「結婚の条件」小倉千加子/朝日新聞社
発行/2003年11月
以前、斎藤美奈子さんの「モダンガール論」を読んで、女性史というジャンルに興味を持ったのですが、その斎藤美奈子さんが「本の本」で以下のような書評を載せていたのが、小倉千加子著「結婚の条件」。
女性の憧れをかきたてるカリスマミセスにもはやりすたりがあるらしく、ハイソ系の君島十和子の次に来ているのはナチュラル系の雅姫である。(・・中略・・)ままごとみたいな家庭生活の一端を見せるのが、いわば彼女の仕事であり、ロンドンやパリへの取材も娘同伴。それで麻と木綿と毛糸が好き、とかいってんだからいいわよねと凡人はひがむ。
にしても、なぜこんなカリスマミセスが次々登場してくるのか、そんな疑問にズバリと答えてくれるのが小倉千加子『結婚の条件』だ。(・・中略・・)男は収入、女は容貌。結婚とはカネとカオの交換だと小倉はいいきる。
「本の本/斎藤美奈子」より抜粋
カリスマ主婦ねえ。なんでそんなのが受けるのか、私も不思議に思っていました。
この本は、女性の結婚観の変遷を検証し、現在の晩婚化、少子化の原因を読み解く、真面目でちょっとミーハーな学問書です。
本にはたくさんの女性が登場しますが、その一人、ある未婚女性ディレクターはきっぱり言います。
「女は真面目に働きたいなんて思っていませんよ。しんどい仕事は男にさせて、自分は上澄みを吸って生きていこうとするんですよ。結婚と仕事と、要するにいいとこどりですよ」
平成の未婚女性も、昭和に結婚して現在中高年となった既婚女性も、「分かる、分かる」と頷ける現実が、ある意味身も蓋も無い本音が、満載の本です。
先日、小学2年生の双子女児と、映画「ジョン・カーター」を観ました。
この映画は100年前に書かれた、南北戦争の元南軍騎兵大尉ジョン・カーターが、火星のプリンセスを救うため、異星人たちと戦う勇者の物語です。
映画を観終わったあと、双子姉がポソっとつぶやきました。「男って女のために頑張るんだね」
恐るべし、7歳児。見るところは見ている。
この子が結婚する時代には、どんなことが「結婚の条件」になっているのか、気になります。
小倉千加子さんは、日本は晩婚化国、少子高齢国というより、将来は非婚国に移行していくと予想していますが、果たして?
まあ、どんな時代であろうと、勇者は 「上澄みを吸って生きていこうとする女」を、わざわざ命をかけて救いには来ない。それに、火星のプリンセスだって「絶世の美女で、勇気と情熱のある戦士」という設定だし。