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「純平、考え直せ」奥田 英朗

junnpei出版社: 光文社 (2011/1/20)

待ってました!奥田英朗の最新作。
前々回の「オリンピックの身代金」は暗いトーンの作品でしたが、今度のこれ「純平、考え直せ」は思い切り笑わせてくれます。
タイトルからしておかしいでしょう?

坂本純平21歳は、幼い頃に親に捨てられ、兄弟、友人、お金、学歴、コネ、全てなし、夢なし、未来なしの歌舞伎町のチンピラ。
当面の目標が部屋住みを卒業して組のバッジをもらうこと。
その目標達成のチャンスが巡ってきました。それは、組長から与えられた「鉄砲玉」としての任務。

任務決行までの三日間を描いたドタバタ劇です。
新宿・歌舞伎町で出会う人々や、純平をネタにして勝手に盛り上がるネット掲示板上の若者たち。それぞれのセリフに何度も吹き出したり、切なくなったり。

いまどきのチンピラがどのようなものなのかは、その世界に疎い私には分らないのですが、ま、こんな純情なチンピラなんているのかなあと訝しく思いながらも、「純平、鉄砲玉になんかなるんじゃない。考え直せ」と、はらはら親心で念じつつ一気読みしました。
作品には「純平、考え直せ」と終始呼びかけている作者の姿も、くっきりと見えてきます。