グリルつばめ、ではなく正しくは「つばめグリル」でした。私はずっとグリルつばめと思い込んでいました。
つばめグリルのホームページによると創業は1930年。特急つばめの誕生にちなんで名づけられた、80年の歴史を持つ老舗レストランです。
本店は銀座にあり、支店も多数あるようですが、私が行ったのはレトロなビアホールといった風情 の品川駅前店。
ハンバーグステーキをアルミホイルで包み込んだ「つばめ風ハンブルグステーキ」が人気のお店です。アルミホイルをナイフで切り開くと、柔らかいけれど少し歯ごたえのあるハンバーグと、意外とさっぱりとした味のビーフシチューが、ほんわりと芳ばしい香りとともに現れます。
ジャガイモを1個まるごとオーブン焼きにしたベイクドポテトが添えられていて、これだけで十分お腹いっぱいになる1品ですが、やはりこの店ではシーザーサラダも注文したい。新鮮な食材のみを使用し、化学調味料や着色料、保存料を使わないという、お店のこだわりが実感できるシーザーサラダ・・・これがいいんだよ、と東京出張から帰ってきた夫が熱く語ったことがあります。
シーザーサラダの主役は、レタス。普段スーパーで見かける丸っこいレタスではなく、大振りの縦長いレタス。夫はその名前が思い出せず、私が「それはサンチェじゃないの?」と言うと、「違う、違う」と首を振るばかりで結局思い出せませんでした。
とにかくいつか食べに行こう、と当てにならない約束をしてくれたのですが、それから間もなくその約束は果たされることになりました。
2006年7月20日、夫と二人でつばめグリルの品川駅前店で食事をしました。
日付まではっきり覚えているのは、その日、国立がんセンターにセカンドオピニオンを受けに行ったからです。がんセンターでの診断はあまりに厳しく、一縷の望みをも打ち砕くものでしたが、夫はその日の夕食に、つばめグリルに連れて行ってくれました。
夫が、つばめ風ハンブルグステーキとシーザーサラダ、ビールとコーヒーを注文し、「これだよ、ロメインレタス!」と、やっと解答を得て嬉しそうに言いました。
食事をしながら何を話したのかは思い出せませんが、病気の話題は避けて、いつものように仕事のこととか、たぶん食べ物のことや何か、たわいも無いおしゃべりばかりしたように思います。私は泣くまいとこらえるのに精一杯で、ハンバーグもサラダもまるで味など分らなかったのですが、夫は生ビールを美味しそうに、まるで心配事なんて何もないよ、というような顔をして飲んでいました。不思議な人です。最後までそんな調子で、人前で辛い顔を見せることはありませんでした。
今回、つばめグリルには、娘と夫の姉や姪と一緒に行きました。夫の思い出を身近な者と共有できたことが嬉しかったし、今度はしっかりと味わうこともできました。
しかし、「本日は野菜の良いのが入らなかったので。」ということで、シーザーサラダは注文できませんでした。残念・・・。
左の写真を撮ったのは私です。間違えて隣のサラダを撮ってしまい、シーザーサラダはお皿半分しか写っていません。
つばめグリル ロメインレタスのシーザーサラダに調理中の画像があります。こちらを見た方が美味しさが伝わりますね。
ロメインレタスとは、白菜のように長円形にゆるく結球し、ラグビーボールのような形をしたレタスのことです。古くは古代エジプト王朝で食べられていたと言われる歴史の長い野菜で、「立ちちしゃ」や、エーゲ海のコス島で栽培されていたので「コスレタス」とも呼ばれています。ロメインレタスは、葉に厚みがあって、サクッとした歯ごたえとクセのない爽やかな味覚があるので、特にシーザーサラダのメイン素材として人気のあるレタスです。また、ロメインレタスは生食だけでなく、炒め物や煮物など加熱するお料理にも幅広く使われます。
1から始める料理の基本より