「ジェノサイド」高野 和明


genocide出版:角川書店
2011年3月発行

このミステリーがすごい!2012年版」国内編第1位
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
第2回山田風太郎賞受賞
35万部突破!ベストセラー爆走中!!

と、帯に華々しい惹句が並び、その人気度を誇示しているのが、本書「ジェノサイド」です。
さらに
「読み始めたら眠れなくて、朝4時まで読んでしまいました。/谷原章介」とか、
「この物語は、人類の行方を予言している/中江有里」とか
「己の血に誇りを持ち、己の知をもって未来と世界を築いていく。日本人にはそれができると信じている。/杏」
「超面白かったです!『アバタ―』を3本分見たくらいの達成感があります!/鈴木おさむ」
など、有名人のレビューが並べられ、読者の興奮度と出版社の意気込みが伝わってきます。

この手の売り込みに乗せられて、読んでみたらがっかりということもままありますよね。
しかし、当サイトの「映画と読書」でも、ああるさんが「壮大なスケールで、すごい。」と評していたので、文庫化されるのを待っていられなくなり、単行本をブックオフで手に入れました。

「ミステリーは文庫で!」のマイルールを破って読んだ本書ですが、面白かった!大画面3Dサラウンド映画を観ているようでした。アフリカと日本とホワイトハウスを行ったり来たり。
とは言え、内容的には現在私が生きているこの世界の、ダークな側面を次から次へと見せられるものであり、面白がってばかりはいられないのだけれど。

ネット検索依存症の私は、気になるワードを検索しながら、この本を読みました。
私が調べたのは以下のワード。

  • ジェノサイド
  • ハイズマン・レポート
  • シリア 拷問施設
  • 肺胞上皮細胞硬化症
  • 単一遺伝子疾患
  • 第一次アフリカ大戦
  • ルワンダの大虐殺
  • 変異型GPR769
  • 世界終末時計
  • ピグミー
  • 素因数分解 RSA暗号
  • 人類の進化
  • 幼形成熟
  • 全世界盗聴システム エシュロン
  • ヒト加速領域Ⅰ
  • FOXP2
  • ツングースカ大爆発
  • 韓国語 情 ジョン
  • ビラ人
  • アロステリック
  • 武装無人偵察機プレデター
  • 「ヒトと進化」
  • 「ウィルス進化論」

本書の中では、「全世界に普及しているアメリカ製のコンピュータのOS全品に、合衆国の諜報機関に通じるバックドアが仕込まれている」というトンデモナイ話が出てくるのですが、先週、元CIA職員の内部告発がニュースで流れ、トンデモナイ話と思ったものが、俄に信憑性を帯びてきました。
内部告発は、「NSA(米情報機関の国家安全保障局)がPRISM(プリズム)という暗号名のインターネット監視システムによって、マイクロソフトやヤフー、グーグル、フェイスブックなどのサーバーからユーザーの電子メールや写真、利用記録などの情報を収集していた。さらに、バラク・オバマ大統領がアメリカのサイバー攻撃の『標的』となる国外の人物をリストアップするようNSAに要請していた」(「グーグルやフェイスブックの個人情報を収集して監視する米政府の秘密が明るみに」参照)というもの。

いつ誰に狙われるか分からないからと、盗聴やハッキングによって他人の個人情報を盗み出し、常に行動を監視し続けるという行為は、個人がやったら刑務所行きか精神鑑定もの。
国家レベルでやればテロ対策という大義名分が与えられます。
「安全保障」のためには「言論の自由」を犠牲にするのもやむ得ない、という世論の声も大きいようです。
日本も時勢に乗り遅れまいと、「国家安全保障会議(NSC:National SecurityCouncil)が創設される」ことになるそうです。(「“スパイ天国”日本に国家安全保障会議設置 CIA機能もない、体裁だけの機関」参照)

世界を盗聴、監視し続ければ、果たして世界は平和になるのか、疑問に思います。
むしろ、世界終末時計の針を進めるだけなのでは。
いえ、そもそも現人類の権力者たちは、平和なんて望んでいないのでは。

「過去20万年間に亘って殺し合いを繰り返してきた人類は、常に他集団からの侵略に怯え、疑心暗鬼が被害妄想寸前の状態で維持され、国家なる防衛体制を作り上げて現在に至っている。この異常な心理状態は、人類が遍(あまね)く共有しているために異常でなく正常と見做される。これが〝人間という状態”だ。
そして、完全なる平和が達成されないのは、他者が危険であるという確固たる証拠を、互いが己の内面に見ているからだ。人は皆、他者を傷つけてでも食料や資源や領土を奪い取りたいのだ。その本性を敵に投影して恐怖し、攻撃しようとしているのだ。」(「ジェノサイド」から抜粋)


追記:
元CIA職員の内部告発については、2014年に『「暴露」スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド』という本が出ています。

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「ジェノサイド」高野 和明」への2件のフィードバック

  1. あある

    ジェノサイドに続いて『銃・病原菌・鉄』(草思社文庫)に行くといいんじゃないかな。私は何カ月もかかって今下巻の3分の1あたりだけどね。

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    1. atcon

      『銃・病原菌・鉄』も気になっている本だけど、読みにくそうですね。
      いずれは挑戦してみたい。

      返信