖に浮かぶ小学校。携帯電話もつながらないところで、数人の児童を相手に教えるのだが、初めてのことでもありうまくいかない。そんな中、前任の女性教師の日記をみつけ。
読み進むうちに、共感したり、教師としてのヒントを得たりしながら、次第にそれを書いた女性に恋していく。

環境の違いはあれ、どこでも同じような悩みがあるものだろう。
前任の女性教師は、腕の小さなタトゥーを消すように校長から言われたのだが、拒否したために、山奥に追いやられたのだった。恋人とは週末しか会えなくなる。週末会えるじゃん、とおばさんは思うよ。まあなんといっても携帯も通じないのだから週五日声も聞けないってか。頑張ってしごとしてりゃ週末なんかすぐ来るよ。と、いうことが若い男には通じなかったりするんだね。で、まあうっかりしたことがね。

で、現在の先生であるソーンはというと、元々ちょっと情けない奴だったらしく、離れたとたんに恋人には新しい男ができていた。
落ち込みながらも日記に助けられつつ教師らしくなっていくソーン。
汽車を見たことがない子どもたちに、船で水上学校を引っ張って動かして見せるソーン。

あれやこれやで、さてどうなったかというと。

ほっこりする、良い作品なので、DVDとか何かの手段で家でご覧ください。今日が最終日だったのでね。

『琅琊榜(ろうや ぼう)―麒麟の才子、風雲起こす―』

%e3%82%8d%e3%81%86%e3%82%84%e3%81%bc%e3%81%86BSジャパン 中国ドラマ 2016.9.1より AM11:00~12:00
出演 胡歌(フーゴー) 王凱(ワンカイ) 劉 涛(リウタオ) 呉磊(ウーレイ)

映画でも小説でも無く、ドラマです。はまっています。
中国南北朝時代を舞台にした架空の物語。権力闘争の中で一命をとりとめたものの、健康を損ね、人相まで変わってしまった(なぜか前より美しくなってるけど)男、梅長蘇、本名の林殊を隠して江左盟宗主となっている。

琅琊というのは古代中国山東省にあった地名であるらしい。榜の字は人名一覧表の意味がある。で、情報組織である琅琊閣から、麒麟の才子を得た者が天下を得る という情報が、二つの組織にもたらされる。麒麟は動物園にいるキリンじゃないよ、聖人が世に出る時に予兆として現れるという伝説の生き物、麒麟麦酒のマークをご覧あれ。
で、琅琊榜のランク付け才子№1が、梅長蘇であると。

まあその程度の基礎知識と、基本、復讐劇であることを認識して、あとは胡歌の憂いを帯びた美しい顔、飛流役の呉磊クンの空中飛びまくるアクションを楽しみましょう!
宮廷の権力闘争は、誰が誰の側にいて何がどうなっているのか、すぐにはわかりません。第一回目に出てくるワイルド系いい男は誰だったんだ?

胡歌は、10年前に交通事故で重傷を負い、肩や顔を百針以上縫い、手術を繰り返したそうです。そのため、瞼に今も傷があります。現代中華圏芸能界トップの美男子と噂に聞く彼を、私はこのドラマで初めて見ました。
かつての婚約者との恋も描かれますが、その武芸に長けた女性、霓鳳が、初代ウルトラマンの娘の吉本多香美さんそっくりに見える・・・。

眼福眼福な作品ですが、もちろんストーリーも大変面白く、中国・台湾でも視聴率高かったらしいよ。

真鶴

%e7%9c%9f%e9%b6%b4著者 川上弘美
文春文庫

歩いていると、ついてくるものがあった。

と始まる。
夫が、12年前に失踪した。三歳の娘を残して。女は文筆業で生活しており、今は編集者である既婚の男と恋愛関係にある。

女は、夫の日記に書かれていた真鶴に出かけていく。ついてくるもの は、女の幻覚であるらしいと、読み進むうちにわかってくる。女は、統合失調症のほうへ一歩踏み出している。ついてくる女と、会話する。幻視、幻聴。

たまたま、『死の棘』の島尾敏夫の日記が、遺族からかごしま近代文学館に寄贈された、というニュースを目にしたところであった。奥さんの島尾ミホさんが、そのために精神のバランスを崩すに至った、当時の島尾の愛人の名前が出てくるという。不都合な部分をロシア語で書いてあるという。
島尾一家の近くに住んでいたという人と、昔、話をした。後に自分でも『海辺の生と死』という優れた文章を書いたミホさんは、近くに住んでいる人から見るとやはり壊れていたということだった。
と、いうようなことを思い出しつつ、読んでいく。

恋人は、女が夫の影と今も共にあることに嫉妬の気持ちを見せる。

文筆業と言っても小説は書いていなかった女に、恋人が、小説を書くことを勧める。
夫の親が、失踪宣告申し立てをする。

そんな流れのどこかで、女は恋人と別れ、正気のところに踏みとどまる。

長い詩のようにも感じられる。書くように生まれついたひとというのは、こういうものなのだろうと、思うものがある。
三浦雅士が、解説を書いている。優れた文芸評論。私の記憶にはかつてのユリイカの編集長として染み込んでいる名前だ。

 

 

ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!

ふんばれがんばれギランバレー著者 たむらあやこ
出版社 講談社 モーニングコミックス

しばらく前、たまたまNHKの“ラジオ深夜便”を聞いていたとき、ゲストとして紹介されていたのがこの著者たむらあやこさんだった。

ある日突然、難病ギラン・バレー症候群を発症。
 身体の自由と普通の日々を奪われてしまった
  22歳の新米看護婦が
当時を振り返って綴る
 超ポジティブ闘病エッセイ!!

と、裏表紙に書いてある。まあその通りである。
かつて大原麗子さんがその病気になったことで知られたギラン・バレー症候群だが、この人の場合、その症状レベルがひどすぎる。私が少しばかり知るところでは筋力が無くなる、というものだったが、その痛みの表現たるや!

少し回復したとき、元々好きだった絵を描きたいと思った、というところから、同じ病院の入院患者さんに馬の絵を描いて上げたら、かつて騎手だったその人が初めて、『うま』と言い、感情を見せ、自力で歩いてきて、ありがとうと言った、という。その時はまだ指で描くものだったようだ。

ラジオで聞いた時の方が、マンガを書き始めたときの苦労について詳しく語っていた。枠線を引こうとする。定規を持ち、ペンを持ち、意識がペン先に向くと、左手の定規を放してしまう、それほどに感覚が無いから。今はマグネット付きの定規で固定して描いているそうだ。でね、発症から絵を描くまでに4年、それから漫画を描くまでにまた6年かかった、って。

WEBサイトで読めますよ、試しに検索して見ませんか?

ドンド・ストップ・ザ・ダンス

ドントストップザダンス著者 柴田よしき
講談社文庫

私設保育園にこにこ園園長兼私立探偵、花咲慎一郎シリーズ第5弾。

キリンという動物は高血圧なんだそうである。
という一行から始まる。ほんとの話か?と思ってちょっとググるとすぐ出てくる。あの長い首に起因するそうだ。心臓から脳までの高低差の問題。

で、保育園の室内滑り台に張り付けてあったキリンの絵の、首を壊して、こうけつあつ と書いた5歳の園児浩太郎。その父親俊太郎は、かつて人気のあった推理作家だったが、今ではアルバイトで生活費を稼いでいる。母親は別居中。

で、事件が起こる。俊太郎が金属バットで殴られて意識不明になった。

メインの事件はそれであり、当然最後にその犯人がわかる、のだが。

話が、というか花咲探偵個人にかかわる人間関係と、事件の背景にある昔の児童養護施設での事件、その関係者、とつながってややこしく、オリンピックの期間に少しずつ読み進んでいたら、えーと何がどうだったんだっけ?な私であった。花ちゃん物のファンだから、いつものわき役にかかわる部分、保育の話、細部がそれぞれ楽しいのだけれど。オリンピックが終わってもう一度ざっと読み返し、話がつながった始末である。まあなんというか、犯人探しとしてはいささか引っかけが多いでしょうよ。

「日本人の顔ってのは、アジアで最もバラエティに富んでいて、これが日本人だ、っていう典型的な顔が無いんだそうだ。つまり日本人ってのは、アジアやロシアや、太平洋のいろんな人間が集まって来て、それらの地が混ざって出来上がった民族なんだと思う。なのに、日本、っていう絶対的な血がある、と信じ込んでいる人間たちが、どういうわけか為政者の側に多い」

のあたりの会話がいい。

で、我がお気に入りの山内練も、ちょこっと登場。あれ?山内は身長はそれほど高くないんだったっけ?足の長さは花ちゃんと比べ物にならないのは知ってるけど。
シリーズをずっと読んでいる人のほうがもちろんわかりやすい、が、たぶん突然読んだ人でも楽しめると思う。保育とか子供の貧困とかにかかわっている人はそんな方向から楽しめるだろうし。

去年テレビ東京でドラマ化された時には花ちゃんを山口智充がやったのかあ…。城島を加賀丈史ってのもなあ…。

 

 

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