月別アーカイブ: 2019年11月

通畠義信氏、南日本美術展にて海童賞受賞しました!

画像は第74回南日本美術展カタログより転載

当サイトで紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏が、第74回南日本美術展にて海童賞:空間造形部門優秀賞を受賞されました。おめでとうございます!
この賞は2017年、2018年に続き3回目の受賞となります。

今回の作品は「ハエの家2019 -冥界ニュース -」

会場には応募作品についてのコンセプトをまとめたファイル「一次審査用書類ファイル」が展示されています。
これから観に行かれる方には、是非そのファイルも手に取って開いて読んで欲しいです。
作品に関する基本コンセプトのほかに「仮想劇~冥界ニュース リアルタイム~」という寸劇の脚本がファイルされています。

舞台は「地底界放送局スタジオ」
出演者は、ニュースキャスター、コメンテーター、お天気屋お姉さん、そしてリポーターとしてハエ男が登場する劇です。
2ページくらいの短い場面でしたが、面白かったですよ。もっともっと読みたかったです。
通畠氏のマルチな才能を知ることができるファイルです。

第74回南日本美術展

2019年11月16日(土)~12月1日(日)
黎明館・鹿児島美術館


この「ハエの家シリーズ」は今回で最後になるそうです。
また新たな作品の登場を心待ちにいたしましょう。

「絶叫委員会(著:穂村弘)」を再読した

穂村弘さんの「絶叫委員会」を再読しました。
再読と言っても本棚から取り出して読み直したわけではなく、ブックオフで見つけて、愚かにも2冊目を購入してしまったわけで。

「未読の穂村弘発見!」と小躍りしてレジでお金を払い、寝る前に読み始めて1ページ読むごとに既視感を感じながらも読み進め、「読んでいる」「いや、読んでない」と自問自答を繰り返しつつ読み終わりました。

読書リスト」で確認すると、どうやら3年前の2016年11月に既読しているようです。二重購入を避けるために作成した「読書リスト」だったのに、頼りにならないヤツです。

本棚を見直してみると、1冊目の 「絶叫委員会」 が見当たらない。
おそらく3年前の11月と言えば、職場が辛くてもう辞めたい!けど辞められない!って時期だったから本を読みながら暖まろうと、お風呂読書に使ったため、ボロボロになってしまって捨てざるを得なかったに違いありません。
取り敢えず、本棚に同じ本が2冊並ぶことは避けられました。

それはともかく、何度読み直しても、穂村弘さんのエッセイは面白い。
お風呂が冷えた体を温めるように、穂村弘さんのエッセイは私の心を温めてくれます。

「絶叫委員会」は著者が日常の中で遭遇した印象的な言葉について書かれたエッセイです。
普段は聞き逃してしまいそうな何気ない言葉や、パニックに陥った時に思わず発してしまう意外な言葉、あるいは「それを言っちゃあお終いよ」的な致命的発言などなど。
一見、無意味にしか聞こえない言葉であっても、無意味さの中から面白さや愛や悲しさを取り出したりして、世界の奥行を垣間見せてくれる一冊です。

日頃、何かの言葉に違和感を持っても、それを言語化できない私はモヤモヤしながら、そのうち忘れてしまいます。
例えば、
「万一ご満足いただけない場合は全額ご返金致します」
というフレーズ。何だか不快に感じるのだけど、どこがどう嫌なのか言葉にすることができなかった。このフレーズについて誰かと意見交換することもなかった。それを本書の中で見つけたときには、あっ、と思いました。

「他人の主観に対してそこまで強気になれるのは自信の現れというレベルを超えている。サービスの顔をした恫喝に思えるのだ。」

P161「サービストーク」

そうそう、それ。私もそれを言いたかったのです。