年別アーカイブ: 2015年

WordPress4.4で掲示板を作る

以前、「wordpressで掲示板を作る」にWordPressのコメントフォームを利用して掲示板を作る方法を紹介しました。

コメントフォームをそのまま使うと、メールアドレスやウェブサイトの入力項目が表示されます。
メールアドレスが入力必須項目となっていると、掲示板としては気軽にコメントしずらい気がします。
かといって、WordPressのディスカッションの設定では、メールアドレスだけ必須項目から外すということができません。
それで、テンプレートを少し書き直すことで、ウェブサイトの項目を削除し、メールアドレスを入力必須項目から外し、名前だけを必須にするようなフォームを作りたかったのです。

WordPressのメジャー アップグレードの際には、その都度テンプレートのコードを書き直す、という手間さえかけてきたのですが、それが今回、WordPress4.4へのアップグレードからテンプレートの仕様が変わって、以前の方法が通用しなくなってしまいました。

というわけで、何か他の方法はないかと検索したところ、なんと以前よりも簡単なカスタマイズをみつけましたのでメモしておきます。

WordPress4.4で掲示板を作る

掲示板を作成する手順は「wordpressで掲示板を作る」と同じです。
手順②の「メールアドレスは入力必須項目から外し、webアドレスの入力フォームは削除する。」という部分を変更します。

(A),(B)の2パターンメモしておきます。

(A)名前は入力必須にして、メールアドレスは入力しなくても承認されるようにし、ウェヴサイトの項目は削除する場合

keijibann01
  • WordPressのディスカッションの設定で、「名前とメールアドレスの入力を必須にする」のチェックを外します。(チェックを入れるとメールアドレスの項目にも必須マーク(*)が付いてしまうため。)
  • テーマのfunctions.phpに以下のコードを追加します。
  • 自動的に代替メールアドレスが表示されるようになります。

//コメントフォームの変更

// コメントからウェブサイトを削除
function my_comment_form_remove($arg) {
$arg['url'] = '';
return $arg;
}
add_filter('comment_form_default_fields', 'my_comment_form_remove');

//名前は必須項目にする

function preprocess_comment_author( $commentdata ) {
 if ("" === trim( $commentdata['comment_author'] ))
 wp_die('お名前を入力して下さい。');
 return $commentdata;
}
add_filter('preprocess_comment', 'preprocess_comment_author', 2, 1);
/* comment-template.phpの配列$argsのカスタマイズ */
add_filter('comment_form_defaults', 'comment_form_customize_args');
function comment_form_customize_args($args) {
 // コメントフォームの前の文言を変更
 $args['comment_notes_before'] = '

お名前は必須項目です。
メールアドレスが公開されることはありません。

';
 return $args;
}

//メールアドレス項目を入れたときの設定(未入力時は自動でメールアドレスを設定する)

if (basename($_SERVER["REQUEST_URI"]) == "wp-comments-post.php") {
 if ($_POST['email'] == null || $_POST['email'] == '') {
 $_POST['email'] = 'guest@example.com';
 }
}

(B)名前を必須項目にして、メールとウェヴサイトの項目を削除する場合

keijibann00
  • WordPressのディスカッションの設定で、「名前とメールアドレスの入力を必須にする」にチェックを入れます。(名前のところに必須マーク(*)を付けたいので)
  • テーマのfunctions.phpに以下のコードを追加します。

//コメントフォームの変更

// コメントからEmailとウェブサイトを削除
function my_comment_form_remove($arg) {
$arg['url'] = '';
$arg['email'] = '';
return $arg;
}
add_filter('comment_form_default_fields', 'my_comment_form_remove');

/* comment-template.phpの配列$argsのカスタマイズ */
add_filter('comment_form_defaults', 'comment_form_customize_args');
function comment_form_customize_args($args) {
 // コメントフォームの前の文言を変更
 $args['comment_notes_before'] = '

 お名前は必須項目です。

';
 return $args;
}

//自動でメールアドレスを設定する(メールアドレス項目を削除した場合も設定する)

if (basename($_SERVER["REQUEST_URI"]) == "wp-comments-post.php") {
 if ($_POST['email'] == null || $_POST['email'] == '') {
 $_POST['email'] = 'guest@example.com';
 }
}

以前はWordPress本体のテンプレートを2個書き直していましたが、今度はテーマのfunctions.phpに追加記述するだけなので、WordPressの メジ’ャー アップグレードのたびに書き直す必要がなくなり、ちょっと楽になりました。

下記ブログを参考にさせていただきました。
下記ブログを参照して、自分なりのカスタマイズを試してみることをお勧めします。

・WordPressのコメント入力欄から不要な項目を消す方法

関連記事を表示する「WordPress Related Posts」を少しカスタマイズしてtopページにも表示してみました。

WordPressの投稿に関連記事を表示するプラグインはいろいろありますが、私が最初に導入したのは「Yet Another Related Posts Plugin」でした。
「Yet Another Related Posts Plugin」は日本語対応。投稿と関連性の高い記事を自動選択して、トップページとシングルページに表示してくれます。
これまで関連する投稿のタイトルだけを表示していたのですが、急に画像表示もしてみたくなり設定を変えてサムネイル表示してみたところ、下図のような見た目になりました。

Related01

無理やり画像を縮小しているため、縦横比が合わなくてちょっと歪な画像になっています。
「Yet Another Related Posts Plugin」の仕様なのか、プラグインのせいではないのか確認はしていないのですが、この際他のプラグインを試してみることに。

関連記事プラグイン WordPress Related Posts の初期設定の方法と使い方」を参照させていただき「WordPress Related Posts」をインストールしてみました。

下図が「WordPress Related Posts」の設定画面。機能が少ないので設定が簡単です。

Related03

8種類のレイアウトから表示タイプを選ぶことができます。
どのタイプもビジュアルがきれいです。

Momma

Related04Modern
Related05

Vertical (Large)
Related06

Vertical (Medium)

Related13

Vertical (Small)
Related08 Pinterest Inspired
Related09

Two Columns
Related10 Plain (your own css)
Related12

今回は”Momma”を選択して関連投稿を10個表示してみました。
無理やり正方形に縮小することなく画像を切り取るので、すっきりした表示になります。

Related02

ログインしている状態なら、投稿ページに「Edit Related Posts」ボタンが表示されます。
ボタンをクリックすると、関連記事を入れ替えることができます。
親切な機能と言っていいのか?面倒と言えば面倒のような。楽しいオマケ機能です。

Related14

Auto Insert Related Posts(or add<?php wp_related_posts()?>to your single post template) にチェックを入れると、シングルページ(投稿個別記事)のみに関連投稿が表示されます。

Related07

チェックを外してテンプレートに直接下記コードを追加すれば、任意の場所に表示させることができる、ということなのでトップページとシングルページの両方に表示できるようにちょっとだけカスタマイズしてみました。

&lt;?php wp_related_posts()?&gt;

WordPressのテーマで使用しているcontent.phpの任意の場所にコードを挿入しました。
備忘録として下記にメモしておきます。

<br>
~省略~<br>
&lt;div class="entry-summary"&gt;<br>
	&lt;?php the_excerpt(); ?&gt;<br>
		&lt;/div&gt;<br>
&lt;!-- .entry-summary --&gt;<br>
		&lt;?php else : ?&gt;<br>
&lt;div class="entry-content"&gt;<br>
			&lt;?php the_content( __( 'Continue reading &lt;span class="meta-nav"&gt;&amp;rarr;&lt;/span&gt;', 'twentytwelve' ) ); ?&gt;<br>
			&lt;?php wp_link_pages( array( 'before' =&gt; '</p>
<p>&lt;div class="page-links"&gt;' . __( 'Pages:', 'twentytwelve' ), 'after' =&gt; '&lt;/div&gt;<br>
' ) ); ?&gt;<br>
		&lt;/div&gt;<br>
&lt;!-- .entry-content --&gt;<br>
		&lt;?php endif; ?&gt;<br>
         &lt;!--関連する投稿ここから --&gt;<br>
        &lt;?php wp_related_posts()?&gt;<br>
        &lt;!--関連する投稿ここまで --&gt;<br>
&lt;footer class="entry-meta"&gt;<br>
			&lt;?php twentytwelve_entry_meta(); ?&gt;<br>
~省略~<br>

追記:

2017年に「WordPress Related Posts」の使用をやめて、プラグイン無しで関連記事を表示させるようにしました。
「プラグインを使わないで、関連する投稿記事を表示する」

「紋切型社会-言葉で固まる現代を解きほぐす」/武田砂鉄・・・違和感を表明すること

monnkirigata 2015年発行/朝日出版社
第25回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

フリーライター武田砂鉄さんの名前は、Yahoo !ニュースなどでたびたび目にしていました。
面白いことを書く人だなあと憶えていたので、本書が出たとき、古本価格になるまで時を待てず新刊を購入してしまいました。

武田砂鉄さんは1982年生まれというから、現在33歳。
昨年、10年近く勤務していた出版社を退職。本書はフリーになって初めての著作となるそうです。

本書は「誰からか強制されたわけでもないのに、既存の選択肢にすがる緩慢さが閉塞感を補強する」社会を『紋切型社会』と定義し、著者が『紋切型社会』を象徴していると考える言葉を拾いあげて考察している、コラム集です。

「特に言葉。フレーズ。キーワード。スローガン。自分で選び抜いたと信じ込んでいる言葉、そのほとんどが前々から用意されていた言葉ではないか。紋切型の言葉が連呼され、物事がたちまち処理され、消費されていく。そんな言葉が溢れる背景には各々の紋切型の思考があり、その眼前には紋切型の社会がある。(「はじめに」から抜粋)

目次には著者が違和感を持っている20の紋切型フレーズが並べられています。
「あ、それ!」と気になるフレーズはありませんか?

  1.  乙武君・・・障害は最適化して伝えられる
  2.  育ててくれてありがとう・・・親は子を育てないこともある
  3.  ニッポンには夢の力が必要だ・・・カタカナは何をほぐすのか
  4.  禿同。良記事。・・・検索予測なんて越えられる
  5.  若い人は、本当の貧しさを知らない・・・老害論客を丁寧に捌く方法
  6.  全米が泣いた・・・<絶賛>の言語学
  7.  あなたにとって、演じるとは?・・・「情熱大陸」化する日本
  8.  顔に出していいよ・・・セックスの「ニュートラル」
  9.  国益を損なうことになる・・・オールでワンを高めるパラドックス
  10.  なるほど。わかりやすいです。・・・認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
  11.  会うといい人だよ・・・未知と既知のジレンマ
  12.  カントによれば・・・引用の印鑑的信頼
  13.  うちの会社としては・・・なぜ一度社に持ち帰るのか
  14.  ずっと好きだったんだぜ・・・語尾はコスプレである
  15.  ”泣ける”と話題のバラード・・・プレスリリース化する社会
  16.  誤解を恐れずに言えば・・・東大話法と成城大話法
  17.  逆にこちらが励まされました・・・批評を遠ざける「仲良し子良し」
  18.  そうは言っても男は・・・国全体がブラック企業化する
  19.  もうユニクロで構わない・・・ファッションを彩らない言葉
  20.  誰がハッピーになるのですか?・・・大雑把なつながり

章のタイトルを見ただけで、うん、うん、わかる、「いいね!」押しちゃおう、なんて早まってはいけません。
そう簡単に分かった気になってもらっちゃ困る、「言葉は人の動きや思考を仕切り直すために存在するべきで、信頼よりも打破のために使われるべき」っていうのが著者のスタンスだから。一つのフレーズから、話はぐいぐい奥へ突き進み、横に広がっていく。
だからまあ、頷いたり突っ込みを入れたり、こんなフレーズも違和感あるよねと自分なりの章立てをしてみたり、可能な人はテレパシーを使って、著者と遠隔対話することが、この本の読み方ではないかと思います。

私は日常生活の中で、世の中に大量に流通している物事に対して「これって変だよね」と違和感を表明することは、意外とむずかしいことだと思っています。

たとえば職場で、本書に書かれているような違和感をかたっぱしから口にしていたら、職場の人たちは目を合わせてくれなくなりそうな気がする。
”泣ける”と話題のバラードに泣いたり、『24時間テレビ』や『情熱大陸』や『プロジェクトX』に感動したり、「育ててくれてありがとう」という子どもの感謝の言葉に涙したり、それらは素直で優しい人だからこその感動なのだから、「10歳の子どもに『両親に感謝します』と言わせる『半成人式』なんて、気持ちが悪いよね」と私が言ったとき、職場でだれの賛同も得られなかった。
『半成人式(1/2成人式)』は出席した親の9割近くが「満足」と答えているそうだから、私はきっと感動に難癖をつけるひねくれものと思われたにちがいない。

たとえば職場では、省エネやエコロジーについて話題にしても、原発反対を強く表明することはできない。「国益を損なうって何よ。」なんて会話はしにくい。
実は言いにくいことだらけ。職場ってところは。
そもそも職場はおしゃべりをするような場所ではないし、突っ込んだ話をする暇もない。
職場では型どおりの言葉をどれだけ衒いもなく使えるか、がコミュニケーション能力だと思われている感があります。

じゃあ、どこでみなさん、違和感の表明をしているのか?
たいていは夫や妻、気の置けない友人との会話の中ででしょうか。
あるいはデモに参加したり、ブログに書いたり、本を出したり、音楽や映画やアート作品に仕上げたり、でしょうか。
手段はどうあれ、違和感を表明できない社会とは、ジョージ・オーウェル『1984年』で言えば、『2+2=5』を受け入れてしまう社会だし、違和感を持たなくなることは、穂村弘『本当はちがうんだ日記』で言うところの、《「この世」の大穴》に吸い込まれることだと、私は思っています。

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武田砂鉄(Satetsu Takeda) 1982年生。ライター/編集。
webサイト→http://www.t-satetsu.com/
Yahoo!個人 連載 武田砂鉄の「極めて遺憾」(現在はリンク切れ)

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「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」行ってきました!

22日、「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」に行ってきました。
鉄の作家、通畠義信さん(T/義信さん)は鉄を使った作品と石の彫刻作品を出品。版画家の朋子さん(T/朋子さん)は今回、「西脇市サムホール大賞展」に出品した紙素材の立体作品9点と鉛筆画2点を展示。
異素材の立体作品の数々が見事に融合して、とても見応えある空間をつくりあげていました。

まずは、ギャラリーを入って真正面、T/義信さんの舟シリーズの新作『Shelter boat』 。どの角度から見ても美しい存在感のあるフォルムに圧倒されます。

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上: 『Shelter boat』  彫刻・鉄 ¥270,000

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上左:『長い虫』 彫刻・鉄 ¥50,000   上右:『漂泊』 彫刻・鉄 ¥20,000

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上左:『舌の孤独』 彫刻・石 ¥220,000  上右:『人差し指の孤独』 彫刻・石 ¥180,000

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上: 『峡谷』 彫刻・石 ¥150,000

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上: 『停車場-虫-の孤独』 彫刻・鉄・石 ¥40,000

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上左: 『ベイビースフインクス』 彫刻・石 ¥25,000
上右: 『夢の街が見える丘の上の彫刻』 アクリル画15号 ¥150,000

T/義信さんの鉄の特徴として「サビ」があると、私は考えているのですが、T/義信さんもよく「鉄の作品を錆びさせるのは何故ですか?」と聞かれるそうです。そんな時、「答えるのが面倒で、仕上げが面倒だから、って言ってしまうけど、実はサビ仕上げの方が手間がかかるんですよ。今回制作した『Shelter boat』は、サビ仕上げがうまくいった作品」と話していました。
答えるのが面倒で、というのは彼流の照れに違いないのですが、『Shelter boat』は薄い鉄板を溶接していき、大きくて軽い舟の形になった作品。
風化させてサビの様子を見ながら、またはいろんな技法でもってサビを早めたりしながら、風化という「時間」を作品の中に取り込んでいる。それがT/義信さんの作品の大きな魅力でもありますね。

さて、ここからはT/朋子さんの作品をご紹介します。
版画をベースにコラージュした立体作品は、「西脇市サムホール大賞展」に出品したものです。

01昨年は「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞。という快挙をなし遂げました。
美術館買い上げとなった受賞作品の他に2点、既に売れてしまった出品作品もあり、今回9点の作品展示になりました。

西脇市サムホール大賞展は一人3点まで出品できるので、常に3点の作品を同時進行で制作していたそうです。
3点には共通のテーマがあるものの、イメージや手法はそれぞれ異なっています。
「作品を作る上で自分で作品をコントロールしているようでコントロールされていない部分を、自分自身が楽しみながら制作していた」とギャラリートークで語っていましたよ。

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上:『カクティダンスⅠ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『虹色製造工場』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『カクティダンスⅢ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『夢屑旅行』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『メビウスの従姉妹』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『カクティダンスⅡ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『ミルキーウェイ氾濫』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『誕生Ⅲ』 ミクストメディア ¥50,000

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上左:『誕生Ⅱ』 ミクストメディア ¥50,000  上右:側面

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上左:『花たちの名前』 色鉛筆画 ¥10,000   上右:『赤い言葉』 色鉛筆画 ¥8,000

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『コサージュ』 布シーチング

T/朋子さんは、「特に版画にこだわらず、その時その時の自分の想いを形にしていきたい」と言い、「今は版画から他の手法に移るかもしれない」との考えもあるそうで、今後どのような作品が生まれるか、私も楽しみに見ていきたいと思っています。

最後にギャラリーオーナーから「今後の抱負」を尋ねられたお二人。
T/朋子さんが、「作品をずっと作り続けていく。やめることは全く考えていない。きっと死ぬまで作品づくりを続けていくと思います。」と話すと、T/義信さんが、「妻に同じ。やめる時は自分がダメになったときさ。ハハ(笑)」とこれまた照れくさそうに。

後日、T/朋子さんに、「扱う素材は鉄と紙と全く異なるけど、夫婦で同じ方向を見ているって素敵ね」と私が言うと、「異素材とは言えない」と意外な答えが返ってきました。
銅版画は紙にプレスするまでは、ずっと銅板に向かい合う作業になるので、実は「金属つながり」のお二人でした。

12月1日まで開催しています。ぜひギャラリーに足を運んでいただき、作品をご覧ください。

 2015年11月20日(金)~12月1日(火) (木曜日は休みです)

11:00~17:30 (最終日:16:00)

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

[mappress mapid=”17″]

「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」開催のお知らせ

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鉄のオブジェ作家通畠義信さん版画作家通畠朋子さんの二人展が、今日から開催されています。
ギャラリーセージでは3回目、2年ぶりの二人展になります。

2015年11月20日(金)~12月1日(火) (木曜日は休みです)

11:00~17:30 (最終日:16:00)

22日(日)はギャラリートーク開催  15:00~

20151120

 

昨年は通畠朋子さんが、西脇市サムホール大賞展の大賞を射止め (速報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞!)今年は春に通畠義信さんが県美展で奨励賞を受賞( 通畠義信氏、県美展で奨励賞受賞!)と、活躍されているお二人です。

今回はどんな作品を展示されるのか、楽しみです。

 

 

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

[mappress mapid=”16″]

FTPフリーソフト「FFFTP」と「FileZilla」を比べてみました。

ウェブサイトを作成し始めた当初から、ファイルをサーバーに転送するフリーソフトとして「FFFTP」を使用してきました。
長年使っている私にとって「FFFTP」は、もう手放せないツールになっています。
しかし最近、高機能で高速の「FileZilla」というFTPフリーソフトがあると聞いて好奇心がうずき、早速インストールして「FileZilla」と「FFFTP」、二つのソフトを比べてみることにしました。

「FFFTP」 Windows専用

FFFTP」は日本人による日本製のフリーソフトです。
公式サイト→https://osdn.jp/projects/ffftp/ ⇒FFFTP(http://www2.biglobe.ne.jp/sota/ffftp.html

FFFTP(エフエフエフティーピー)は、1997年に曽田純(Sota)が開発したFTPクライアントソフトウェア。日本語版と英語版が公開されている。
原作者による開発は2011年8月31日をもって終了。その後有志によりオープンソースで開発が行われている。(ウィキペディアより抜粋)」

ffftp

作成者が開発をやめたあとを有志が引き継ぎ開発を続けているなんて。多くの人に必要とされ、支持されてきたことが窺えますね。
英語がベースのコンピュータの世界では、日本語は何かと不利な言語だから、日本人が開発したソフト、というだけでも安心感があります。
現段階では、Windows 7(32bit), Vista(32bit), XP(32bit), 2000対応(2015年9月現在)。

FFFTPは基本的には左ウィンドウにローカル側のファイル、右ウィンドウにリモート(サーバー)側のファイルが一覧表示され、パッと見てすぐ使えるシンプルな作りが特徴です。シンプルだけど基本的に必要な機能は揃っていると思われます。

  • ファイルリストの部分とファイル転送が別スレッドなので、ファイル転送をしながら新たなファイル操作ができる。
  • ミラーリングアップロード機能により、ローカルのファイル構成と同じ物をホスト側に作ることができる。(※ミラーリングダウンロード機能もあり、サーバー側と同じ内容をローカル側に上書きできる)
  • 漢字コードの変換ができる。(漢字コードをEUCやJISコードに自動で変換したり、半角カナ文字を自動で全角に変換)
  • 漢字のファイル名を扱うことができる。
  • サブディレクトリを含めたファイルの転送ができる。
  • ファイルの転送を、いつでも中断できる。また、以前ダウンロードを中断したファイルがある時、その続きをダウンロードできる。
  • 各種FireWall、SOCKS、ワンタイムパスワードに対応している。
  • FTPSを利用して暗号化されたデータの送受信ができる。ただしSFTPには未対応。
  • ドラッグ&ドロップや右クリックメニューなどの操作でファイルのアップロードやダウンロードができる。
  • 右クリックメニューの操作でファイルの削除や名前の変更、パーミッションの変更などが簡単にできる。
  • フォルダ同時移動(左右のウィンドウに同じフォルダを同時に表示する)ができる。
  • ブックマーク機能があるので、よく使うフォルダをブックマークし、素早く表示させられる。
  • ファイルのパーミッション自動変更に対応している。
  • .htaccessの表示ができる。
  • ファイルの名前を変えてアップロード、ダウンロードができる。

FileZilla」 Windows版とMac版、他あり。

filezilla00

Filezillaは、海外産、2001年リリース。日本語翻訳済みで日本語情報サイトもあります。

こちらは基本が四分割ウィンドウで、上下に情報表示用のウィンドウがついていて、全体の見た目がちょっとややこしい。スマートさに欠ける感じです。

実際に使ってみると、左ウィンドウにローカル側のファイル、右ウィンドウにリモート(サーバー)側のファイルという作りはFFFTPと同じ。

Vectorの「FileZilla詳細説明」から抜粋すると、

  • FTPSとSFTPに対応し、暗号化による安全なファイル転送を行うことができる。
  • ローカルとリモートのフォルダやファイルがエクスプローラ風のツリー形式で左右に表示される。
  • ドラッグ&ドロップで、アップロードとダウンロードができる。
  • 並列通信によるファイルの高速転送機能が装備されていて、大量のファイルを転送する際に非常に威力を発揮する。
  • 4GBを超えるファイルの転送およびレジュームにも対応。
  • ファイル名のフィルタ機能があり、目的のファイルを素早く見つけ出したり不要なファイルの転送を防いだりすることができる。
  • ローカルとサーバのパスを登録しておくことで瞬時に双方の目的のフォルダを開くことのできるブックマーク機能も搭載。
  • ローカルとリモートどちらか一方のフォルダ構成を変更した場合に、自動的に構成を揃えてくれる同期ブラウズ機能。
  • ディレクトリ比較機能により、ファイルサイズやタイムスタンプといった条件を指定して比較し、その結果をカラーリング表示してくれる。

そのほかに、

  • アップロードやダウンロードしたいファイルをあらかじめキューに追加しておいて、あとでまとめて処理できる。
  • 複数サイトの接続を表示できる。

Filezillaの説明は下記サイトに詳しく紹介されています。
第3章 FTPソフト(ファイルジラ(FileZilla))の使い方と設定方法: 『WordPress ことはじめ』
 http://wisdommingle.com/ch3-ftp-client-filezilla-wordpress-kotohajime/

FFFTPとFilezillaどちらが便利?

まず、FFFTPはWindows専用だから、Windows以外のユーザーには選択外ですね。

FFFTPの良さ(個人的感想)

とにかくシンプルで操作が簡単。初心者でも直観的に操作できる
漢字のファイル名を扱うことができるところも、国産ならではの強みだと思います。
私は一括ミラーリング機能を使ってはいませんが、必要な人には便利な機能だと思う。

※ミラーリングとは、転送元の内容を転送先にそっくりそのまま上書きして、転送元と転送先を同じファイル構成内容にすることです。転送元にないファイルが転送先にあると、転送の際に削除してくれます。
転送してはいけないファイルなどは、あらかじめフィルタリングしておくことができます。
うっかり削除してしまうリスクもあるので要注意です。

Filezillaの良さ(個人的感想)

ソフトの立ち上がりが凄く早いです。
ツリー形式表示なので、フォルダの階層を行ったり来たりという煩わしさがありません。
Filezillaにはミラーリング機能はありませんが、そのかわり「ディレクトリ比較機能により、ファイルサイズやタイムスタンプといった条件を指定して比較し、その結果をカラーリング表示してくれる。」機能があります。
ローカル側とサーバー側のファイルの差異分を色分けしてくれるので、ファイルのアップし忘れなど防止になりそうですね。
また、「アップロードやダウンロードしたいファイルをあらかじめキューに追加しておいて、あとでまとめて処理できる。」機能もかなり便利です。

セキュリティの面

FFFTPはFTPSだけ対応しているのに比べ、FilezillaはSFTPにも対応。
FTPSやSFTPが利用できるかどうかは、サーバーの環境に依存します。SFTPについては有料オプションになっているサーバーが多いのではないかと思います。
FFFTPとFilezillaのセキュリティについては、下記サイトが参考になります。

しばらく両方使ってみましたが、私には操作がシンプルなFFFTPが、やっぱり楽でした。
Filezillaは高速転送機能がウリなので、大量のファイルや複数のサイトを管理する人向け、それとSFTPを利用している人向け、と言えるでしょう。

ただ欲を言えば、二つのソフトどちらにも備わっていない機能なのですが、画像がサムネイル表示されれば、もう何も言うことありません。
無料ソフトにそこまで望むのは、厚かましいとは思いますが。

「本当はちがうんだ日記/穂村弘」を再読。 たぶん4回目。

7月中旬からブログの更新ができないまま、気が付けばもう秋です。
働く、家事する、疲れる、寝る、のループから抜け出せず、ほぼ思考停止状態のこの頃。
時間は容赦なく流れ去り、巷に年賀状予約の広告チラシが貼ってあるのを見つけて驚いたのだって、もうひと月前の話。準備のいい人なら、今夜は猿の絵を描くのに忙しいかもしれない、そんな時期になりました。

何も考えないまま年を越してしまうのは避けたいので、生活のループを断ち切って、読書メモを一つ、あまり肩の凝らない一冊を紹介したいと思います。


hontohatigau03
本当はちがうんだ日記/穂村弘

集英社文庫 /2008年9月発行

日々に疲れて何も考えたくない、
とがった言葉は聞きたくない、
誰かにダメだしする文章は読みたくない、
あまりポジティブに励まされたくない、
そんな時に私がフラッと読み返してしまう本、それが穂村弘さんのエッセイ『本当はちがうんだ日記』です。

総務課長で兼業歌人で独身で、のちに専業歌人になり結婚もした穂村弘さん(40代)。

「今はまだ人生のリハーサルだ。
本番じゃない。
そう思うことで、私は『今』のみじめさに耐えていた。」

という彼が、「今」はもう本番に入っていることに気づいてしまう。そんな人生の過渡期にある日々の小さなわだかまりを綴ったエッセイ集です。

いつも風景を眺めるように読んでいた本ですが、今回はどうしたことか、ところどころ胸がグッと詰まるような切なさを感じる場面がありました。

独り言のような、詩のような、《クリスマス・ラテ》では、母親から
「おまえ、将来何になるんだい?」
と聞かれて
「いやだなあ。お母さん。もう今が将来なんですよ。」
と答える。
どうってことないセリフなのに、私はじわっと泣けてきました。
過ぎた人生の長さより、今後の人生の方がかなり短いということが確定してしまっているからでしょうか。「将来」というワードに過剰に反応してしまうようです。

若い頃には私にも「将来」があり、将来私はどうなるんだろうという不安や焦りや憧れや欲望に振り回されて、「早く30歳になりたい」と願ったものです。30歳になった時、もうこれで無理な望みを抱いて悩んだりしなくていい、とホッとしたことを覚えています。自分の無能さを年齢のせいにすり替えただけの話ですね。

この頃やたら国は「すべての女性が輝く社会づくり」(首相官邸ウェブサイト参照)を推進しています!なんて大言壮語していますが、全て の女性が輝く生き方(って、そもそも何?)を手に入れるなんて、現実世界ではありえない絵空事です。
「非力で軟弱で、容姿が平凡で、あだ名が無くて、才能のない人間」にとって、現実世界は、女性にも男性にも、生きにくいのです。

《「この世」の大穴》の項も、私にとっては身につまされるものでした。

「世の中には、いろいろな長所や魅力があるんだなあ、という感想を持つ。普通だ。だが、勿論、そちらが正しいのだ。心から他人を認められるようになったことを嬉しく思う。
それなのに、ときどき不安になるのだ。(略)
なんとなく、入賞しなかったパチンコ玉が、最後に同じ場所に吸い込まれるように、ひとつの大きな穴に向かってゆくところを想像する。
何ひとつ知らず、どんな考えも持たず、泣きながら産まれてきた自分の全てが、最後は世界の多様な豊かさという、「この世」の大穴に吸い込まれてゆく。これは錯覚か、妄想か。

『本当はちがうんだ日記』は、非力な自分にダメだしを続ける軟弱男の自虐エッセイ、と見せかけて実は、現実世界の大穴に落ちまいと抵抗を続ける、40歳を過ぎようが踏ん張っている、著者の姿がみえてきます。
そしてなお、解説で三浦しおんさんが書かれていることですが、

「すぐれた観察眼で、世界を見据えつづける。観察の結果、残酷で理不尽なこの地上に、このうえもなく美しく貴いものが宿る瞬間があることを発見する。(三浦しおんさんの解説から抜粋)」

《それ以来、白い杖を持ったひとをみつめてしまう》の項を読むと、著者は世の中の真に美しい部分を見逃さず、それを言葉で伝えてくれている。歌人とは、あるいは詩人とは、そういう能力を持った人なのだなあと思います。

 

唐突ですが、最近、奇妙礼太郎が歌うCMソングが耳について離れない。
「なつかしい痛みだわ」って出だしから、もう泣きそうになります。最近の私のこの涙もろさ。
現実圧に負けてしまっているのか。それとも秋のせいなのか?

「解錠師/スティーヴ・ハミルトン」きっと泣く予感がする1冊

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ハヤカワ文庫/2012年

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。
このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。

内容(「BOOK」データベースより)


表紙のイラストが児童書みたいなトーンなので、なんとなく読むのをためらっていたのですが。
アメリカ探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞のダブル受賞。しかも「このミステリーがすごい!2013年版海外編 第1位」。アメリカでも英国でも日本でもファンを獲得しているミステリーとなるとやはり捨て置けない。

「たぶん、きみはぼくを覚えているだろう。思い出してもらいたい。1990年の夏のことだ。」
という書き出しで、主人公マイクの獄中記が始まります。

主に17歳の夏から20代後半の現在まで。
犯罪に手を染めていない頃のマイクと、犯罪者として転落した日々を送るマイクの、二つの人生を行ったり来たりする形で、物語は進んでいきます。少し勿体をつけ過ぎかなという構成ではあるけど、時系列通りに書いては、やはり面白くない。
この時間を行ったり来たりするごとに、物語の結末が気になっていくのです。

そして、これはたぶん翻訳者(:越前敏弥さん)の手腕によるところが大きいのではないかと思いますが、少し感傷的な、でも感傷に過ぎることのないバランスで書かれている文体が、幼くして人生を諦観してしまったマイクの、孤独な世界を表しているように感じられました。
マイクは淡々と書いているのに、そこが切ない。読んでいる私の方がだんだん感傷的になってしまい、早い段階で、きっと私は泣く、と予感しました。
実際に、516ページの7行目で泣きました。それから残り47ページを一気に涙目で読みました。
ラストを確かめずには眠れない。
確かに血なまぐさい場面もあって、「非情な犯罪の世界に生きる少年」の物語なのだけど。ピッキングやダイヤル錠の解錠場面は凄く臨場感があって、とてもスリリングなのだけど。何よりも、マイクのピュアな恋の行方が気になります。
口をきけないマイクが彼女と心を通わせる、その冴えた手段が胸を打ちます。

やっぱり、この本は児童書とまでは言わないけれど、青春小説だなあと思う。

「自分がどんな体験をしたかを知る人が世界じゅうにただひとりでもいて、それが自分を真に理解してくれる人であるなら、ほかには何も要らなかった。」

というマイクの心のうちは口に出して言うことはできない。でもそれを全力で身を以て実現していく物語なのでした。

アメリカ探偵作家クラブ賞受賞、英国推理作家協会賞受賞だからといって、バリバリのミステリとは限らないようです。
付け加えると、2011年、アメリカ図書館協会主催の『アレックス賞』というのも受賞しています。「12歳から18歳のヤングアダルトに特に薦めたい大人向けの本10冊」に贈られる賞だそうです。

「短歌の友人/穂村弘」

tankano河出文庫/2011年
『短歌の友人』は、歌人・穂村弘さんが自分以外の人の作品を読み続けてきて、「頭の中に面白いなと思う短歌が少しづつたまって」いった作品について論じた、初めての歌論集です。伊藤整文学賞受賞。

第1章 短歌の感触
第2章 口語短歌の現在
第3章 <リアル>の構造
第4章 リアリティの変容
第5章 前衛短歌から現代短歌へ
第6章 短歌と<私>
第7章 歌人論

目次だけを並べてみると、お堅い学術書的装いです。
取り上げている短歌は、現代短歌を代表する穂村弘さんならではのチョイス。ニューウェーブ短歌とか、前衛短歌とか言われている現代歌人たちの作品が多い。例えば、一番最初に掲げられているのは、

電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ
東 直子

この一首目に私はたじろぎました。苦手だな、というのが正直な感想です。
現代短歌の中には、日常語を使って表現されているにもかかわらず、私の住む日常とは別の世界の出来事のように感じられる歌があります。一言で言えば、私には共感しにくい歌。面白さが分からない私が無粋なのか?と自問したくなる歌。
著者は作品の面白さを論理的に構文解析したりしていますが、読み始めは、歌を作ることのない私には、歌人による歌人向けの指南書みたいに思えました。

しかし、「第3章<リアルの>の構造」あたりから俄然面白くなってきましたよ。
「酸欠世界」、「棒立ちの歌」、「言葉のモノ化」、「モードの多様性」、「モードの乱反射」、「『私』の価値の高騰」といった分析が、素人にも分かりやすい。
あるいは、「小さな違和感の強調が現実の手触りをアリバイ的に保証している」とか「<心>とは限りなくレベルダウンしてゆくものなのか」や「寿司屋を回転寿司屋に変える力」といった言い回しで、短歌を通して現代(戦後)社会を鋭い観察者の目で分析してみせる。
なおかつ著者はとても客観的にそして正直に短歌と歌人としての自分を語っています。
その辺も読んでいて面白く、いつものエッセイとはまた一味違う穂村弘さんの魅力を感じました。

穂村弘さんは、思いのほか説得力ある短歌の伝道師のようです。
読み終わったころには現代短歌を、逆に戦後社会の在り様を通して読み直すと、そこにリアルな共感以外の面白さを感じることができる、、、ような気がしてきました。少なくても私は、最初感じたような苦手意識は無くなりました。

monogatari01ところで、最近、短歌エッセイ集「物語のはじまり/松村由利子」を再読したばかりなので、ついつい2冊の本を比べてしまうのですが、面白いことにどちらも表紙は河川に架かる鉄道橋がモチーフになっています。
これは単なる偶然なのか?と思ったらどちらも同じ装丁家(間村俊一氏)によるカバーデザインでした。

とはいえ受ける印象はずい分違いますね。
『物語の始まり』の鉄道橋には電車が走り、青い空、草茂る土手。イラストレーションなのに、すがすがしいリアルな日常が感じられる。
一方、『短歌の友人』は薄ら淡く背景に同化したような風景。この鉄道橋に果たして電車が通ることがあるのか。いったいどことどこを繋ぐ橋なのか。写真なのに本物の橋なのかと疑わしくなるほどリアル感が薄い。

2冊の本に掲載されている短歌は、ほとんど被ることのない作品が並んでいたのですが、例外が4首。しつこく読み比べて、見つけました。
どんなに感性が違って見える世界の住民たちでも、同じものを見て「ああ、これいいね」と言う時があるんだと、ちょっとほっとするような、少しさびしいような複雑な気持ち。なんだろう?自分でもよく分かりませんが・・・。二冊の本のどちらにも取り上げられていた、その4首をここに記しておきます。

大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋
俵 万智

馬を洗はば馬のたましい冱(さ)ゆるまで人戀(こ)はば人あやむるこころ
塚本 邦雄

死に近き母に添寝のしんしんと遠田(とほた)のかはづ天に聞ゆる
斎藤 茂吉

日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
塚本 邦雄

 

IE8のレイアウト崩れは直ったみたいですが・・・

20150705-0一昨日「ブラウザチェックツールを使ってみたらIE8で完全にアウトだった!!」に書いたように、「IEテスタ」をインストールしてIEのバージョン5.5~11をチェックしてみたところ(5.5と6は仕方ないとしても)8でもレイアウトが崩れていて愕然としました。
レイアウトの崩れと言えば、やはりcssの書き方、特にfloat、margin、paddingの扱いに原因がありそうなので、cssを精査してみました。

私のブログはWordPresssのデフォルトテーマ「Twenty Twelve」バージョン 1.7をカスタマイズして作成しているので、「Twenty Twelve」のcssと見比べながら、不要なfloatを見つけて削除し、それでも崩れが直らず焦りましたが、最終的には下図のようにbodyに

margin-top: 0px;
margin-right: auto;
margin-bottom: 0px;
margin-left: auto;

を追記したところでレイアウト崩れが直りました。
左側が「Twenty Twelve」のcss。右側が修正後の当ブログのcss。あれ?これで良かったのか?

2015070703
まあ、崩れが直ったんだからいいじゃないかって思いたいのですが、他にきちんとした対応の仕方があるのじゃないか?他のブラウザではもっと酷いレイアウト崩れを起こしているのではないか?と不安が募るのは私が知識不足である証拠です。
この夏には、是非ともHtml5とcss3を学習しておきたい。

それにしても、IEのバージョン格差は何とかならないものか?
ブラウザに関しては世界統一を望みます。

ブラウザチェックツールを使ってみたらIE8で完全にアウトだった!!

20150705-4そろそろHTML5について本気で勉強しなければと本を購入しました。
と、その前に久しぶりにブラウザチェックをすることに。
Windows7を使い始め、ブラウザをGoogle Chromeに変えてからというもの、IEの存在を忘れつつありました。
しかしWeb上ではまだまだIEを使っている人が多いはず。そこでIEに特化したブラウザチェックツールを手に入れることに。

「IEなどの複数のブラウザチェックができる便利な無料ツールまとめ (NESTonline Blog)参照」

上記サイトで紹介されていた、無料ソフトIEテスタ」をインストールしてみました。
これがなかなかの優れもので、IE5.5~11まで一括して動作確認ができます。
ダウンロードサイトはこちら → http://www.my-debugbar.com/wiki/IETester/HomePage

下図がIEテスタ」上の表示画面です。

20150705-1

予想していたことですが、IE5.5と6ではレイアウトがガチャガチャに崩れていて観れたもんじゃありませんでした。でももう対応する能力がなくIE6以前については諦めることにしました。
しかし、残念なことにIE8でも下記図のごとく崩れていました。
いつからこんな姿になっていたのか?
Windows XPのサポートが終了しているとは言え、IE8を使っている人は多いと思われるので何とかしなければと思うのですが、今日のところはどこをどう修正したらよいのか分からずじまい。
しばらくは御見苦しい姿をさらしたままということになりそうです。

20150705-0

こちらは携帯やタブレットなどの表示を確認できるサイト「Responsive Design Testing」です。インストール無し、登録不要、web上で無料で利用できます。お手軽ですね。
20150705-2

「押川珠江(仕立服)山田利喜子(革)二人展Vol.2」見てきました。

昨日、『我が家de個展 ギャラリーときどき』に行ってきました。

開催から6日目ともなると、かなりの作品が売れてしまっていて、全作品を見ることはできませんでしたが、取り急ぎ少しだけご紹介します。

作家紹介

押川珠江・・・仕立屋

日常は、堀江町の自宅アトリエでお客様のオーダーを受けて仕立ててします。
2012年11月に初めてギャラリーセージで、山田利喜子との二人展を開催、この7月でアトリエ開設20周年の今年、二回目の二人展です。
サイズお直しします。仕立ての良さを味わってみてください。

・・・・押川珠江

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tama001tama006tama006-1押川珠江さんの仕立服は、ほとんど着物地を使ったもの。

私は右上の黒いバルーンワンピースが気に入りました。背中の金色のファスナーが大人な感じですね。

山田利喜子・・・革染色造形

riki00小山田に亡父の生家があり、誰も住まない荒れ家・荒れ庭の管理傍ら、土間で革の染色をしています。
染まった革を持ち帰り、自宅でバッグなどに形作ります。
ちなみに、左の壁掛けは、その小山田の皺の大きな欅の木を見ながら去年染めました。(今回作成の)一番大きなバッグは、今年の欅を見ながら染めたものです。

・・・・山田利喜子

今回の作成の一番大きいバッグというのが下のトートバッグです。表と裏の二つのデザインが楽しめるバッグです。
riki007riki007-1

 

 

 

 

 

 

他のバッグ作品は後日改めて、山田利喜子さんのギャラリーサイト「皮革染色工芸」に画像をアップしたいと思います。
sri-3ところで、昨年の『山田利喜子 革の仕事展』の際、次回はぜひ販売して欲しいとお願いしていた革のルームシューズも出品されていました。
しかし、ほとんど売れてしまっていて、わずか3足を残すのみ。
最初は、左写真の白っぽいルームシューズが気にっていたのですが、サイズが合わず断念。

私のサイズに合うのが、1足だけあったので、足を入れるところ(ここは何と言うのか?)が、青色の皮のシューズを購入してきましたよ。

家に帰ってから床に置いてみると、奇麗な青色が何ともおしゃれ。履き心地も良く、満足の一品です。

DSC03021-7DSC03021-3DSC03021DSC03021-4

 

 

追記:2015年7月3日

11点のバッグの画像を山田利喜子さんのギャラリーサイトにアップしました。「皮革染色工芸」Rikiko Yamadaをご覧ください。

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「押川珠江(仕立服)山田利喜子(革)二人展Vol.2」開催のお知らせ

2015年6月26日(金)~7月7日(火)
am11:00~pm5:30

我が家de個展 ギャラリーときどき

hutariten20150626

「皮革染色工芸」の山田利喜子さんと、洋裁師・押川珠江さんの二人展が開催されます。

お二人での企画展は2012年の「山田 利喜子・押川 珠江  二人展」に続き2回目。
山田利喜子さんは個性的な造形が持ち味のバッグ。押川珠江さんは小粋で仕立ての良い一点ものの服。今回も素敵なコラボレーションを見せてくれそうです。

今回の会場は、山田利喜子さんの『我が家de個展ギャラリーときどき』です。
なんと!「断捨離予定の本、お持ち帰り自由」のおまけつきです。

 

 

我が家de個展 ギャラリーときどき

鹿児島市薬師2-16-18 TEL099-255-5575

 

短歌「物語のはじまり/松村由利子」

monogatari01中央公論新社/2007年

「1. 働く」
「2. 食べる」
「3. 恋する」
「4. ともに暮らす」
「5. 住まう」
「6. 産む」
「7. 育てる」
「8. 見る」
「9. 老いる」
「10. 病む、別れる」

以上、10のテーマに分けて、松村由利子さんが113人の歌人を選び、180首余りの短歌を紹介しつつ、一つ一つの作品に著者なりの解釈と想いを綴ったエッセイです。
未知の歌人や短歌に多く出会える短歌集としても楽しめますし、松村由利子さんの解説が面白く、エッセイとしても読みごたえのある一冊でした。

「三十一音という短い詩型がもつ力、それは物語を内包する力ではないかと思う。こんなに小さな形なのに、人生のいろいろな場面が凝縮されていて、読む者の胸に届いた途端みるみるうちに感情をあふれさせる。」

(「おわり」から)

日々に何かしらひどく屈託があるとき、平たく言えば落ち込んでいるとき、私は詩歌集を読んで、ずいぶん慰められたものでした。
短歌は言葉が少ないから、感情までの距離が短い。そこが魅力です。
即座に感情を刺激してくれる。
言葉がストレートに心に届く。
私が言葉にできないでいる日々の屈託を、たった三十一の文字で鮮やかに表現してくれる。
全くただの日常の一場面でしかない光景でさえ、心に沁みる歌になり、ハッとさせられる。

私が住んでいる狭くて小さい日常にも、実はたくさんの窓があって、もっといろんな風景が見えるんだよ、と感じさせてくれる作品。短歌に限らず本でも映画でもアートでも音楽でもなんでも。
そんな作品に出会うと嬉しくなり、縮こまっていた気持ちが解れていくようです。

今回特に印象に残った作品を少し挙げてみます。
何度も落ち込むので何度も開いてしまう本ですが、それを読むときの生活状況とか(ころころ状況が変わるので)それに伴う自分の心境とかで、作品の印象もずい分変わります。この次読むときは、また別の作品に心惹かれているかも知れませんが。

もし豚をかくの如く詰め込みて電車走らば非難起こるべし

奥村 晃作

水桶にすべり落ちたる寒の烏賊いのちなきものはただに下降す

稲葉 京子

日本のパンまづければアフリカの餓死者の魂はさんで食べる

山田 富士郎

わが使う光と水と火の量の測られて届く紙片三枚

大西 民子

安売りの声がはじけるスーパーでいらないものを買って帰ろう

船橋 剛二

駅前に立ち並ぶ俺 お一人様1本限りのしょう油のように

斉藤 斎藤

のちの世に手を触れてもどりくるごとくターンせりプールの日陰のあたり

大松 達知

サバンナの像のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

穂村 弘

たちまちに涙あふれて夜の市の玩具売り場を脱れ来にけり

木俣 修

著者の松村由利子さんは、2010年より沖縄県石垣島に住んでおられ、ブログで島の生活やいろんな歌人の作品を紹介しています。
そらいろ短歌通信  松村由利子の自由帳 (http://soratanka.seesaa.net/

「2015宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内

「2015宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内です。
「宮崎国際現代彫刻・空港展」は、「宮崎彫刻グループ」が主体となり、国内外の多くの現代彫刻家たちが出品する作品展です。
今年で26回目の開催となります。
当サイトでご紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏も出品します。

会場となっている宮崎空港は、2014年から「宮崎ブーゲンビリア空港」という愛称がつけられたそうです。
初夏、「宮崎ブーゲンビリア空港」のオアシス広場。アートを楽しみながらリゾート気分を味わえそうですね。
miyazakikuukou2015

下記のWebサイトには、昨年の宮崎国際現代彫刻・空港展の作品と作家が紹介されています。
宮崎の現代彫刻展」(http://miyazakisculptureexhibition.web.fc2.com/

通畠義信氏、県美展で奨励賞受賞!

2015kainohune

当サイトでご紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏が、第62回県美展にて奨励賞を受賞されました。
おめでとうございます!

早速画像をいただきましたので、アップします。タイトルは

「Shelter boat ━ 貝の舟 ━」

大きさ:H25×w75×D33
素材:steel(鋼材)

明後日から県美展が始まります。観に行かれる方、彫刻のフロアもぜひ観てみてくださいね。

県美開催日:5月16日(土)~24日(日)
休館日:18日(月)
会場:黎明館、市立美術館

インスタグラム講座のお知らせ

写真共有SNSアプリ「Instagram」の登録に四苦八苦したことは、以前「スマホアプリ「Instagram」登録エラー!解決」に書きましたが、その「Instagram」も今ではFacebookに次ぐ人気SNSになっているそうです。2014年12月では

  • 月間アクティブユーザー:3億人
  • シェアされた写真:300億枚以上
  • 1日にシェアされる写真:平均7,000万
    「Instagram:企業アカウント急増中の注目ソーシャルメディア」参照(リンク切れ)

というデータがありました。

有名人や人気タレントがプライベート写真などを投稿して、日本でも人気に火がついた感じですが、わが鹿児島ではどうなんでしょうか。
この頃はファッション系のお店で「Instagramやってます」という案内を貰うことが何度かあったので、企業などにはジワジワ浸透してきているような。

私の周りでは、まだまだ。IT関係に勤めている人しかやってない、という感じです。そのIT関係者から「はじめてのインスタグラム講座」を紹介して欲しいということでチラシをいただきました。
これから始めたい方も登録から実際の投稿まで、手取り教えてくれるようですよ。お子様連れでもOK。
アカウントは持ったものの、どうやって気に入った投稿者をフォローしたらいいのか、フォロワーを増やすにはどうしたらいいのか、安易に写真をアップしちゃっていいものか、写真をおしゃれに加工する方法とか、いろいろ知りたいことありますね。

instagram

詳しくはフォークリエイトのホームページを御覧ください。
ホームページ≫ http://forcreate.co.jp/cat_news/456
Facebook:https://www.facebook.com/forcreate

Instagramは携帯で登録しておけば、PCからも観れるようです。「InstagramのWeb版」
PCからは登録や画像のアップロードをすることはできなくて、他の人の写真を閲覧したり「いいね!」やコメントをするだけの機能しかありませんが、(PCからInstagramに画像をアップロードする方法やアプリを紹介しているサイトも結構あるので、必ずしも画像のアップロードが無理、とういうわけではなさそうですが)。

nasa01私の場合、フィードに流れるアートは、ちょっとした画廊めぐり。素敵な風景は眺めているだけで刺激になるし、NASAの公式Instagramにいたっては感動的な宇宙風景(空間?)を見せてくれます。

私は写真投稿はほとんどせずに、ただ雑誌を眺めるような感じで楽しんでいます。
もちろん、楽しみ方はいろいろですが、本来は写真を投稿して、他の人の写真をシェアして、いろんな人と広く繋がっていくコミュニケーションツールですから、気軽に写真をアップロードして多くの人に見てもらう方が、より楽しめるのはまちがいないですね。

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『下流志向(学ばない子どもたち 働かない若者たち)』内田 樹

karyuusikouゴールデンウィークの最中”こどもの日“、予定の時間までの暇つぶしに入った書店で手に取り、思わず購入してしまいました。
この本は、「ああるの映画と読書」で最近紹介され興味をもっていたもの。
ネットで古本を購入しようと「お気に入りリスト」に入れていたけれど、たまには小さな贅沢、定価で買ってもいいじゃないか、ゴールデンウィークなんだから。と自分に言い訳しつつ530円(税別)の新刊を買う私は、間違いなく「下流」に住む人間です。

じゃあ「上流」にはどんな人が住んでいるのか?
たとえば与党政治家たちと財界人、高級官僚たちの「閨閥」。
彼らは集団全体でリスクヘッジする「相互扶助組織」を形成し、「集団として生き残る」という明確な目標を掲げる「強者連合」に属する人たちであるという。
こういう集団が私たち社会の上層にいて、社会を回している。(どうりでアベノミクスの恩恵は下流までは流れてこないわけです。)
彼らは利益と結果責任をシェアする代わりに自己決定をすることはできないらしい。進学、就職、結婚、あれやこれや、属する集団が集団の利益のために決定するらしい。
それと対極に、「相互扶助組織」に属することができない個人は、自分自身のことは自分で決定し、結果に対し自分で責任をとるしかない。
「獲得した利益をシェアする仲間がなく、困窮したときに支援してくれる人間がいない人間」は、このリスク社会においては社会的弱者である、という。
なるほどなあ。と感心している場合ではない。社会的弱者とは私のことですよ。

社会的弱者の立場からこの本を読み進めると「リスクヘッジというのは一人ではできない」という理論は十分納得できます。でも相互扶助したくても共倒れになってしまうという現実がある、という側面は無視されて書かれているように感じます。
弱者は「獲得した利益をシェアする仲間がなく、困窮したときに支援してくれる人間がいない」のではなく、「仲間とシェアできるほどの利益を獲得できず、困窮している人を支援することもできない」現実の中にいるのです。
著者の視点はどこにあるのでしょうか?

そもそも本書の第1章に「学びからの逃走」や「労働からの逃走」について、「主体的決意を持って、決然と逃走する」とし、これが「下流社会」への階層降下を意味し、下降志向の社会集団が登場してきた、と他の学者の言葉を借りて社会分析をしていますが、本当にそうなのでしょうか?
本当に主体的決意を持って学習をやめる子どもが増え、主体的決意を持って労働をしない人間が増えているのでしょうか。

私も身近に、学級崩壊している小学生のクラスを知っています。授業中に走り回ったり、椅子や机の上に乗って騒いだりする子どもが何人かいます。その子たちは、主体的決意を持って、学習から決然と逃走しているのでしょうか?
「教室は不快と教育サービスの等価交換の場となる」と言われると、ホントにそうかなあ、って疑問に感じます。まあそう考える子どもや親が全く居ないとは言い切れないけど、著者がそう決めつけているだけなのでは?

「労働からの逃走」の例として「正社員になると辞めにくくなるからアルバイトのままがいい」という若者や、「責任あるポストに就いたら自由が無くなる」という理由で会社を辞めた若者の話がでてきますが、理由はそれだけでしょうか?仮にそうだとして、本当にそんな若者ばかりでしょうか?
日本のニートは「社会的上昇の機会が提供されているにもかかわらず、子どもたちが自主的にその機会を放棄している」と著者は言うのですが、本当に、本当にそうなのですか?ニートってそんな理由でニートになっている?
「現代日本の多くの妻たちが夫に対して示している最大の奉仕は夫の存在それ自体に耐えていることなのです」って、それ、きみまろのネタじゃなくて?

読むにつれ疑問ばかりが膨らんでいくのですが、最終章まで読んでも納得できる根拠は見いだせませんでした。
どこかで見聞きしただけの一面的な話に終始し、その話に現実感の伴わない持論をくっつけているだけ。
でなければ、下流に浮かぶ木葉のあれこれを川岸で眺めて説教している人、そんな印象です。

私にとっては突っ込みどころ満載の本ではありますが、最初からぐいぐい話に惹きこみ一気に聞かせる、語り口のうまい人だなあとも思います。
「おっ!」と心に引っ掛かるワードがいくつもあって、たとえば「世界そのものが穴だらけ」とか「不快という貨幣」とか「『師であることの条件』は『師を持っている』こと」とか。上手いこと言うなあ、って思います。
講演会場でリアルに聴けば突っ込みを入れる隙もなかったかも。
講演と質疑応答を文章に起こして本にしちゃうと、「意味の穴だらけ」状態になるのも仕方がないのでしょう。

WordPressからFacebookに自動投稿する「Social Networks Auto-Poster」

rssGraffitiブログで書いた記事をFacebookに自動投稿してくれる無料アプリ、「RSS Graffiti」が4月30日、いきなり(!)サービスを終了してしまいました。

私は非社交的な性格なので、SNSには向かないのですが、Facebookの機能を覚える必要性があってアカウントを持っています。
それでこれまでWordPressで書いたブログを「RSS Graffiti」を利用してFacebookに自動投稿してきたのですが、昨日、「RSS Graffiti」がサービス終了したという記事を見つけ慌てました。

Facebookページを開いてアプリの確認をしてみると、そこには、涙ポロリの丸顔キャラクターが「RSS Graffiti is no longer available.」というメッセージとともに表示されました。 英語翻訳サイト「weblio」で機械翻訳すると、「RSS Graffitiは、もはや利用できません」とのこと。

無料アプリでは、いきなりのサービス終了もありがちなことらしいです。仕方ないので代替アプリを探してみました。

検索してみるとWordPressの場合は、プラグインがいろいろあるようです。
今回は「Social Networks Auto-Poster」を使ってみることにします。
サイト「9ineBB」の記事『WordPressでFacebookのページへ自動投稿するのを 「NextScripts: Social Networks Auto-Poster」を使って行う方法』を参照しながら設定しました。

プラグインのインストールは通常通り、WordPressのプラグイン画面から簡単にできますが、「Social Networks Auto-Poster」の設定に必要な

  • FacebookのApp ID
  • FacebookのApp secret

を、取得するにはFacebook側でアプリの設定をしなければなりません。
私はそこのところのやり方を知らなかったので、「9ineBB」のように丁寧な解説をしてくれるサイトがなければ、自力で設定するのは大変だったと思います。

「Social Networks Auto-Poster」の導入を考えている方、『WordPressでFacebookのページへ自動投稿するのを 「NextScripts: Social Networks Auto-Poster」を使って行う方法』は、お勧めですよ。

追記 2015年5月5日

「Social Networks Auto-Poster」の設定を見直して修正しました。
あれこれ設定を変えてテストしてみました。ブログを更新すると瞬時にFacebookの方に反映されます。
でも連続投稿すると、「ちょっと待ったー」ってなるようです。
Auto-Poste10
「Post Type」を上図のように設定すると、Facebookでは下図のように表示されます。
いろいろ詳細な設定ができて、高機能のプラグインですね。
Auto-Poster08

悪医/久坂部 羊

akui『悪医』  朝日新聞出版 (2013/11/7)

作家の久坂部羊さんは、現役の医師であり、現在は高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事されている方です。

5,6年前、『日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか』を読んで以来、私は久坂部羊さんのエッセイや小説を読み続けているのですが、なかなか人に「面白いよ、読んでみて」とお薦めできる作風の作家ではありません。

『大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す』『医療幻想―「思い込み」が患者を殺す』
など、ストレートなタイトルが過激な印象を与えるし、人の生き死にに直面させられる医療現場の実態を、嘘やごまかしやきれいごとを嫌う姿勢でもって、直截な物言いで書いているので、切実な内容だけに、楽しい読み物とはなりません。

小説の方はというと、ところどころグロテスクな描写や露悪的な表現があるので、これもお薦めしにくい要因です。
デビュー作の『廃用身』は、タイトルもストーリーも衝撃的でした。
「廃用身」とは「脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足」のことを言う医学用語だそうです。人間の身体が廃棄物のように扱われているようで、読んで不快に感じる人もいるかもしれません。

今回紹介する『悪医』は、グロテスクな表現を抑えて後味も良く、お薦めできる、というかお薦めしたい作品です。
文芸賞などとは無縁の作家と思っていたのですが、『悪医』は日本医師会が主催する第3回日本医療小説大賞を受賞しています。(医師会批判もしている作家なのに!)隠れファンとしては、ちょっと嬉しいことです。

とはいえ本書は「抗がん剤ではがんは治らない」という事実を前提にしたストーリーなので、今現在、抗がん剤でがんが治ると信じて闘病中の方にはショッキングな内容かも知れません。

『悪医』に登場する患者、小仲辰郎は52歳の独身男性。
早期の胃がんが見つかり手術を受け、11か月後に再発して肝臓への転移が見つかり、苦しい副作用に耐えながら抗がん剤治療を続けてきたが、ある日、医師から、「残念ですが、もうこれ以上、治療の余地はありません」と告げられる。
余命は3ヶ月くらい。「あとは好きなことをして、時間を有意義に使ってください」と医師は言うが、小仲は、「治療法がないというのは、私にすれば、死ねと言われたも同然なんですよ!」と怒りを露わにする。

余命3ヶ月と医師から告げられた患者と、その患者に余命3ヶ月と告げた医師。
余命宣告されたがん患者にとって希望とは?
患者にとって良い医者とは?
有意義な人生とは?
人生の意味とは?
二人のそれぞれの物語を交互に織り交ぜながら、命を救うことのできない医師のジレンマや医療システムの矛盾、現場の医師たちの激務、安易な幻想を振りまくマスメディア、そして人と人のつながり、などなど多くの問題を絡ませ、苦悩と希望の物語が綴られていきます。

私の夫ががん患者であった経験から言うと、インフォームド・コンセントがしっかりしている病院なら、「抗がん剤治療はがんを治すものではない。延命効果を期待して行なうものだ」という説明が、しっかりなされると思います。
私たちも、延命効果があるかは、やってみないと分からない手さぐりの状態であることや、副作用の危険性や、いつまでも抗がん剤を使い続けるわけにはいかないということなど、折に触れ説明を受けました。
何度も時間をかけて説明を受け、十分知っていたはずでしたが、それでも医師から「今のうちにホスピスを受診しておいたほうがよいでしょう」と言われた時にも、「もう使える薬はありません」と言われた時にも、治療を止めるという選択はできませんでした。
『悪医』の患者、小仲辰郎と同じように、いつのまにか治療を続けていれば生きていられるような、錯覚に陥っていたと今なら分かります。

がんになったら、あるいはがん患者の家族になったら、手術や治療に同意するか拒否するか、余命告知するかしないか、人工呼吸器による延命措置を望むか望まないか、あらゆる場面で何度も何度も選択を、やり直しのきかない選択をすることになります。
その時は必死な思いでする選択であっても、残された者に後悔は残るものです。
そうそう誰もが冷静な判断なんてできるものではないけど、いろんな選択肢があること、同意だけでなく拒否という選択もあることを知っていた方がいいと、本書を読んで再認識しました。
また本書は、医療の問題だけでなく、人生の意味についても深いメッセージが込められていて、私には考えさせられるところの多い一冊でした。

暗号解読(上・下)/サイモン・シン

angou新潮文庫/2007年6月

以前、高野秀明 『ジェノサイド』 を読んだ際、インターネットでは「RSA暗号」というものが使われていることを知りました。
特に暗号マニアというわけではありませんが、いまや私の生活に無くてはならないインターネットで、どのようにして暗号化が行われているのか?その仕組みを知りたくなって、本書『暗号解読』を読み始めました。

著者は、前作『フェルマーの最終定理』で、高等数学など全く無知な私をも、楽しませ、感動すら与えてくれたサイモン・シンです。
本書でも数々の暗号を素人にも分かるように図解入りで丁寧に解説し、興味をかき立てるようなエピソードをふんだんに盛り込んで、壮大な歴史物語を語ってくれています。

暗号の歴史は、紀元前から現代にいたるまで、為政者たちが繰り返す愚かな戦いの中にあり、様々な暗号が発明されては破られてきました。人類の歴史の暗い部分で、暗号作成者と暗号解読者の熾烈な戦いが、繰り広げられているのです。

暗号作成や解読には、多彩な分野の能力が必要なことも分かりました。
もし「暗号」が中学の授業科目にあったら、世界史、政治経済、科学、数学、言語学、古典学、工学、コンピュータ、チェスやクロスワード・パズル、その他もろもろ多岐にわたって学べそうです。暗号作成や解読の実技では、根気、忍耐力が養われることも間違いない。

サイモン ・シンの語り口は、前作にもまして軽快です。RSA暗号にたどりつくまでの長い歴史を、存分に楽しませてくれました。
もちろん、サイモン・シンの魅力は単に語り口のうまさだけではありません。
暗号マニアでもない私が読んでも楽しめるのは、作者の人柄によるところが大きい。
訳者、青木薫さんの言葉を引用させていただくと、

「血なまぐさい謀略や裏切りの連続であるはずの暗号の歴史が、卑小も偉大もひっくるめた愛すべき人間の営みとして浮かび上がってくるのである。わけても、マイノリティや弱い立場に置かれた人たちに向けられた視線の温かさはサイモン・シンならではのもの」
(訳者あとがきより)

そうなのです。前作『フェルマーの最終定理』でも感じたことでしたが、文章のそこかしこから作者の温かさが伝わってくる。もっともっと話を聞きたいという気持ちになるのです。

さて、今回の読書の目的であったRSA暗号ですが、2000年に及ぶそれまでの暗号とは全く異なる、逆転の発想で生まれたものでした。開発にかかわった暗号作成者たちのエピソードも面白く、RSA暗号のしくみについても、まあだいたい、分かってスッキリしました。
そのRSA暗号を利用して開発された暗号化ソフト、PGPというのがあります。これを作ったジマーマンの物語は、特に興味深いものでした。

1977年にRSA暗号が発明され、「完全な安全のもとでメッセージをやり取りできる」ようになりました。しかし、このRSA暗号の実用化は、政府、軍部、大企業だけを対象としていたといいます。
「それに対してジマーマンは、RSA暗号を使ってプライバシーを守ることは万人の権利だと考え、その政治的情熱を一般大衆向けのRSA製品を開発することに向けた」のでした。

彼はRSA暗号を使って、個人のコンピュータにインストールできて、専門家でない人でも使いやすい、そんなソフトに仕立て上げ、PGP (プリティー・グッド・プライバシー〝ほぼ完全なプライバシー”)と名付けました。
RSAの特許権を無視して開発したというから、ある意味とんでもない話なのです。
折しも、政府が安全性の高い暗号を禁止するような法案が提出され、PGPが非合法化されてしまうことを恐れたジマーマンは、急いでPGPを誰でも無料でインターネットからダウンロードできるようにしました。
そしてジマーマンは特許侵害の罪だけでなく、武器の非合法輸出という重大な罪で告発されることになります。暗号化ソフトが軍需品に指定されていたからです。

PGPは、デジタル通信をするすべての人々のプライバシーを守ってくれるものとして、多くの人にダウンロードされています。一方、犯罪者やテロリストも安全に通信ができるようになり、犯罪を助長するとして非難の的にもなりました。
「大事なのは犯罪防止か、それとも個人のプライバシーか」という論争は、以前読んだ『暴露 スノーデンが私に託したファイル』でも大きなテーマでした。そこには、スノーデンがPGPなしには外部と接触することはできなかった状況が書かれていました。
PGPはスノーデンのような内部告発者や、世界各地で危険にさらされている人権グループの人々の、身の安全を確保していることも確かです。
PGPの存在は、「大衆がもっとも恐れているのは何か」ということを考えさせます。

PGPは最強の暗号ソフで、「PGPで暗号化されたたった一つのメッセージを解読するために、世界中にあるおよそ二億六千台のパーソナル・コンピュータを投入したとしても、解読には平均して宇宙の年齢の一千二百万倍の時間がかかると推定されている」と言われるほどです。
しかしサイモン・シンは、今後、「現在のコンピュータよりも何十億倍も速い処理能力を持つという量子コンピュータが実用化されれば、PGP暗号も難なく破られ、新たな量子暗号を開発する必要があるだろう」と予測しています。

そこで、最終章では量子コンピュータの原理を、量子物理学から丁寧に図解入りで説明していますが、これは私には理解が難しかったです。
「重ね合わせ理論」を用いて「スピンする粒子」でコンピュータに計算をさせる?
・・・って、具体的にイメージすることができないのです。
いずれ別の本で、どこまで理解できるか挑戦してみたいと思います。

ところで、『暗号解読(下)』の付録に、1万ポンドの懸賞金付き暗号問題が10問あります。残念ながらすでに優勝者が賞金を手にしているものですが、訳者の青木薫さんがチームを組んで、この10問に挑戦し、解読法を掲載しています。かなりハードな暗号マニア向きです。
私は1問目を見ただけで頭がくらくらしてしまいました。

追記

本書「暗号解読」の中でも、悲劇のエピソードとして取り上げられている天才数学者アラン・チューリングの物語が映画化され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことでも話題となっているそうです。今年春公開予定。詳細は下記サイトから。

天才数学者vs世界最強の暗号 カンバーバッチ主演『イミテーション・ゲーム』で半世紀越しの秘密が明らかに

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編