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  • 「ザ・バニシング―消失-」真相を知りたいという好奇心
  • 「ザ・バニシング―消失-」真相を知りたいという好奇心

    1988年製作の映画ですが、日本公開は初めてという埋もれた名作。

    「サイコ・サスペンス映画史上№1の傑作、ついに解禁 !」
    スタンリー・キューブリックは本作を3回観てこれまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だと言った。

    http://www.thevanishing-movie.com/ 映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイトより

    という煽り文句にしっかり煽られました。
    ホラー映画の金字塔と称される『シャイニング』を生み出した、あのキューブリック監督が恐ろしいと言い放つ、それはいったいどんな映画なのか、どうしても知りたくなりました。

    予告編を観る限り、おそらく血液の量で恐怖を表現するようなスプラッターホラーの類ではなさそうです。
    そこのところは一応確認して、『シャイニング』 も怖いからと観れなかった超ビビリのくせに、恐ろしい結末が待っていると分かっていながら、好奇心に抗えず観に行きました。

    「7月、オランダからフランスへと車で小旅行に出掛けていたレックスとサスキア。立ち寄ったドライブインで、サスキアは忽然と姿を消してしまう。必死に彼女を捜すも手掛かりは得られず、3年の歳月が経過。依然として捜索を続けるレックスの元へ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始め…。」

    http://www.thevanishing-movie.com/ 映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイトより

    3年前、忽然と姿を消した恋人(妻?)サスキアを探し続けるレックスだが、3年という歳月が過ぎた頃には、もはや彼女の生存を信じることは難しくなった。
    『喪失感』から立ち直るには、3年という歳月が必要だったのでしょう。
    そんなところへ彼女の失踪について知っているらしい人物からの手紙が届く。
    レックスは彼女に何が起こったのか真相を知りたい、ただただ知りたいという好奇心に抗えず、待ち受ける恐怖へ足を踏み出してしまう。

    携帯電話もなかった30年ほど前のフランスの、のどかな村の美しい景色と日常。
    登場人物も少なく、派手な演出もない。
    あるのは3者の好奇心だけ。
    サスキアに何が起こったか知りたいというレックスの好奇心。
    自分の中にある異常性と正常性を立証したいという男の好奇心。
    結末を知りたいという観客の好奇心。

    知りたいと言う好奇心に抗えない人間の性(サガ)を描いた作品とも言えそうです。

    39席だけの小さな劇場に観客は10人ほどでした。
    観客の少ない映画館で席を選ぶとき、いつも悩みます。どの席が一番「最適」なのか。

    前方の席だと見上げる感じになるから首が疲れそう。自分の目線と水平なところがいいのか。それとも階段を上がった後方からスクリーンをちょいと見下ろすくらいがちょうどいいのか。
    迷いつつも結局は、最初に目についた誰も座っていない列の中ほどに座ることにしました。

    そういえば、私は物事の「最適」がよく分からないなあとふと思いました。
    人との「最適」な距離感とか、TPOに「最適」の服装とか、場に「最適」な言葉遣いとか、、、、

    つらつらそんなことを考えていましたが、館内が暗くなりいよいよ映画が始まると、何を考えていたかすっかり忘れて、これから始まるであろう恐ろしい物語への好奇心でいっぱいになるのでした。

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