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特捜部Q「檻の中の女」/ユッシ・エーズラ・オールスン

2013年11月19日   コメントを残す

発売: 2012/10/5 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

最近は家具や雑貨だけでなく、ミステリー界にも北欧ものが流行っているらしい。
毎月のように次々と北欧ミステリーの翻訳本が出版されているので、私もブームに乗ってデンマーク発の警察小説を読んでみました。
デンマークと言えば、子どもの頃アンデルセン童話を読んだ程度なので、この国が北欧の括りであることも、本土ではなくシェラン島という島に首都コペンハーゲンがあることも知りませんでした。
私にとっては未知の国デンマークです。

さて、本書、「特捜部Q『檻の中の女』」は、コペンハーゲン警察のカール・マーク警部補を主人公としたシリーズ第1作目になります。
優秀だけど強引な捜査で何かと面倒を引き起こすカール。 皮肉屋で、上司には盾突くし、同僚とも衝突して、周囲の反感を買ってばかり。早い話が殺人捜査課の嫌われ者。
このキャラクター設定は「ダーティハリー」のハリー・キャラハンを継承しているように思いますが、まあ、ハリーほどはクールじゃない。メンタルもタフとは言えない。

二か月前、事件捜査の銃撃戦によって、一人の部下を失います。もう一人の部下は死こそ免れたものの、脊髄を損傷し病院で寝たきりの身となってしまいます。そのことがカールの負い目となり、心的外傷後ストレス障害となり、周囲にとってはますます扱いにくい厄介者となってしまいます。
折しも警察は構造改革によって、新部署を立ち上げることになりました。それが「特捜部Q」。特に興味深い未解決事件を再捜査する、というのは建前で、実は予算獲得のために新設されたに過ぎない。そこのボスにカールを据える。刑事捜査課から厄介者を追い払って、しかも予算が増える。一石二鳥の得策と上層部は考えたわけです。
こうしてコペンハーゲン警察の地下に「特捜部Q」が誕生し、カール・マークと謎のシリア人アシスタントの活躍が始まります。

テレビドラマにうってつけのシチュエーションです。ドイツでは映画やテレビ化の話が進行中だというのも頷けます。
もし日本でドラマ化されるとしたら、カール・マーク役に西島秀俊なんてどうでしょう?二枚目でクールなところをかなぐり捨てて、皮肉屋で嫌われ者の役をやって欲しい。
謎のシリア人アシスタントには、顔の濃さで北村一輝でもいけるかもしれない。
金使いが荒く、年下の愛人をとっかえひっかえ、好き放題に暮らしている別居中の妻に小雪。
母親に愛想をつかしてカールと同居しているが、母親に似て好き勝手に振舞まい、毎度カールをイラつかせる義理の息子に瀬戸康史を。
代理主婦のごとく家事をこなして、しかも家賃まで納めてくれる、オペラが好きで料理の上手い下宿人に稲垣吾郎。
美人心理カウンセラーには鈴木京香・・・・

などと勝手に妄想キャスティングしていますが、はて、カール・マークは何歳なのだろう?と改めて読んでみると、「年金生活に入るまであと20年」という記述がありました。
では、デンマークの年金受給年齢は?と調べてみると、2004年からは65歳となっているようです。それでいくとカールは45歳前後となりますね。

本書の中で、年金のことを話題にしている場面が何度かあったので、さらに調べてみると、デンマークの年金システムはなかなか興味深いものでした。
国民年金は、居住年数を満たせば全ての国民に定額の年金が支給されるユニバーサルな年金で、財源は全て税金である。支給開始年齢は65歳で、40年間居住で満額を受け取ることができる。『デンマークの年金制度」から引用』」
というわけで、「年金制度の国際比較」によると、「公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか」「平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか」「年金制度を運用するための見直し機能や透明性は図られているか」などの観点から、デンマークは、「十分に積み立てられた年金とその給付水準が評価され、第1位となっている」そうです。

住み続けるだけ(15歳から65歳までの居住年数で年金額が決まる)で年金が支給されるなんて、羨ましい話です。
そんなシステムなら、誰だって住み続けますよ、死ぬまで。
しかし、そんなデンマークも年金改革が進行中で、
今後の高齢化の進行に備え、2006年の与野党合意による法改正で、2024~27年にかけて国民年金の支給開始年齢は再び67歳に引上げられることになった。また2030年から支給開始年齢を平均余命に連動させる仕組みも導入される。『デンマークの年金制度」から引用』
だそうです。いずこも高齢化が問題です。
我が国の場合、老体に鞭打って年金受給年齢まで働いて、手にする給付金が「老後の生活に十分」な額とはならないところがツライのですが。

追記:デンマークは年金を税金で賄うわけだから、税金は高い。「消費税25%・平均的な所得税が約46%と高納税国」だという。それでも「国民の幸福度」調査で第一位となっている。しかし、もちろん良いことばかりでもないわけで・・・。デンマークの高納税国としての暮らし方とその問題点」参照

「都市と都市」チャイナ・ミエヴィル

2013年10月27日   コメントを残す

ハヤカワ文庫SF 2011/12/20発売

内容(「BOOK」データベースより)
ふたつの都市国家“ベジェル”と“ウル・コーマ”は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく…。ディック‐カフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。
「都市と都市」。何ともそっけないタイトルです。内容もタイトルのまんま、ふたつの都市国家の物語。
時代は現代。
“ベジェル”と“ウル・コーマ”という、ふたつの都市はほぼ同じ位置にありながら、言語も生活様式も大きく異なる。
主人公のボルル警部補が殺人事件の捜査で、ふたつの都市を走りまわり、読者はボルル警部補の後を追いかけながら、ふたつの都市の風景を思い描いていくことになるのだが、読むにつれこれが奇妙な絵になっていく。
何枚ものセル画を断層的に重ねるような、あるいは立体的に絡み合わせたような、不思議な風景画が少しずつ出来上がっていく。
さらに不思議なのは、ふたつの都市の関係だ。
両都市国家の人々は、お互いに隣の都市を「見る」ことも「聞く」ことも禁じられている。そのことに違反したり、都市の境界を侵犯したりすることは“ブリーチ行為”と言い、ブリーチ行為をすると“ブリーチ”と呼ばれる謎の組織によって“ブリーチされる”という。

ブリーチ(breach)って何?ブリーチはどこから現れるのか?
なぜ、両国の人々は、まるで相手の都市など存在しないかのようにふるまわなければならないのか?
隣り合っていながら、本当に、見えるものを「見ない」で、聞こえるものを「聞かない」で、生活していくことができるものなのか?
謎は深まり、この物語がどんな方向に向かっているのか想像がつかない。

大森望の解説によると、本書のアイデアについて作者のチャイナ・ミエヴィルは、
「最初は、同じロンドンの街で暮らす人間とネズミがまったく違う生活様式を持っているのと同じように、環境に対する接し方がぜんぜん違う複数の種族が同居している都会を描くことを考えていたが、人間同士の話で書いたほうが面白いと途中で考え直した」
と語っているそうです。
作家の発想って素晴らしい。

チャイナ・ミエヴィルは1972年生まれ。「SF、ファンタジー、ホラーをひっくるめた“ニュー・ウィアード”の作家を標榜する」らしい。
貧しくてどこか時代遅れな感じのする“ベジェル”。巨大なビル群のある経済的に発展したウル・コーマ”というふたつの都市の設定は、壁が崩壊する以前の東ベルリンと西ベルリンを想起させるが、作家自身は「現実の政治状況の寓意として読まれることに強く意を唱えている」という。

通畠義信・朋子 2人展-2013-  開催中です!

2013年10月16日   コメントを残す

ギャラリーセージで開催中の「通畠義信・朋子 2人展」を観て来ました。
鉄のキャンドルスタンドと銅版画の作品展です。

10月29日(火)まで開催しています。(※木曜日は休館)

まずは、鉄の作家、通畠義信さんの作品を少し紹介します。

今回動物のキャンドルがいくつかありました。
猫、カエル、カラス、火の鳥。
それとエイリアンみたいな『フェアリアン』。

猫のキャンドルには、 ちょっと面白い仕掛けがありましたよ。
顔が2枚あってマグネットで着脱できるもの。昼の顔と夜の顔かな?
その日の気分で取り換え自由。
鉄ならではの仕掛けですね。

その他、サンタクロース、竹取物語を題材にしたもの、星をイメージした壁掛けなどなど。

左の作品はシルエットのまま静かにたたずむ猫。
タイトルは『猫火』。

下の作品は「四つのキャンドルのバランスが美しい『立ちのぼるコンポジション』。
立ち姿も美しいですが、壁に作る影も美しかった。(影の写真が撮れなかったのが残念です。)

tetu

当サイトでご紹介している通畠義信さんの作品はこちらから

 https://art-container.net/galleries/tetu/

次に通畠朋子さんの銅板画をご紹介。
最新作はサンタクロースならぬ『サンタクリーム』

当サイトではまだご紹介していない作品がありました。
ちょっとセクシーなウサギが主人公のシリーズもの。
それと服をテーマにした「クローズシリーズ」が2点。

前回の「2人展」の際もそうでしたが、額装された作品を撮るのは困難。
是非会場で、繊細でキュートな作品の数々をご覧ください。

当サイトでご紹介している通畠朋子さんの作品はこちらから。

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

 

「通畠義信・朋子2人展ー2013-」開催のお知らせ

2013年10月03日   コメントを残す

2013年10月11日(金)~10月29日(火)
11:00~18:00 

※10/17(木)10/24(木)はお休みです。

通畠義信さんと通畠朋子さんの2人展開催のお知らせです。
鉄のキャンドルと銅版画を中心にした作品展です。
お二人のこれまでの作品は当サイトのギャラリーをご覧ください。

ギャリ―セージにて2度目の開催になります。
前回は2012年7月。その時の様子は「『2人展』行ってきました。」をご覧ください。

ギャラリーセージ(http://www.gallerysage.jp/)

「原発は要らない」ページを追加しました。

2013年09月30日   コメントを残す

利用しているレンタルサーバーがハッカー攻撃にあったのを機会に(「サイバー攻撃に早まって・・」参照)、過去の投稿を見直しつつ、ブログのデータを復旧してきました。
私の不注意でメディアデータを消失させてしまったので、イメージはPCに残っている写真を探し、新たに撮れるものは撮り直し、ネットから取得できるものはコピーして、出来る限り作成しなおしました。
でもどうしても写真が見つからず、復旧できなかった投稿記事もあったので、データベースのバックアップを常に取っておくことは、本当に大事だと実感しました。それとPC上の写真データも、管理もきちんとしなければなりませんね。溜まる一方だからとすぐに削除してしまうのも考えものです。

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以前「東日本大震災関連情報」として作っていたページを、「原発は要らない」と名前を改めて作成し直しました。「原発は要らない」ページは「東日本大震災」「福島第一原子力発電所事故」を忘れないための備忘録です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、当然のことですが、国内外に大きな衝撃を与えました。
そして津波と連動して起きた福島の原発事故は、チェルノブイリと並ぶ、もしくはそれ以上の最悪レベルで、世界を震撼させました。

一連の天災と人災は、あまりに多くの人たちの命を奪い、人生を変えてしまいました。
被災した方々は、生活の全てを奪われ、2年以上経った現在でも約28万人の方が“仮住まい”での暮らしを余儀なくされています。
福島第一原子力発電所も今なお、汚染水漏れなど深刻な状況が続いています。解体までは40年はかかるという遠い道のりです。まだ、何も終わっていない。

直接被災した者でなくても、私にも、震災前と震災後で、その後の生き方や社会に対する意識の変化がありました。
大地震も大津波も原発事故も、再び起こりうることを想定した日本の未来を、今こそ真剣に考えていかなければならないのですが、国も企業もそうはなっていない現状ですね。