出版社: 幻冬舎 (2006/04)
内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)
1961年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。その40数年後、三人の男が東京にいた。衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
————————————
2、3年前、読んだ本です。
国と外務省に騙されて過酷な地に棄てられてしまった人間たちの復讐物語、ときくと暗く重たい旋律のBGMが流れるストーリーを想像してしまうかもしれませんが、むしろ、陽気でおおらかなラテン音楽が似合う、痛快な作品だったと記憶しています。
タイトルどおりワイルドでソウルフルな物語です。
大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞のトリプル受賞。
ブラジル移民については、苦労の末コーヒーなどの栽培に成功した入植者たちのドラマをTVで観たことがありましたが、アマゾンの地に見棄てられた多くの人々がいたことを、私はどれだけ知っていただろうと考えさせられた作品です。
作家というのは歴史を掘り起こし、読む者に伝えるという使命も担っている、そういう作家もいるのだと思います。
ただ、垣根涼介の他の作品、「君たちに明日はない」や「借金取りの王子」を読んだ時にも感じたことですが、登場する女性のパッションというか、活発な精神というか、とても魅力的なんですが、たぶん私はこういう女性に会ったことがないのだと思います。ちょっと感情移入しにくかった。正直に言ってしまうと、主人公となる男性についても、とても好ましい人物なのに、全く別世界の人のように感じられる。人見知りな私にはちょっと近づきにくいキャラクターでした。
2008年がブラジル移民100年の年であったようで、記念サイトがいくつかありました。
「 ブラジル移民の100年 」は「国立国会図書館」のコンテンツの一つとして公開されているサイトです。
「国立国会図書館」の電子展示会へのリンクがあったのでたどってみると、思いがけず興味を引くコンテンツがいろいろありました。
まず「絵本ギャラリー」を開いてみたのですが、”18世紀から1930年代に至る期間の、日本と欧米の絵本の名作を紹介”しているそうです。
繊細でノスタルジックな美しいイラストレーションの数々。そんな絵本をまるごと電子図書として音声付で読めます。日本語で聞くのもいいですが、英語音声にすると、子供も楽しく英語の勉強ができるのでは。こんな贅沢なサイトがあるなんて、今まで知りませんでした。
他にも、
「博覧会-近代技術の展示場」
「江戸時代の日蘭交流」
「写真の中の明治・大正 -国立国会図書館所蔵写真帳から- 」
「描かれた動物・植物 -江戸時代の博物誌-」
「インキュナブラ -西洋印刷術の黎明-」
etc・・・マニア心をくすぐるコンテンツがいろいろありますよ。
「本の万華鏡」というのも気になるし、今度またゆっくり覗いてみようと思います。