ジュール・シュペルヴィエル


フランスの詩人です。小説家でもあるようです。
いいにくい名前です。
古いノートに私はジュール・シュペルヴェールと書き写していたので、その名前で検索してみましたが、シュペルヴェールでなくシュペルヴィエルの方が通りがよいようです。ウィキペディアもジュール・シュペルヴィエルと表記されていました。フランス人の名前を日本語表記するのは難しいですね。
ま、来日中のミラ・ジョヴォヴィッチも表記しにくいし、フランスに限ったことではないですね。
日本人の名前だって海外ではどういう発音や表記をされるのか興味あるところですが、その話はさておいて。

インターネットなんて言葉がまだ世の中に存在しない昔、ジュール・シュペルヴィエルの詩をどこかで目にして、いくつか書き留めていました。
シュルレアリスム (これもまた表記しにくい!)の詩にハマっていた時期があったので、ロートレアモンやなんかと合わせて読んだ記憶があります。

シュルレアリスムの詩は、意味を読み取ろうとすると難解(=面倒)なので、むしろ意味など考えずに自分勝手にイメージできるところが好きです。

ジュール・シュペルヴィエルの詩からは、荒涼とした孤独な風景が美しい絵となって目の前に現れるような、そんな作品があります。

当時、「動作」という詩が広く知られていたように覚えています。

「動作」

               ジュール・シュペルヴィエル

その馬はうしろを振り向いて

誰もまだ見たことのないものを見た。

それからユウカリの木の陰で

牧草をまた食べ続けた。

それは人間でも樹でもなく

また牝馬でもなかったのだ。

葉むらの上にざわめいた

風のなごりでもなかったのだ。

それはもう一頭の或る馬が

二万世紀もの昔のこと

不意にうしろを振り向いた

ちょうどその時に見たものだった。

そうしてそれはもはや誰ひとり

人間も馬も魚も昆虫も

二度と見ないに違いないものだった。大地が

腕も脚も首も欠け落ちた

彫像の残骸にすぎなくなるときまで。

「難破船」

      ジュール・シュペルヴィエル

こちらのここにテーブル あちらのむこうにランプ

空気がいらいら波立っているから どうにも一緒になれないで

人っ気のない海岸 水平線まで突き出ていて

腕をあげて男が沖で叫んでいる 「助けてくれえ!」

すると木魂が答えている 「どういう意味なんだ いったい」

 

若いある時、私が「名前が思い出せないんですが、馬が振り返る、詩がありますよね」と誰かに聞いたところ、近くにいた見知らぬ人が「それは、ジュール・シュペルヴィエルですね」とサラッと応えて、周囲が「おおっ」とどよめいたことがありました。なんてかっこいい!若い私は、感動しました。
その後、私は「アーノルド・シュワルツェネッガー」の名前を繰り返し口にして覚え込んだものです。
アーノルド・シュワルツェネッガーは発音でも表記しにくさでも最高レベルの名前ですね。

コメントはこちらから

お名前は必須項目です。

CAPTCHA


画像を添付できます(JPEGだけ)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ジュール・シュペルヴィエル」への2件のフィードバック

  1. atcon 投稿作成者

    むしろ昔のことばかり思い出す今日この頃・・・
    昨日のことが思い出せなくなる日も近いのでしょうか。

    最近の詩人というのを良く知りません。
    俳句や短歌はNHKでも番組があるのにね。

    返信
  2. あある

    この名前は記憶のどこかに引っかかっている、と思って二階の書棚の詩集コーナーを探しました。アポリネール・コクトー・シュペルヴィエル詩集てのがありました。昭和43年刊。
    後ろの年譜に、第一次世界大戦に動員され、郵便業務に従事、マタ・ハリが逮捕されるきっかけを作った、とあるよ。シュペルヴィエル銀行?銀行家だったのか。アンリ・ミショーと親しかった?なんかね、シュペルヴィエル個人の詩集を探したような気がするんだけど、何故だったか全く覚えていない。オロロン・サント・マリーという場所の名前も、すごくよく知ってる名前だと思う、けどなぜ?
    atconさまには時々記憶の水底を探らせていただいてます。

    返信